第1話 インキャ、振られる
新作です!
よろしくお願いします!
「あんたみたいなインキャが彼氏とかマジで無いわ」
俺、戸張優輝はたった今彼女に振られていた。
「え、ちょっといきなりすぎない?」
俺はクラスメイトの七瀬さくらと付き合っていた。
あれは、夏休み前の出来事だったはず。
俺の方から告白して付き合ったのだ。
しかし、さくらは徐々に変わって行くのを感じていた。
メイクは次第に濃くなって行くし、髪も染めている。
私服も、以前に比べたら露出が多いものになっている気がする。
極め付けには、夜な夜なあまり良くない連中と遊び歩いているらしい。
最近はデートの約束をしていても、当日の朝にドタキャンされる事などは日常茶飯事であった。
校則的には緩い学校なので、髪を染めたりは問題は無いのだが、かつての清楚なさくらはもうどこかに行ってしまったようである。
「いきなりとかじゃないから。あんたみたいのが彼氏とか思われるだけで、私にとっては迷惑なの!」
さくらは胸の位置まで伸ばした髪の毛を人差し指でクルクルさせながら言った。
「それって、俺が地味だから?」
「自分でも分かってんじゃん。だったら、ちょっとは私の彼氏に見合うくらいの努力をしたら?」
さくらは面倒くさそうに口にする。
今の俺と言ったら、前髪で顔を隠して俯きがち。
メガネをかけて髪も何もセットしていないノーセット状態である。
俺にはこうしている理由があるのだが、今のさくらに話してもどうせ信じてもらえないだろう。
その時、さくらのスマホに通知が来た。
「あー、ユーキ様今日もかっこいい!!」
さくらが見ているのはティックトック。
その中でも、ユーキというTikTokerが最近のお気に入りらしい。
TikTokとは、短い尺の動画をシェアできるスマートフォン向けのサービスであり、SNSの一つである。
近年、10代20代といった若者を中心に爆発的に伸びているSNSである。
楽曲に合わせて踊ったり、化粧の方法を紹介したり、おすすめの商品を紹介したりする動画など、主にエンタメ中心の動画を投稿するユーザーが多い。
今、さくらが見ているのはユーキという人気TikTokerである。
TikTokフォロワー200万人越え、動画投稿サイトのチャンネル登録者数100万人、SNS総フォロワーは550万人。
そのルックス、声、ファッション、今絶大な人気を誇っている。
TikTokで人気が出れば、企業などから案件を受けれるようになり、その収入は年間で億を超える人もでるほどなのである。
「あんたと同じ名前なのに、なんでこうも違うのかね」
「そのユーキが俺だっていったら?」
「はぁ? 冗談でもやめてくれる? 次、そんなふざけた事いったら許さないから」
さくらが俺を睨み付ける。
「じゃあ、もう私の彼氏でもなんでも無いんだから、近づかないでよね!」
そういうと、さくらは俺の前から走っていなくなった。
そんなに早く俺の前から姿を消したいのだろうか。
しかし、さくらは気づいていなかった。
この目の前にいる人間が超人気TikTokerのユーキであることを。
【作者からのお願い】
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本日は3話まで更新する予定です。
その後、一週間は1日2話投稿します。
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