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【改訂版】天才たちは異世界での極振り生活を夢見る  作者: 月那
第一部 第一章 異世界の天才たち
3/20

第三話 異世界転移とか、解せぬ

ゆっくりと目を開ける。

そこに飛び込んでくるのは柔らかな木漏れ日と、枝葉を茂らせる木々。

どこかにいるらしい鳥が囀り、まさに自然を体現したような景色。

だが、私は目を瞑る。

なぜなら、森で寝た覚えもなく、VRのゴーグルをつけた覚えもないから。

最後の記憶は、学校の教室で途切れている。


「・・・なぜ、こうなった」


私は目をうっすらと開き、そこにある現実を受け止めつつ、そう零した。


時は、記憶の少し前まで遡る。




「ねむーい、だるーい、テスト返しなんて消えてしまえー」


「仕方があるまい、先生たちの苦労を踏み躙ることなど許されていないのだから」


私の愚痴に何やら偉そうな口調で返してくる朱夏。その言葉に返事はいらん。

と言うことで無視し、始業開始前3分の教室でダラダラと過ごす。

3分と言うのは本当にカップ麺を作る以外のちょうどいい時間の潰し方などない。

歌を歌うにも微妙、クイズをするには短いし、世間話をするには沈黙の時間が生まれそう。結果的に寝るのが一番である。


自分の睡眠までの時間は平均10分だから完全には寝てしまわないだろう。

寝ていても先生が入ってきてから5秒以内に起きれば普通にセーフだし、テスト返しは直し含めて15分ほどで終わるだろうから、残りの35分は今日やるゲームと課題のことを考えられる。ただ、先生から質問が飛んでくるかもしれないのでそこは気をつけよう。そういえば今日は昨日届いた資金源がいくらかあるから漫画十冊、もしくはラノベ四冊ほどは買えるだろう。そう言えば今日は野菜が全般的に安かったはず。朝刊のチラシで見た。なら買いに行くべき・・・


「それでは週番さん、号令をお願いします」


おっと、つい癖でいろんなもの計算してたわ。危ない危ない。


今の授業は国語。特に好きでも嫌いでもない。

テストが返ってくる。今回は90点。まあいいだろう。

ちらっと朱夏のテストを盗みみれば93点。やはり勝てない。唯一勝ってるものは数学だけである。


周りは点数比べの真っ最中。私は特に目もくれず、ささっと直しをする。あとは暇だ。


朱夏も男子組も直しが終わったようなので、全員暇そうにしている。

一応自習をしてもいいのだが、今日はなんとなくやる気分じゃない。眠気を誘う陽光が照っているからだ。間違いなく窓際の男子は夢に旅立つことだろう。


そう考えているうちにも光は強くなってくる。

………窓は西向きだからなー。夕方になるにつれ光が強くなるのは当然……か?

不審に思って、廊下側を見ていた顔を窓側に向けると、外は白銀の光に包まれていた。


………ん?

んん???


「え、どうなってんの?」


思わず出た呟きは、強烈な光の中に消えていった。



んー、ここまでは覚えてるんだよ。

爆発でもしたかな?って思ったら、意識失って気づいたら森。

十分意味わからん。


とりあえず起き上がって……なんだこれ。

私の眼前には、ふよふよと浮いている一枚の......板?パネル?白い何かがあった。


________________________________


恋季 蒼桜 Lv.1

人間


ステータス(所持ポイント:5)

HP:100 MP:20

STG:100 INT:520 VIT:20

AGI:120 DEX:30 LUK:10


装備

武器:なし (初期装備が選択されていません)

頭:なし 体:なし 空 靴:なし 盾:装備不可

装飾品:なし


スキル

攻撃:

防御:

支援:

妨害:

耐性:

ステータス:

その他:[鑑定I]


種族能力:なし

使用可能生命力:10000

技:


________________________________


なんだこれ。


とりあえずなんで出てるかよくわからないので、一旦今まで起きたことを整理しよう。


・国語のテスト返却

・外が白く光る

・意識を失う

・目が覚める

・森の中

・ステータス画面みたいなのが出た


こんなところか。

いつからここは二次元になったのか、と思いつつ、周りを見渡す。


見渡す限り森で、山道すら見えないことからだいぶ奥の方だと考えられる。

山道を外れているだけの可能性もあるが、最悪の状態を考えることは重要である。


服装は制服のまま。もうちょい動きやすい服に変えてくれても、いいと思うんですが。

まあ、ここに呼んだ人がいるにしろ、事故にしろ、勝手に服脱がされるのは嫌だけど。


しばらく周辺を見ていると、チラホラと人が倒れている。人、と言うより知ってる人達だけど。

いつものメンバーが普通に地面に寝そべって安眠している。

んー、気持ちはわかるよ。いい感じの日差しだし。

だがな、金央、なぜ君がここにいるのか、私にはよくわからないんだが。


考えてみよう。彼女は同じ教室どころか同じ学校にすらいなかった。なのに、示し合わせたかのようにここにいる。クラスメイトを差し置いて彼女がここにいる理由がわからない。


そもそも、なんでこんなことになっているのかがさっぱりわからん。

確かにうちの学校はオカルトばっかりだけど、こんな異世界(と決まったわけではないが)転移系の怪談あったっけな?

後でそこら辺詳しい朱夏にでも聞いてみよう。


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