目覚め -日常
体が重い。すこぶる重い。
昼休み。
午前中は体が怠すぎてまともに授業も聞いていなかったが、卒業まであと少しのため、いまさら勉強することもないので問題はない。
「なぁ、昨日の体育のせいで、体中筋肉痛みたいなんだけど」
「はぁ?昨日の体育ってそんなにキツくなかっただろ?これだから帰宅部は」
「お前だって部活引退してんだから、帰宅部と変わらないだろ」
こんな軽口をたたく程度には大丈夫なのだが、思った以上に体の怠さが気になる。
確かに昨日の体育の授業は、無駄に走らされていたとは思うが、こんなに体全体で不調を感じるほどはキツくなかったと思うし、それに何やら体の内側からモヤモヤする感じがある。
「お前もしかしてインフルとかじゃない?卒業までもう少しなんだから、俺に移すなよな」
「いや、そんなはずはないけど、確かに全くないとも言い切れないな。とりあえず保健室行って熱測ってみるわ」
昼休みを利用して、保険室にいき体温計を借りて熱を測るが、熱はなかった。保健室の先生は新卒1年目で就任したばかり。若くてかわいい。
「もし辛いなら、今日は帰っても大丈夫だよ?担任の先生には私から伝えておくから」
「じゃあお言葉に甘えて」
残りわずかの高校生活なのに、少しもったいない気もしたが、彼女だって3年間いなかったし、未練も何もない。
それよりもかわいい保険の先生の言うことを素直に聞いとくべきだな、とその日は早退して家で休むことにした。
帰宅後、部屋のベッドで横になるとすぐに眠ってしまった。
―――――――さすがです。いえ、思った以上かもしれません。
―――――――不躾ではありますが、優輝様ならきっとこの世界の未来を切り開く勇者になれます。
―――――――次は明日、同じ時間にお待ちしております。
あれは何だったんだろう?寝起きでぼーっとする頭で、記憶を辿る。
夢?だよな? あ、昨日見た夢か。思いだした! ・・・気がする。。
時計を見ると、眠りに落ちてから15分も経っていなかったが、眠る前よりも怠さがなくなったような感じがする。
やはり自分のベッドは素晴らしい。この安心感は他では得難いものだな。
一瞬、昨晩みた夢を断片的に思い出したような気がしたが、別のことを考えているうちに、また記憶の彼方へと忘れてしまっていた。
今日の晩も、いつも通りの時間に眠りに入った。
昨日の夢など、とうに忘れていた。
――――あぁ、そういえば、いま彗星が近づいているらしいな。彗星が最も近づくのはいつだっていってたっけ?