第一話 変わった学校の天才たち
もう設定ガバガバすぎて書き直しました。
元のシリーズも残しておきますが黒歴史レベルです…。
3月の暮れ。
卒業式も終わり、在校生が残りの学校生活を謳歌する頃。
桜の蕾が膨らみ始め、学年の終わりと新たな出会いを想像する学生たち。
社会ではいつもの光景だろう。
それは、ちょっとした異端児がいるこの私立中学校、四季中学校でも例外ではなかった。
学校法人四季学園の学校の一つであり、日本においてトップレベルの自由な校風をモットーに設計された校舎とカリキュラムを持つ、ちょっとだけ変わった学校だ。
校舎は比較的新しく見えるが、補修を繰り返しているだけで、形は創設当初から変わっていない。
そのため、現実主義のこのご時世の中でも、七不思議や怪談が生徒の噂を行き来する、オカルト好きが飛んで喜ぶ学校でもある。
そして、在校生の中で最高学年、中学2年生の期末テストが終了し、結果が学年フロアに張り出されるのもこの頃である。
上位ならば賞賛され、下位ならば憐れみと嘲笑の目線を向けられることになる。有り体に言って公開処刑である。
そうやって全員が 今学年度最後のお祭り騒ぎに興じている間、教室に残って頬杖をつき、今にも寝てしまいそうな異端児___天才たちが4人。
彼らはこの学年不動の4トップ、他の生徒たちに言わせれば"教科の神"である。
なお、本人達はネーミングがダサいのであんまり呼んで欲しくはない、と思っている。
「………見に、行かない、の?」
その中でも一際眠そうな学年4位、柊氷人が他3人に声をかける。学力は4位だが、校内のモテ男ランキングはぶっち切りで1位。
黒髪碧眼の高身長男子で、密かにファンクラブすら設立されている。
顔よし、頭良し、運動神経良し、性格よしと非の打ち所がない。
だがしかし、会話があまり得意ではないのが弱点。最も、物静かでミステリアスと捉えられているため、特に支障はないが。
「えー、どうせ順位変わらないから見る必要ないってー」
氷人とは対照的に明るく伸び伸びとした声を発するのは、学年3位の紅虎秋白。白髪に橙メッシュ、くりくりとした琥珀色の目は可愛い系男子を体現していると言っても過言ではない。
氷人と違い、華奢で背丈も身長が高い女子といったレベルで、一時期先輩女子中学生の間で「お持ち帰りしたい」が流行語になった。無論実行には移されなかったが。
「そそー、それよりこうやって寝た方が有意義ー」
どこかの卵のキャラクターレベルでグデーっとしているのは学年1位の波風朱夏。ほぼ全問ノーミスクリアの堂々たる学年一位の眼鏡女子である。
赤髪に知的な緑色の目を持つ彼女は、教科の神を牽引する第一人者と言っても過言ではない。本人は否定しているが。
全員の消極的な意見に、学年2位である恋李蒼桜は密かにため息をついた。
桃色の髪に水色の目を持つ彼女は、この四人の中では最も普通寄りの感性を持っていると言っても過言ではない。
他メンツのキャラが濃すぎて霞むほどである。
だが、スタイルよし、顔よし、性格よしの三拍子は標準搭載なため、モテると言えばモテる。
なお、本人には自覚はない。
そんな四人は、結局テスト結果を見にいくことをせず、そのまま学校指定のカバンを肩にかけ、学校を後にした。
スマホで朱夏が友人に自分たちの順位を聞くことも忘れない。結局気になるのだ。
そして、彼らはそのまま一軒の家に直行する。
それぞれの家に帰りもせず、そのまま。
「ただいまー」
『ただいま』
蒼桜に一歩遅れて他三人も言う。
そして、中から微かに「おかえり」の声がした。
中に入ると、広いリビングの横にはこれまた広いダイニングがあり、そのダイニングテーブルで金髪の少女が手を振っている。手元には宿題であろうプリントの束が広がっていた。
「早かったねー、いつも疲れた様子で帰ってくるのに」
ニヤニヤと悪戯っぽく茶色の目を細めるのは朱夏の親友であり、他3人の友人でもある中龍金央。公立の中学校に通う天才というべき頭を持っている少女だ。
その言葉に4人はうんざりしたような顔をする。今まで、特に気にせずに得点を見に行っては全生徒にもみくちゃにされて帰ってきたためである。
今回は流石に学習していたらしかった。
金央が「まあとりあえずやることやってきなよ」と言うと、全員が2階に上がっていき、やがて課題とスマホを持って降りてきた。
そして、リビングテーブルに散らばっている封筒を次々と開けていく。
中身は大量のQUOカードだったり、図書カードだったり、銀行への振り込みの旨と最近元気にしているか?と言った内容がごちゃごちゃに書いてある手紙だったりする。
4人はなんとか今月分のお小遣いが確保できたと言った感じでほっと胸を撫で下ろした。
「ふー、おわりおわり」
「お疲れ〜」
全て開け終えて、全員がダイニングテーブルに集まる。
そして数分もすれば、わずかにシャーペンを擦る音と、どこからともなく漂ってくる線香の匂いが部屋を満たしていったのだった。