炎の弾丸
「ここがボス部屋ってことで良いんだよな?」
「はい。間違いございません」
「デカいな」
「そうですね。自らボス部屋だと主張しているように見えます」
「ははは、そうだな。確かにそう見えるかもな」
目の前に待ち構える10mはあろうかと言う巨大な扉を見上げながら俺は言った。
「僕開けていい!?」
「いいけど……お前扉開けるの好きなのか?」
こいつ冒険者ギルドの時も開けたいって言ってたよな。
「だって開けた人が一番最初に部屋に入れるんだよ!」
「まあ、そうだが。最初に入ることにこだわる意味ってあるのか?」
「あるよ! だって最初に入ったら『やったー! 一番乗りだー!』って気分になって気持ちが良いんだよ!」
気持ちはわからないこともないが、割とどうでもいい理由だった。
まあ、本人が開けたいって言うならそれでいいのか。
「それじゃあ準備はいいか?」
俺はそう言いながら4人を見渡した。
すると4人は軽く首肯する。
「おし。じゃあ藤原、開けてくれ」
「任せてよ!」
そうしてゆっくりと扉が開いていく。
中を見ると、広い空間が広がっていて、その中心には巨大な蛇が蜷局を巻いていた。
その周りには小さな蛇も数十匹いた。
俺は《超高度AI》を発動させ扉の外から大蛇と蛇(小)のステータスを《鑑定》する。
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アサシンスネーク ?歳 性別無し 魔物 レベル18
・筋力:2100
・魔力:1900
魔法
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能力
【毒弾】【毒牙】【隠密】【気配遮断】【熱源感知】【硬化】【跳躍】【毒耐性:中】
権能
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ジャイアントバジリスク ?歳 性別無し 魔物 レベル34
・筋力:4390
・魔力:3700
魔法
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能力
【猛毒弾】【猛毒霧】【猛毒牙】【再生】【跳躍】【超硬化】【威圧】【咆哮】【熱源感知】【筋力増強:大】【毒耐性:大】【剛撃】
権能
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「マジかよ……。名前は小さい奴がアサシンスネーク、デカい奴がジャイアントバジリスクだ。それとこいつ、筋力と魔力がスライムキング以上だぞ」
「それホント? こいつも災害級なの?」
「確か、ジャイアントバジリスクの討伐記録はあったと思うよ!」
「そうなのか。まあ、筋力と魔力が全てじゃないからな。ただ、攻撃には十分気を付けてくれ。あと毒な」
「わかったわ」
「了解だよ!」
「確かにあの巨体からくる攻撃は受けたくないね。気を付けるとするよ」
「かしこまりました。それでは参りましょうか、扇様」
「ああ、そうだな。いくか」
「「「「おー」」」」
俺たちはボス部屋の中へと踏み込む。
するとジャイアントバジリスクがムクリと起き上がりこちらを睥睨し、アサシンスネークはその場で気配を消した。
「えっ、アサシンスネークが消えた……?」
「いや、気配を消しただけだよ」
「なかなか面倒な”能力”を持っているようだね」
確かに【隠密】と【気配遮断】は面倒だな。
と言っても俺には対処できるけどな。
「八重樫には何か手があるんでしょ? アサシンの方は任せていい?」
「わかった。こっちは俺に任せろ。バジリスクは頼んだぞ」
「任せてちょうだい」
「大丈夫だよ!」
「かしこまりました」
「主様、ボクも手伝おうか?」
「いや、こっちは俺一人で十分だ。一ノ瀬はそっちを頼む」
おれがそう言うと一ノ瀬は頷いた。
「了解したよ。とりあえず主様の方が終わるまでは持たせるよ」
「別に俺抜きで倒してくれても良いんだぞ?」
「えっ、良いのかい? それじゃあその気でやらせてもらうよ」
おお、これは早速負けフラグが立ったかな?
死亡フラグじゃないと良いんだが。
って戦闘前に考えることじゃないな。
もう時間もないし、殺られる前に殺るとしようか。
次の瞬間、俺たちはそれぞれの役割を全うするために動いた。
星野は投げナイフを相手の目に投擲し視界を制限、藤原は結界を張り相手の攻撃から仲間を守り、一ノ瀬は鎖と【反射板】で相手の動きを制限し、アイルは”魔法”でダメージを与えていく。
いいコンビネーションだと思った。
もはやアサシンスネークのことなど気にしていなかった。
それだけ信頼されているのだろうか。
これは俺も負けてられないな。
「【熱源感知】【気配感知】【魔力感知】」
俺は感知系の”能力”を立て続けに発動する。
【隠密】だろうが【気配遮断】だろうが、俺の方がレベルが上なのだから感知できる。
アサシンだろうが何だろうが見えていれば普通の蛇と変わらないからな。
「【火炎弾】」
俺は飛びかかってきた蛇に対して”能力”を発動する。
すると、空中にパチンコの玉ほどの炎の玉が無数に浮かび上がる。
そしてその中の一つが蛇の元へと高速で飛来し、触れた瞬間、その蛇の身体を消し炭に変えた。
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【火炎弾】:圧縮した炎の弾を造り出す能力。触れた対象を延焼させることができる。圧縮すればするほど威力が増す。圧縮できる炎の量は込めた魔力量に依存する。
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ヤバいなこの”能力”。シンプルながら強力だ。そして何より燃費がいい。
俺の魔力量なら数万発は撃てるだろう。
そして【魔力操作】を持つ俺にとって込めることのできる魔力量は無限なのだ。
はっきり言ってチートだ。強すぎる。
俺は消し炭になった蛇の残骸から視線を外し、他の蛇たちを探す。
すると何匹かアイルたちの方に向かっていたので【火炎弾】を撃ち込み、焼却する。
四方八方から飛来する【毒弾】を【火炎弾】で打ち消しつつ、次々と焼却していく。
そして一分とかからないうちにアサシンスネークの殲滅は終了した。




