第18話 アイドルたちも俺のファン
ライブは物凄い盛り上がりを見せた。
ファンたちの熱がこちらまで伝わってくるのを感じる。
「これが、アイドルライブなのか……」
俺は初めての経験に感動していた。
そして、ライブは盛況のまま幕を降ろす。
「一応、挨拶だけはしておくか」
せっかく招待してもらったにも関わらず、何も言わずに帰るのも違うだろう。
俺は立ち上がると、マスクと帽子を被る。
「では、向井さん僕はこれで失礼します」
「うん、じゃあまた、一緒に仕事しようね」
そう言うと向井さんは出口に向かって行く。
それは、メンバーの控室へと向かう。
スタッフに声を掛け、山川の名前をだし俺がユーキであることが分かると、すぐに通してくれた。
俺はマスクと帽子を外す。
ここに入ってこれるのは業界関係者くらいである。
俺の正体が分かった所で大きな問題にはならないだろう。
「お疲れーっす」
控室に入ると、すぐに山川と目が合ったので、挨拶する。
すると、すぐに俺の近くに寄ってくる。
「本当に来てくれたんだ! 嬉しい」
「そりゃ、チケットもらったからな」
控室には他のメンバーたちも居る。
ずっと俺たちの事を見ている様子だ。
「これ、差し入れ。みんなで食べてくれ」
俺は紙袋を山川に手渡す。
ライブ会場に来る前にデパ地下で買ったものだ。
「わざわざありがとう!」
「いえいえ。ライブ、楽しかったよ」
「よかった! ユーキくん、あまりアイドルとか興味無さそうだったからどうかと思ったんだけど」
確かに、俺は今回みたいな機会がなければ、アイドルライブに来る事も無かっただろう。
「ユーキさんですよね? ファンなんです! 私とも握手してください!」
「え、私も! 私も!」
他のメンバーたちも続々と近づいてくる。
アイドルから逆に握手を求められるという、謎の状況が出来上がっていた。
「全然、いいですよ」
俺は他のメンバーたちとも握手をして、ファンサをする。
どうやら、俺のファンはアイドルにも居るらしい。
我ながら規模が随分と大きくなったものだと感じる。
「私たちのライブ、また来てくださいね!」
「ええ、機会があればぜひまた来ます」
メンバーたちはキャッキャと嬉しそうな表情を浮かべていた。
「何、鼻の下伸ばしてんのよ浮気者!」
山川が俺の事を睨んでる。
「別に伸ばしてないだろ」
「ま、別にいいけど。最近はひなちゃんに夢中なんだろうし」
「何、怒ってんだよ」
「別に怒ってませんー! 今度、ご飯でも付き合いなさいよ」
「そのくらいいいけど」
なぜか、人気アイドルに誘われてご飯に行くことになった。
「じゃあ、俺は帰るよ。あんまり長居しても迷惑だろうし」
「そう。じゃあ、またね」
「ああ、また」
俺は最後にメンバーへ挨拶してライブ会場を後にするのであった。
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