第7話 佐藤ひなの想い
佐藤ひな、16歳。
私は世間一般的にTikTokerと呼ばれるインフルエンサーである。
私には憧れの人が居た。
突如としてティックトック業界に現れた天才。
ユーキさんだ。
整ったルックスと甘い声で、一気にファンを増やして行った。
「ユーキさんと会ってみたいなぁ」
私は考えた。
どうすれば、彼とお近づきになれるのか。
「私も、ティックトックやってみようかな」
そんな不純ともいえる動機で私はティックトックを始めた。
最初の頃はまったくと言ってもいいほど伸びなかった。
やはり、一朝一夕でいくものではないのだと痛感した。
「私には向いてないのかなぁ」
そんなことを考えたこともあった。
しかし、私は諦めない。
憧れの天才TikToker、ユーキさんみたいになるのだ。
そして、ある一つの動画が一気にバズった。
ティックトック内で流行っている音源を使って踊った動画だ。
その動画がきっかけで私は多くの固定ファンを獲得したのだ。
そこからは、出す動画は全てミリオンを叩き出した。
フォロワーさんもティックトックだけで20万人を超えた。
「やったー!」
その喜びはすごく大きかった。
しかし、まだユーキさんには大きく届かない。
彼は200万人以上のフォロワーが付いている。
それでも、神様は私に味方してくれているらしい。
数万のフォロワーの頃からインフルエンサーなどをマネージメントしている事務所からのスカウトは何件もきた。
私はそれを断り続けていた。
なぜなら、ユーキさんと一緒の事務所に入りたいという思いがあったから。
そしてついに、NEOプロダクションからオファーがあった。
業界最大手と呼び声高いマネージメント事務所であり、最近ティックトック部門を新設した。
そこには、錚々たるメンツが所属している。
日本のトップTikTokerと呼ばれている人たちだ。
「ここに入れるんだ……」
私はその喜びを噛み締めていた。
そして、喜びはそれだけでは無かった。
NEOプロダクションへの所属が決まった当日、ユーキさんはティックトックでライブ配信をしていた。
そして、そこで私のことを取り上げてくれたのだ。
「嘘、ユーキさんが私のこと話してくれている!!」
しかも、その分析が怖いくらいに当たっているのだ。
彼こそ、本物の努力の天才だと思った。
あれだけ計算してインフルエンサーとしての数字を保っているのだ。
《いつか、ひなさんに会ってみたいなぁ》
配信内でユーキさんが放った一言。
私は忘れようもない一言である。
そして、私の担当マネージャーさんが衝撃の一言を放った。
「ひなさん、ユーキさんと会ってみますか?」
「え、会えるんですか?」
「ええ、同じ事務所に所属しているわけですし、ユーキさんの担当とも仲がいいので」
「ぜひ、お願いします」
私は憧れのTikToker、ユーキさんに会えることになった。
そして、すぐにスケジュールが送られてくる。
今週土曜日14時から、事務所のスタジオで私は憧れの人に対面するのだ。
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