表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
66/177

ダンジョンの秘密

「そう言えばこのアスロル大迷宮って何階層まであるんだ?」


 四階層を探索しつつ巡っている途中、俺はふと疑問に思ったことを口にした。

 隣にいたアイルが答える。


「このダンジョンは全五十階層あると言われております。現在の最高踏破階層は三十四階層です」

「五十階層? 思ったよりも浅いな。てっきり百階層くらいはあると思ってたよ」


 ラノベなんかだと、大体そのくらいが定番だったはずだ。


「このダンジョンは生まれて数年しかたっていない若いダンジョンですから。あと十数年ほど経過すると百階層を超えると思われます」

「生まれる?」


 俺が首を傾げると、アイルは「はい」と頷きながら答えてくれた。


「ダンジョンとは神が創造した試練の一つ、と言われております。その際、新しく創造されることを”生まれる”と言うのです。生まれたばかりのダンジョンを子供の誕生とをかけたのでしょう」

「へ~、ダンジョンって神が創ってたのか――……って、創造?」


 その言葉を聞いて一人の人物が頭をよぎった。


「それって……」

「はい、アリス様でございます。アリス様は創造神でもありますから」


 アイルは小声でそう言った。


「やっぱりか」


 俺に《創造主》を与えたのもアリスだった。《創造主》が”神の権能”だというのならそれを持っていたアリスが創造神だというのは容易に想像がつく。

 

 でもそれって《創造主》ありきだよな? それ――今俺が持ってるんだけど?


 俺は少し疑問に思い、周囲に聞こえないように注意しながら小声で聞く。


「それってもしかしなくても《創造主》を使ったんだよな?」

「その通りでございます。《創造主》は”創造神の権能”ですから」

「だよな。でもさ――」


 それって俺が今持ってるよな?と言いかけて、俺は口を噤んだ。

 これ以上踏み込んでしまうと何か面倒くさいことになる気がしたからだ。

 

 これって俺が創造――


 そこまで考えて俺は首を振った。

 いまはまだ考えるのは止めよう。どうせここで考えてもどうしようもないんだから。


「扇様? どうかなされましたか?」


 俺の行動を見ていたアイルがそんなことを聞いてきた。


「いや、何でもないよ。それよりも、今確認されてる中で一番深いダンジョンってどこなんだ?」


 俺は誤魔化すように聞く。


「魔帝国ゾディアルにあるゾディアル大迷宮が世界最大で、全千四百階層あると言われております」

「……せん?」


 俺は思わず聞き返してしまった。

 俺の聞き間違いか? なんだか規模の違う数を言われた気がしたが。


「はい。千四百階層でございます」

「聞き間違いじゃなかったのか……」


 どれだけ昔に生まれたらそんな規模になるんだよ。

 このダンジョンとは桁が違うな。


「そのダンジョンってどのくらい攻略されてるんだ?」

「約千二百階層です」

「結構進んでるな。……あれ? でも待てよ? それだけの規模のダンジョンが千階層以上も攻略されてるのに、どうしてこのダンジョンは三十四階層しか攻略が終わってないんだ?」

「それは魔物が強いからでございます」

「でも所詮は三十四階層レベルだろ? そのゾディアル?大迷宮って言う所は千二百階層も攻略されてるんだから、この迷宮の攻略くらい余裕だろ?」


 俺がそう聞くとアイルは「いえ」と否定した。


「扇様、それは違います」

「どういうことだ?」

「例えダンジョンが大きくなろうとも、大迷宮と名の付くダンジョンの基準となる階層の強さはほとんど変わりません。多くの場合は一階層、中層、最下層の三つが基準となっております。層が増える場合は、階層と階層との間にその中間程の難度の層が出来上がるという仕組みです」

「つまり、このダンジョンの最下層とゾディアル大迷宮の最下層のボスの強さは同じってことか?」

「その通りでございます。そしてそれ事が、この小さな『迷宮』が『大迷宮』と呼ばれている理由です」

「なるほどな。大体わかったよ、ありがとう」

「お役に立てたようでなによりでございます」

 

 俺がお礼を言うとアイルは恭しく一礼した。



 

 聞きたいことも聞いたので、移動中に新しく増えた”能力”と”権能”のを試していこう。

 とりあえずは”権能”の《スライムボディー》の試していなかった効果を試すとしよう。

 

「《スライムボディー》」


 ……発動させてみたが何も起きない。

 いや、少しだけ関節が柔らかくなった、か? どちらにせよスライムの肉体になった気はしないな。


 そう、俺が試そうとしているのはスライムの肉体になる、と言う効果だ。でもこれじゃあそんなに使えないよな……って、そうか。これって他の”能力”と組み合わせないと使えないのか。


 俺は早速、自分の手に向かって”能力”を発動させる。


「【形状変化】」


 すると手首から先が真っ黒に染まった。

 これがスライムの肉体ってことなのか? 何というかダークスライムみたいな感じだが。

 まあいいや。とりあえずは成功とみていいだろう。

 と言う訳で早速、形を変えてみようか。


 俺は手の形状を剣へと変えるイメージをする。《創造主》でイメージすることは慣れてるから問題はない。

 するとすぐに変化が起こり、俺の手は形を変え、あっという間に刀身の形を形成した。

 黒色という事もありどことなく【ダークネスドミネーション】に似ている。


 少しだけ触れてみる。すると自分の肌と同じ感触があった。

 それを確認した後、俺は新たな能力を発動させる。


「【超硬化】」


 【超硬化】を使い、手の……刀身を硬化させた。

 改めて触れてみる。今度は普通に硬かった。もはや本物の剣だ。


 俺はそれを見て考える。


 これは某殺し屋のトランス能力を再現できるのではなかろうか?

 髪の毛の形状を変化させて腕のように動かすことも可能なのではないだろうか。

 流石にダークネスにはなれないが、これは夢が広がるな。


 ごほん。冗談はこれくらいにするとして、まじめな話、この”能力”は有能だ。

 これさえあれはわざわざ武器を手に取る必要はなくなる。そして他の”能力”に併せることも可能だろう。

 あらゆる場面に対処が可能になるはずだ。

 全身武器化、何と心躍る響きだろうか。


 

 ふと、頭にある”能力”と併せるという案が浮かんだ。

 俺の考えていることが成功すればかなり強力な技になるだろう。

 次に魔物が出てきたら試してみるか。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ