強化系能力の実験
前話の日付を一日ずらしました。
2時ってもう日付変わってましたね。
ボス部屋の中へと入った俺は二種類の魔物と相対する。
一匹はこの部屋のボスであるジャイアントバジリスク。
そしてその周りでこちらを睥睨するアサシンスネークだ。
俺はその魔物たちを見ながら考える。
さてと、今日はどの”能力”を試すべきか。
昨日で強化系の”能力”の確認が終わったからな、今日はその応用か? 他の”能力”と併せてみてどれが相性がいいのかをチェックするか。
それとも全く新しい”能力”を試すか……迷うところだな。
ん~まあでも、応用かな~。
なんだかんだ言って強化系って使い勝手がいいからな。他の”能力”ならまだしも強化系は基本的に併用するし、チェックはしておいたほうが良い気がする。
そうと決まれば、早速実験だな。
俺は右手を正面で払ってステータスプレートを表示する。
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八重樫扇 17歳 男 人間 レベル50
・筋力:278110
・魔力:282930
魔法
『生活魔法』『火魔法』『土魔法』『風魔法』『自爆魔法』
能力
【ダークネスドミネーション】【スノードロップ】【ヒガンバナ】【雷撃】【雷纏】【雷操作】【火炎弾】【空気弾】【麻痺弾】【麻痺霧】【麻痺牙】【睡眠弾】【睡眠霧】【睡眠牙】【猛毒弾】【猛毒霧】【猛毒牙】【剛腕】【重腕】【剛脚】【重脚】【剛撃】【重撃】【超硬化】【金剛】【威圧】【咆哮】【樹木操作】【縮地】【熱源感知】【気配感知】【魔力感知】【魔力操作】【催眠】【精神操作】【精神攻撃】【隠密】【隠蔽】【気配遮断】【斬撃】【切断】【サイズ】【完全回復】【超再生】【融解】【超吸収】【物理耐性:大】【魔法耐性:大】【毒耐性:大】【麻痺耐性:中】【睡眠耐性:中】【石化耐性:中】【腐食耐性:中】【筋力増強:大】【形状変化】【分裂】【スライム操作】【空間転移】【反射板】【武装】【暗視】【遠視】【跳躍】【飛翔】【超音波】【超聴覚】【石化】【擬態】【粘糸】【鋼糸】【斬糸】【腐食】【加速】【速撃】【連撃】【肉体活性】【制限・解放】【限界突破】【アイテムボックス】
権能
《創造主》《死霊吸収》《超高度AI》《スライムボディー》
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この中で強化系に分類されるのは【剛腕】【重腕】【剛脚】【重脚】【剛撃】【重撃】【筋力増強:大】【肉体活性】【限界突破】だな。
まあ、他にも強化系に分類できそうな”能力”もあるにはあるんだが、今日はこの九つで良いだろう。
ちなみに、【剛腕】【剛脚】【剛撃】が魔力を使用して一撃の威力を爆発的に高めるって言う能力で、【重腕】【重脚】【重撃】が魔力を使用して一撃一撃を重くするって言う能力、【筋力増強:大】は読んで字のごとく筋力を増強することができる。
【肉体活性】は肉体を活性化させ身体能力と自己治癒能力を高める能力、【限界突破】は自分のステータスを大幅に上昇させる能力だ。
はっきり言って全部似たような”能力”だけどな。でもあって困るものでもないし。
という事でそこら辺は無視だ。
さて、まずは《スライムボディー》と掛け併せてみようか。
俺は姿を消して迫ってくるアサシンスネークたちを感知系の”能力”で察知しながら迎え撃つ。
「《スライムボディー》【超硬化】【剛腕】【剛脚】【剛撃】」
今回は【形状変化】を使う必要はない。
用があるのはスライムの肉体だけだからな。
俺の予想が当たれば恐らく――
俺は迫ってくるアサシンスネークに格闘家のようなスタイルで蹴を入れる。
瞬間、ゴンッ!!っという音と共にアサシンスネークは壁に放射線状の亀裂を作りながら激突し、そのまま潰れてしまった。
うわーグロっ……。
でもまあ、コレは予想通りかな。
多分これ蹴っても【剛腕】の効果が出てるよな。
一応予想はしてたけどな。
なんてったって《スライムボディー》の効果って”スライムの肉体になる”じゃん?
そしてスライムには脚とか腕とか、そう言う概念はないわけでして。
だったら腕の一撃を強化する”能力”も脚の一撃を強化する”能力”もどっちも発動できるんじゃないか?と思ったら案の定だったな。
これはなかなか美味しい。さすがは”権能”。さすがはスライムだ。
さて、気分も上がったところでじゃんじゃん行きますか。
それからたっぷり30分ほど。
俺はジャイアントバジリスクをかわしつつ、アサシンスネークの相手をした。
まあ、相手をしたと言ってもほとんど一方的な虐殺なわけだが。その辺は気にしない。気にしたら殺せなくなる。
何はともあれ、これであとはジャイアントバジリスクのみだ。
最後は単純に全部掛け併せてみよう。
そうしてすべての強化系を同時発動した俺はジャイアントバジリスクに向かって走り出す。
一歩目で大地を破壊しながら超加速した俺は一瞬でジャイアントバジリスクに肉薄する。
「キシャーッ!?」
驚くような声を上げるジャイアントバジリスクを見ながら俺はその胴体に拳を撃ち込む。
その結果――
「……ああ、最悪だ…………」
無残にもはじけ飛んだジャイアントバジリスクの血肉を真正面から受けてしまった。
ドロドロだ。生臭くて生暖かい……うぷっ、気持ち悪……っ。控えめに言って……最悪だ。
俺はすぐに『生活魔法』の『洗浄』と『乾燥』を発動する。
服と身体はきれいになったが…………うん、二度と全部発動なんてしない。絶対にしない!
ホント、ラプラスが離れた位置にいてくれて助かった。
流石にラプラスにまで被害が出たらヤバいからな。
今度からは気よ付けよう。
そんなことを思いつつ、ボス部屋奥の扉の前に居るラプラスの元へと移動する。
「ラプラス、最後の一撃どのくらい強化されてた?」
《……ん~、だいたいひゃくばいくらい》
わお、そりゃあはじけ飛ぶのも無理ないわ。
《……まだつづけるの?》
「いや今日は終わりだな。身体がだるい」
多分【限界突破】を使った影響だろうな。
文字通り限界を突破したわけだし。
でもこれはタイミングを見極めないとダメだな。もしも戦闘中に【限界突破】の効果が切れたら多分戦えなくなる。
使う時は終盤か、ここぞって時だけだな。それも相手を倒すつもりでやらないとこっちが危なくなる。
俺はまだ死にたくないからな、気を付けておこう。
「なー、オーギ」
「どうした、ユリス?」
「お前誰と話してんの?」
「え? あーそっか、見えないんだったな。悪い悪い。俺が話してたのはラプラスっていう、いわば妖精みたいなやつだよ」
「……妖精ー? あたしには見えねーんだけど?」
「まあ、こいつは少し特別だからな。普通の人には見えないんだよ」
「………………」
言いたいことは分かるぞ。
頭大丈夫か?とかそんな感じだろ? わかるよ。俺も何度も言われてるから。
まあ、俺と一ノ瀬以外には見えないんだから仕方ないと言えば仕方ないんだけどな。
それでも傷つくんだからな!
知り合いに「頭大丈夫?」とか言われるこっちの身にもなってみろよ! ホント泣きたくなるから!
「あ~、その、なんつーか、ごめんな? あたしが悪かったよ。そこにちゃんといんだよな? 信じっからさー、落ち込んでんじゃねーよ、な?」
うぅ……少女に慰められる俺っていったい……。
思わず泣きそうになるが何とか堪える。
俺は大丈夫、俺は大丈夫、俺は大丈夫――
よし! 自己暗示完了!
「それで、俺たちは宿に戻るけどお前はどうするんだ?」
「あたしか? そーだな、あたしはちっと用事があっからまだ戻らねーよ」
「そうか。でも大丈夫なのか?」
少女がダンジョンの中で何をするのかは知らないが、少し心配だ。
魔物も出ることだし、危ないのではなかろうか?
すると俺の考えていることを読み取ったかのようにユリスは口を開いた。
「問題ねーって。心配すんなよ。これでもあたしって強ーんだぜ?」
そう言って袖をまくり力こぶを見せてくるユリス。
そこには筋肉の欠片もないかのようにピクリともしていなかったが、俺はその姿に思わず微笑んだ。
「そっか。分かった。でも危なくなったらすぐに逃げろよ?」
「わーってるって。それじゃーな――――っと聞き忘れてたけど、お前って明日も此処に来んの?」
ダンジョンの奥へと立ち去ろうと歩き出したユリスは、数歩歩いたところで振り返ってそんなことを聞いてきた。
「ああ、多分な。大体このぐらいの時間に来てるよ」
「ふーん、じゃーまた明日も会えっかもなー」
「そうなのか?」
「あー、でもあんま期待すんなよ? 会えっかどーかはびみょーだかんな」
「わかった。それじゃあまた明日な」
「ああ、またな」
そう言い残すとユリスはダンジョンの奥へと消えていった。
何というか、不思議なやつだったな。
初めて会ったはずなのにだいぶ打ち解けられたな。
でも、秘密は多そうだな。そこを詮索する気はないけどさ、少し気になる。
あんな少女がダンジョンの奥で何をしているのか、気にならないわけがない。
……まあ、いいや。考えてもいいが、知ったところでどうしようもないしな。
今日は早く帰ってさっさと寝よ。
そうして俺は転移ポータルを使ってダンジョンを後にした。




