ボス戦 決着
俺は【融解】と【超吸収】を発動してアサシンスネークの残骸を吸収しながら、ジャイアントバジリスクと戦っている星野たちを眺めていた。
「【魔法付与:エクスプロージョン】ッ!」
星野はそう叫びながら投げナイフをジャイアントバジリスクの身体に投擲する。
投げナイフはその身体に触れると同時に、大爆発を引き起こした。
生憎とその攻撃は【超硬化】によって防がれたが、その身体を大きくのけぞらせ隙を作ることには成功していた。
このダンジョンに来て一番驚いたことと言えば星野の”能力”、【付与】の有能性だ。
星野は学園では基本的に身体能力強化系の”能力”と投げナイフしか使わない。
理由は特にないそうだが、学園でも使っていれば間違いなく序列100位以内には入っているだろう。そう思うくらいに有能だった。
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【付与】:”魔法”、”能力”、”権能”をモノに付与することのできる能力。
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いたってシンプルだ。だがその分効果も大きい。
その場で魔道具を作れるようなものだし、”魔法”を【付与】する場合は詠唱も魔法陣も必要ないからな。
それに例えばだが、剣に【剛撃】を付与したら自分自身で発動する分も併せて二重で使うことができるのだ。そしてそれを遠くに飛ばすこともできる。
元となったモノの出来や素材によって付与可能数が変わることと、”能力”などの効果によっては付与できないことがあること、毎回付与し直す必要があるのが欠点だが、それを差し引いても間違いなく有能だ。
俺も後で創ってみようかなって思えるくらいにはな。
そんな”能力”を使わないのにはやはり訳があるのかもしれないが、これは俺の勝手な妄想だからな。
”能力”を使うも隠すも本人次第。
現に俺も《創造主》を隠してるからな。
そんなことを思っているとアサシンスネークの吸収が終わった。
そしてジャイアントバジリスクはアイルの『弾光剣』を受けて血だらけになっていた。
流石の【超硬化】もアイルの”魔法”までは防げなかったようだ。
恐るべしアイルの”魔法”。
う~む、これって俺が加勢する必要あるのか?
そもそもアイルがいるんだし負けることはないと思う。
と言うか星野と藤原と一ノ瀬だけでも行ける気がするな。
星野の投げナイフは的確に相手の痛いところを突いているし、藤原は相手の攻撃を一発たりとも通していないし、一ノ瀬は【雷撃】と【反射板】で攻防一体だしで全く問題ない気がする。
ジャイアントバジリスクは初期のステータスこそスライムキング以上だったが、こいつからはあいつほどの威圧感は感じないし、そもそもこいつは”権能”を持っているわけでもない。
今思えばスライムキングがあんなに強かったのは《スライムボディー》で大量にエネルギーを貯め込んでたせいなんだろうな。
そんな感じで冷静に分析していると、非難の声が飛んだ。
「ちょっと八重樫!? そっち終わったなら手伝いなさいよ!」
「いやまあいいけどさ。でももうそろそろ終わるだろ?」
「そんなことないよ、扇君! こいつ結構強いよ!」
「そうだぞ主様。一人だけ休むのは流石に不公平だと思うんだ」
「そうか? でもアイルは結構余裕そうだぞ?」
「いえ、私も結構疲れているのですよ?」
「嘘つくなよ。息切れどころか汗一滴かいてないじゃん」
こいつらなんだかんだ言って俺と会話できるくらいには余裕だよな。
「そんなことはどうでもいいのよ! 早く助けなさいよ!」
「あーはいはい。それじゃあ3秒後にそいつから離れてくれ。はい3……2……1――」
俺はすぐにカウントを始める。
そして――
「0、【火炎弾】」
カウントダウンの終了と同時に”能力”を発動させる。
手をジャイアントバジリスクに向け指で拳銃の真似をする。
そしてその指の先に一発の炎の弾を造り、バンッと呟きながら弾を打ち出すモーションをする。
すると炎の弾は勢いよく射出され、ジャイアントバジリスクに向かって飛来する。
ジャイアントバジリスクは急接近する炎の弾を避けるのは不可能だと判断したのか、その場で蜷局を巻き身体を硬化させ防御態勢に入った。
だがそんなものは無駄だ。今回の【火炎弾】に込めた魔力はさっきの比じゃない。
よってその威力は跳ね上がる。
炎の弾は勢いよくジャイアントバジリスクにぶつかり――その身体を貫通した。
貫通して空いた穴から炎がが広がり一瞬にしてその身体を包み込む。
ついでに【火炎弾】が激突した壁も炎々と燃え盛っていた。
そしてジャイアントバジリスクはゆっくりと倒れ伏す。
その身体を焦す炎が消えた時には、すでに息はなかった。
俺はその死体に近づき魔石を抜き出す。
「よし、討伐完了! ……? どうした?」
「いや、アンタあたしたちの頑張りを返しなさいよ……」
「そうだよ! 一発で倒しちゃうなんて聞いてないよ!」
「全く以てその通りだね。ボクたちが必死に頑張ってダメージを与えていたといのに一撃だからね。文句の一つぐらい言いたくなるよ」
「そうですか? 私はそうは思いませんが。むしろ素晴らしいと思います」
「まてまて、手伝えって言ってきたのはそっちだろ? それなのに俺のせいにするのか?」
「完全に手伝いの範疇を超えてるでしょ!」
「それは……否定できないな」
俺はジャイアントバジリスクの死体を見ながらそういた。
「まあ、終わったことを今更どうこう言っても仕方が無いだろ? むしろもう戦う必要がなくなった、って喜べよ」
「うー……そうなんだけど……」
星野は唸りながら納得がいかないといった表情を浮かべた。
俺はそれを無視して話を先に進める。
「それで、あれの扉の先に転移ポータルがあるってことで良いのか?」
そう言いながら俺は奥へとつながる扉に視線を向けた。
「はい。間違いございません」
「よし。じゃあ行くか」
「かしこまりました」
そうして俺たちはボス部屋の奥へと足を進めた。




