第27話 到着
美南さんが、駐車場に車を停車する。
そのタイミングでひなが目を覚ました。
「着いたよ」
「あ、すみません。私、寝ちゃったみたいで……」
「大丈夫だよ。昨日、寝てなかったんだから仕方ないよ」
俺としても、ひなの寝顔を見れただけで、十分役得なのである。
「ありがとうございます。私、重くなかったですか?」
「全然。むしろ軽いくらいだよ」
「なら、よかったです」
俺たちは、車から降りてトランクから荷物を取る。
そして、美南さんが受付をしに行った。
しばらくすると、美南さんと1人の男性が戻ってきた。
「この度は、案件を受けて頂きありがとうございます。ここの代表の後藤と申します」
そう言って、後藤さんは軽く頭を下げる。
イケオジというのは、こういうことを言うのだろう。
「こちらこそ、ご招待ありがとうございます。ここの魅力が伝わるように頑張ります」
「私も、ちゃんと発信させて頂きます!」
「お二人がそうおしゃっていただけるなら、心強い。ぜひ、よろしくお願いします」
俺たちは後藤さんと握手を交わす。
「それでは、私はこれで失礼します。楽しんで行ってください」
後藤さんは次の仕事へと向かって行った。
「じゃあ、私たちも行きましょう。鍵はもらってきましたから」
俺たちは美南さんについていく。
広大な土地には、何個もテントが立っていた。
「ここが、今日ひなちゃんと優輝くんが泊まる場所です!」
そこは、ロッジのようになっていた。
「おお、なんか上がりますね」
「凄いです!」
外では、バーベキューができるようにセットが置かれている。
ひなは早速、投稿用の写真をスマホで撮っている。
「17時くらいからバーベキューするから、それまで中で休んでて。出版社の人ももうすぐ来るから」
「わかりました」
美南さんたちはまだやるべき仕事が残っているらしい。
暗くなる前の時間帯でバーベキューをしてる所を、出版社としては収めたいのだろう。
俺たち中に入る。
中も、外から見た時と同様、テンションが上がる。
男の子なら、こういうのって憧れるのではないだろうか。
革のソファーに、おしゃれな机。
暖炉のインテリアが置かれている。
これは電気ストーブらしく、電源を入れると実際に温かくなるらしい。
大人になったら、こういう所でみんなでお酒を飲んだりしたら、楽しいのであろう。
そんな妄想も膨らんでいく。
そして、ベッドが二つ並んでいる。
今日、寝るための場所である。
「優輝くん、これ凄いよ!」
ひながあからさまにはしゃいでいる。
こういうのは初めてなのだろう。
「そうだな。俺も、何枚か写真撮っておくか」
SNSに投稿する用の写真を俺も何枚か撮る。
「優輝くん、一緒に写真撮ろ?」
「お、いいよ」
ひなのスマホで俺たちは一緒に自撮りをした。
「ありがとう。あとで送るね」
「了解! それも投稿していいから」
「え、いいの?」「ああ、別に減るもんじゃないし」
「えへへ、ありがとう」
いや、可愛いかよ。
一通り、部屋の中を見ているうちに、バーベキューの時間となるのであった。
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