ダンジョン攻略
盗賊の犠牲となった男性、そして冒険者らしき少年の遺体から身分証のプレートを外し、穴を掘って少女と並べて埋める。 盗賊は首を落として身体は森へ捨てた。
傷ついた馬を馬車から解放してやり、馬車は使えそうだったので、ヒューガへ繋いだ。
すっかり時間を喰ってしまい、次の村に着いたのは暗くなってからしばらくたった頃だった。
「止まれ!」
見張りが声をあげるが、門閉まってるからそりゃ止まるよ。
「盗賊に遭って遅くなってしまった。入れてくれなくてもいいから、門前で夜営をさせてもらいたい」
「盗賊はどうなった」
馬車の荷台から盗賊の首を掲げる。
「ちょっと待ってろ!」
しばらくすると、村長が人を2、3人を連れてでてきた。依頼で見た顔だ。
門が開き、中へと案内された。
「村長のミーゼチです。盗賊を討伐されたとか、あ、あなたは確かコボルトの時の冒険者の…」
「Eランク、アジフだ」
「Dランク、ミジットだ」
「首実験をさせてもらいたいのですが」
「首は衛兵に引き渡す。後で返してもらうぞ」
「もちろんです」
首を並べると、村人の一人が声をあげた。
「間違いない、この男たちだ!」
どうやら目撃者がいたようだ。ついでに村長に犠牲者のプレートを確認してもらったが、知り合いではなかった。
「冒険者ギルドへ盗賊討伐の依頼を出してましてな、すれ違いになるといけませんのでウチの村からも王都へご一緒させて下さい」
「かまわないぞ」
「盗賊共を退治させていただいたお礼に、今夜の食事と宿をださせてもらえませんか」
「ああ、それはありがたいな。是非お願いしよう」
村で一泊し、村人と共に王都へ戻った。
冒険者ギルドに報告すると、まだ誰も受注していなかったので依頼達成扱いとしてくれた。盗賊の所持品は討伐者がもらえるようだ。犠牲者のプレートはギルドへ提出した。王都の住民だったそうだ。
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<カシャン><パチン>
<カシャン><パチン>
<カシャン><パチン>
迷宮錠の開錠と施錠を繰り返しながら魔力を操作する。もう手元を見ていなくてもできる。
ペン回しは左右の手で同時にできるにまで至っていたので、MPを減らしてからしかやっていない。 魔力も水あめくらいまでは柔らかくなり、動かせる範囲は四肢に及び、回る速度も水車程度になってきた。
盗賊の一件があった後、ミジットと共に護衛依頼を済ませ無事にDランク昇格を果たした。
道場に通いつつも、Dランク依頼を精力的にこなし、装備も一新した。
一覧はこうだ
頭:曲げた薄い鉄板を貼った広いバンダナの様な鉢金
鎧:ロックリザード鎧(金貨18枚)
腕:キラースコーピオン籠手(金貨9枚)
脚:ジャインアトセンチピードグリーブ(金貨5枚)
剣:鋼の剣、丈夫さ小上昇(変わらず)
盾:鋼盾(金貨12枚)
サブウエポン:ショートソード、鋭さ小上昇(金貨5枚)
弓:職人オススメの弓(金貨1枚)
必要な設備投資と割り切っているが、魔道具を含めると合計金額金貨60枚近くに及ぶ散財に身が凍える想いがする。日本円換算で600万円だ。
しかし、Dランクの稼ぎは流石だった。特に貴族が絡む依頼は美味しい。
言葉使いや基本的な礼儀作法を覚える必要はあるが、冒険者ギルドで講習もしているし、冒険者に求められるレベルは低く、現代で46歳まで生きていた身には難しいモノではなかった。
ヤツらもワガママを言うだけの金は払っているのだ。スポンサーの意向に現場が左右されるのはどこの世界でも変わらない。
ここで頭を下げれないヤツは、EランクとDランクを行ったり来たりする羽目になって、傭兵に流れる者が増える。
だが、多人数戦、対人戦を主とする傭兵はレベルが上がりにくい。この辺りで上に行く者とそうでないの者の淘汰が行われる。
まあ、傭兵でも指揮や戦術など、上のランクに行くには礼儀作法も含めて必要な事が多いらしいが。
ミジットもDランクの壁に当たり悩んでいた。女性としては高い身長と礼節をわきまえ、武人然とした言動はその美しい見た目も相まって、男女を問わず貴族の覚えもいい。常に鍛錬を怠らず、砥ぎ澄まされた剣筋は魔物だろうが、人だろうが的確に急所を捉える。
だが、致命的な欠点があった。いざ戦闘に入るとひたすらに敵を切り刻む。味方の陣形も後続もお構いなし、そう、脳筋なんだ。
最も、戦闘以外では沈着で(冷静ではない)礼儀正しいが。
迷宮で臨時パーティーを組んでも、固定パーティを組んでくれる相手が見つからず、その強さと共に有名な地雷となっていた。
Cランクへの昇格条件は、Dランク依頼30件の達成と下級迷宮の踏破。Eランクに落ちはしないものの、2年近くの間そこにつまずいていたんだ。
だが、それもここまで。 準備を整えた我らDランクパーティ”双連の剣”(2人)はダンジョン攻略へと動き出した。
そう、ここは下級迷宮都市の宿。キジフェイよ、私は帰って来たのだ。
「なんでフードなんて被ってる?」
「悪の組織に動きを気取られる訳にはいかんのだ」
その組織の名は冒険者ギルドと言う。
こそこそと見知らぬ受付嬢へ到着報告を行い、冒険者ギルドを出て迷宮へ向かった。
迷宮”キジフェイ”の入り口は変わらずにその口を開けていた。ミジットがライトの魔道具のスイッチを入れる。この魔道具は職人の作品ではなく、自分で魔石を交換できる迷宮産の一品だ。
「アジフは明かりを点けないのか?」
「暗視があるからな」
「それはうらやましい」
「レベルは低い、灯りは持ってきている。あてにはしないでくれ」
記憶を手繰り、迷宮の1階層を通り抜ける。
迷宮の地図はミジットが持っている。なにしろ常連だからな。低階層は迷宮に慣れるために先行し、後ろからミジットに道を教えてもらう作戦だ。
2階層になると、ダークラットが複数あらわれるようになった。が、左手の短剣と右手の剣で薙ぎ払いながら進む。盾は背中に背負っている。
暗視は近くなら何とか見える程度だが、この程度の相手ならまったく問題ない。
「ほらほら、コウモリもきたぞー」
「キキキ」
<ザンッ>
ジャイアントバットだな、懐かしい音を見もせずに切り裂く。
ドロップアイテムの翼が出たが、低階層の魔石以外のドロップは拾わない方針だ。荷物が増えるから。
2階層までを突破するのに要したのは1時間。かつてガイド付きツアーでは1階層に1時間かかったが、あれは安全を確認しつつ迷宮の解説を受けながらだ。
休憩なしで3階層に入ると、通路から
「ガウッガウ」
犬が吠えかかり跳び掛かってきた。
「ダークハウンドだな。迷宮でしか確認されていない魔物だ」
両断し、魔石を拾うとミジットが解説してくれた。
わざわざ吠えて知らせてくれるうえに、何の工夫もなく跳び掛かってくれば造作も無い。
ジャイアントバットが断続的にあらわれる中を、時折現れる犬を蹴散らしてどんどん進む。まだまだ序盤だ。
4階層は複数のダークハウンドと断続的にジャイアントバットがあらわれる様になった。これも難なく切り抜けて進む。
5階層に入ると、それぞれ複数のジャイアントバットとダークハウンドが波状的に襲ってきた。
「ガウッ」
<ザンッ>「キャイン」「キキキ」
にぎやかな事だが、淡々と処理して進むと足が泥に取られた様に止まった。
「ほらほら、足元も注意しなと」
足にはネバっとした白い糸のような物体が絡んでいる。視線をたどると、ダークハウンドの陰にネコほどの茶色い芋虫が糸を吐いている。
足が止まろうが関係ない。その場で片っ端から切り捨てた。
「ディグキャタピラー。東方の森にいる魔物で、地面に穴を掘り糸を飛ばして獲物を捕まえる。迷宮では穴は掘れないようだけどな」
「詳しいな」
「キジフェイの事なら何でも聞いてくれ」
胸を張っても自慢にならないからな、それ
5階層を通り抜けた出口には、街の門ほどもある大きな扉があった。ボス部屋ってやつか!
評価ポイント100達成に感謝を!\(^o^)/バンザーイ




