第20話 さくらの後悔②
その日、私は友達と遊んだ帰りのことである。
いつもより早く解散した。
最近、遊んでいても心ここにあらずのことが多い。
どうしても、気になってしまうのだ。
あの、戸張優輝が超人気TikTokerなのか。
クラスのみんなは、もうそんなのは過去の話題になっている。
しかし、私だけはずっと気になっている状況であった。
「あれ、優輝じゃん」
前を歩くインキャはまさしく戸張優輝であった。
「インキャの癖にセットアップなんておしゃれしちゃって」
たまたま見かけた優輝はベージュのセットアップを着ていた。
しかし、髪はボサボサだしメガネをかけている。
とても、あの人気TikTokerとは似ても似つかない。
「そうよね。あいつが、ユーキ様な訳ないよね」
私は自分にそう言いきかせた。
ただ、それを信じたかったのだ。
もし、戸張優輝がユーキ様だったら、私はとんでもないことをしでかしてしまった訳である。
憧れのユーキ様が目の前にいながら、振ってしまったのだ。
「絶対、あいつの正体はユーキ様じゃないわ!」
優輝は私には気づかず、家に帰って行った。
私も、今日はそのまま真っ直ぐ自宅に帰る。
最近は何をやっていてもあまり楽しくない。
家に帰ると、自室のベッドに横になりながらスマホをいじる。
まずは、ティックトックでユーキ様の動画を見る。
そこから、SNSを開いてユーキ様のアカウントを確認する。
ユーキは基本的に、プライベートな投稿はしない。
投稿のほとんどが仕事の告知などである。
それでも、ユーキ様が関わったものはできるだけみておきたい。
そういう人も多いのだろう。
フォロワーは100万人を超えている。
「え、珍しい……」
今日は珍しくプライベートに近い投稿がされていた。
『ご招待ありがとうございました』と引用している。
引用元は山川愛莉となっている。
山川愛莉の名前はさすがの私でも知っている。
うちの学校に通っている同級生だし、超人気アイドルである。
どうやら、ユーキは山川愛莉の所属するアイドルグループ、ホワイトシンデレラのライブに招待されて行って来たらしい。
超人気インフルエンサーと超人気アイドル。
交流があるのも頷ける。
しかし、私はそれ以上に気になることがあった。
「この服……」
山川愛莉が投稿した写真は、2人のツーショットである。
今、人気な2人ということでもの凄い数のいいねが付いているが、そんなことどうでもいい。
その写真に写っているユーキ様の服装。
ベージュのセットアップだった。
しかも、ユーキ様がプロデュースしているブランドのものだから見間違うはずがない。
今日、優輝を見かけた時に着ていたものと酷似している。
「嘘でしょ。じゃあ、やっぱり優輝が超人気TikTokerだったの……!?」
さくらの疑惑が確信へと一歩前進した瞬間であった。
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