表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

4/4

目覚め -出遇い

空から森に囲まれた集落を望む。


綺麗に整理された区画に木造の家が並ぶ。


「これは・・・」


「ここは我々六柱が創り出した世界のひとつ、ポエシリアレティにあるユーフと呼ばれる村である」


「ポエシリアレティ?」


「そう、優輝殿にはこのポエシリアレティを救っていただきたい。この世界は、人族と魔族とのバランスが拮抗することで調和を保ってきた。それが今ではこんなことになってしまった」


そういって、最高神エネムはある一点を指さす。


そこには、ユーフという村めがけて濁流のごとく押し寄せる、化け物の群れがあった。


「な・・・!」


「こやつらは魔物と呼ばれておる。魔族が生み出し、操ることのできる眷属じゃ」



ものの数分もしないうちに、魔物の群れはユーフに達し、村の外壁をいとも簡単に破壊してしまった。


そして、村の住人へと迫り、場は一気に凄惨な状態へと変わる。


村中に響く叫び声、我が子をかばいながら倒れゆく母親、地面は赤く染まり、砂埃が舞う。


その光景はあまりにもすさまじく、言葉に詰まってしまう。


やがて砂埃が晴れると、村は一気に静まりかえっていた。


魔物の群れは、村の踏襲を果たすと来た方とは別の方角に向けて進みだしていた。




「そう、これが我々の犯した過ちなのだ。我々の道楽で創った世界で、魔族が力を持ちすぎてしまった。しかしそれに気づくには少々遅すぎたのだ。我々はもはや直接力を加えることはできん。故に、優輝殿、何卒我々の願いを聞き届けていただくことはできぬだろうか」




一瞬の沈黙。

現実では想像できない状態に、なんと答えればいいかわからなくなったが、改めて自分の力ではどうしようもないと判断し、依頼を断ろうとする。



「・・・大変申し訳ございませんが、俺にはどうしようも」




そういって、断ろうとしたその時であった。









――――――だれか、助けて





小さくか細い声が聞こえた。


崩れた民家の隙間から一人の少女が見えた。


怪我を負ってはいるが、まだ命はあるようだ。


誰か急いで彼女を助けないと!誰か、誰か、だれか?


そこで、急に気が付く。あぁここには本当の助けなんか来てくれないんだ。


何故自分でもこんな気持ちになったのか説明がつかないが、それはひどく冷たく、悲しい想いだった。





気が付くとまた目の前には広大な宇宙が広がっていた。


最高神が待っていたあの部屋だ。


「優輝殿、私の試練はこれで終わりだ。見事、その心を見させてもらった」


「試練?」


「左様。先ほど優輝殿に見てもらったのが私からの試練だったのだ。あそこで、優輝殿の心を見させてもらった。やはり優輝殿は我々と同じ波長をもっておる。それならば、世界を救うことができるやもしれん。否、絶対に救えるはずじゃ。既に優輝殿がここにおられる時間が迫っておる。大変心苦しいが優輝殿の武運を祈っておる。さらばだ」


そういうと、世界は白く反転し、深い深い眠りに落ちるような錯覚を覚える。


不透明な頭の中で、助けを求めたあの少女の姿が浮かぶ。


彼女あの後どうしたんだろう?大丈夫だったかな



あれ?この子は?あの子じゃ・・・ない?








評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ