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温泉回 後編

 大浴場の中に入ると、俺の元に一斉に視線が集まった。

 入る時間は自由なはずなのに思いのほか人の数が多いいな。

 それでもいつもなら気にも留めないのだが、生憎と今回はラプラスがいる。

 いくら見えていないとしてもラプラスがいるのに視線が集まるのはあまりよろしくない。

 と言う訳で”能力”を発動しよう。


「【威圧】」


 次の瞬間、俺からとてつもない圧力が放たれ、今までこっちを向いていた男子生徒たちは一斉に視線を外した。

 良し、これで大丈夫だな。だが、万が一という事もあるかもしれない。念には念を入れておこう。


「【隠蔽】」

 

 これで万が一という事もなくなっただろう。もしもこれでも見える奴がいたら、その時は目を潰すしかなくなるが……その時はその時だな。

 あれ? でもラプラスからは見えるのか……【融解】をお湯に混ぜようかな? そしたら、貸し切りだよな? ラプラスの目に有害な物体が映ることもないし、俺もゆっくりと入ることができる。

 男子生徒? そんなものは後で【超再生】でもかけておけば何とでもなるのだよ。


 過保護? はっ、知ったことか! ラプラスの裸体を見られるくらいなら過保護になった方がマジだ! そもそも見た目6歳とは言え、女の子が男湯に入るんだから警戒するのは当然だろ!


《……どうしたの?》


 俺の行動を疑問に思ったのか、ラプラスが首を傾げながら聞いてきた。


「ああ、気にしなくていいよ? ちょっと視線が邪魔だっただけだから」


 俺がそう言うとラプラスはさらに首を傾げたが、すぐに気持ちを切り替えて身体を洗いに行った。

 そこで俺は《創造主》を発動させ、ラプラスの分の風呂椅子とシャンプーなどのシャワー道具一式を創造した。

 似たようなものはこの世界にもあるが、やはりどうしても日本のものと比較すると劣ってしまう。という事でこのように俺が創っているのだ。

 俺の分は【アイテムボックス】の中に入っているが、ラプラスの分は入っていないので使い終わったら入れておこう。


《……おーぎ、かみのけあらってー》

 

 風呂椅子に座ったラプラスがそんなことを言ってきた。

 俺は一瞬、これは絵面的に大丈夫なのか?と思ったがどうせ他の人からは見えていないので気にせずにラプラスの髪を洗う。


《ん~、きもちいい》

「それはよかった」


 俺は気持ちよさそうに目を細めるラプラスに癒されながら、洗い終わった髪を水で洗い流していく。


「身体は流石に自分で洗えよ?」

《……ん、わかったー》


 そう言って返事をしながら自分の身体を洗い始めるラプラス。かわいい。

 俺は別にロリコンと言う訳ではないのだが、これは可愛いと思う。小動物のような可愛さと言うか、天使のような愛らしさと言うか。まあ、全部ひっくるめて言えることは、うちのラプラス超天使!と言う事だろう。

 念のために言っておくが俺はロリコンではない。


 俺はそんなことを考えながら、自分の身体を洗っていく。

 そして洗い終わると、温泉の中に入った。


「ふぅ~、癒される~」


 お湯に肩まで浸かり、身体を伸ばすと、思わずそう声が漏れた。


《……ふぅ~、いやされる~》


 ラプラスも同じように浸かりながら、俺の真似をした。


 そうしてしばらく浸かっていると、


「扇君! ここにいたんだ!」


 相変わらずテンションの高い声を上げながら藤原が近づいてきた。

 あ~、そう言えばこいつも一緒に入ってたんだったな。すっかり忘れてた。

 と言うか、


「……お前ってホントに男だったんだな」


 どう見ても美少女にしか見えないんだが?


「もう! それ昨日も言ってたよ!? 僕ちゃんと男の子でしょ!?」

「いやいや、お前は男の『子』じゃなくて男の『娘』だから。と言うか、そう言いたいんだったらタオルを胸からかけるなよ。そのせいで余計に女みたいに見えてるんだから」

「え? タオル?」

「そう、タオル。そのせいで余計に煽情的に見えるんだって」

「じゃ、じゃあ、タオルを外せばいいの?」


 藤原はそう上目遣いに言ってタオルを外そうとする。


「いや、やめといたほうが良いぞ。そんな事したら一面血の海になる」


 だたの『血』じゃなくて『鼻血』だけどな。


「そうなの!? 知らなかったよ!」


 こいつ素直だな~。いつか絶対に騙される。

 これで序列31位なんだから驚きだよな。……アイルに瞬殺されたけど。


「それで? 何の用だ?」

「え!? 一緒に入るんじゃないの!?」

「あ~、そうだな」

「そうだよ!」

「はいはい、わかったから早くお湯に浸かれよ」

「うん!」


 そう言ってお湯に浸かる藤原。タオルで前を隠したまましゃがむ藤原は大変煽情的でした。


「お前って、なんで男なんだろうな」

「どういう意味!?」

「そのままの意味だ」

「えー! …………あれ?」


 藤原は急に首を傾げた。

 俺は気になって聞く。


「どうしたんだ?」 

「えーと、何て言えばいいのかな! そこに何か違和感がある!と思う!」


 そう言って藤原は俺の隣を指さした。

 俺はその指の先を見る。そこには――


《……わたし?》


 ラプラスがいた。

 まさか、こいつ見えて――――は、いないようだな。違和感がある程度か。

 だがこれは由々しき事態だ。違和感程度でも認識できるという事は、よく目を凝らせば見える可能性があるという事だ。

 いくら藤原でもそれは許容できない。

 ここは【催眠】でラプラスから意識を外させるか。


 そう思いながら【催眠】を発動しようとすると、ラプラスが妙にもじもじとしていることに気が付いた。


「ラプラス? どうかしたのか?」

《……んー、ふじわらがみてるから?》

「………………」

「え!? ちょ、どうしたの!?」


 俺は無言で藤原の目を手で覆った。

 そして壁一枚挟んだ女湯に向けて叫ぶ。


「一ノ瀬ーっ! ヘループっ! 今すぐにラプラスを引き取ってくれっ!」


 そう叫ぶと一ノ瀬から声が返ってきた。


『主様。それは、ボクに男湯に来い、という事かな?』

「違う! 【空間転移】でラプラスだけ送るから! 後は頼む!」

『いいけど……どうしたのかな、随分と焦っているようだけど』

「いいから! このままだとラプラスが何かに目覚める!」

『それはそれは、面白そうだから丁重にお断りするよ』

「おい!? 一ノ瀬!?」

『ちょっと、八重樫!? さっきからうるさい!』


 この声は星野か? まったくこんな時に!

 仕方ない。ここは安全策でいこう。


「ラプラス? そろそろ上がろうか?」

《……んー? まだはいったばっかりだよ?》

「そこを何とか!」

《……んー、わかった! おーぎのたのみだからね!》

「よし! 藤原! お前は後10分くらいしてから上がって来いよ!」

「よくわからないけど、わかったよ! 10分だね!」


 俺は頷きながらラプラスの手を引き、温泉から上がった。

 そしてもう二度とラプラスを男湯には入れないと心に誓ったのだった。 

報告です!

新しく『双子の妹と異世界転生~女神様に与えられたのは性癖を能力化する力でした~』の連載を始めました!

あくまでもメインは《創造主》なので投稿は不定期になると思いますが、宜しければ読んでみてください!

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