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災害級の魔物

「か……勝った~~~……っ」


 そう言いながら俺はその場に座り込んだ。


 ホントに今回は無茶しすぎたな。疲れた。

 【ダークネスドミネーション】と【反射板】のコンボが効かなかったらマジで負けてたな~。うん、間違いない。

 と言うか”ダークネスライン”の魔力消費量がえげつない。優に30000を超えている。

 おかげで俺の魔力残量が1000(スライムキングから吸収した魔力は除く)を切っている。

 それでも常人からしたら多いんだろうけど、俺の元の魔力量って100000(迷宮内で吸収した魔力を含む)を超えてるからな?

 それが1000以下になってるってことは単純計算で百分の一だからな?

 そりゃあ疲れもするでしょうよ。


「そう言えば、ラプラスは大丈夫か?」

《……つかれたー》

「はは、そうだな。お疲れ様ラプラス。しばらく寝るか?」

《……ん~、ねる~。なにかあったらおこして~》


 頭を撫でながらそう聞くとラプラスはそう答えた。かわいい。


「おう。それじゃあおやすみ」

《……おやすみ……》


 そう言うとラプラスは俺の肩の上で寝息を立て始めた。


 はぁ、俺も疲れたな。ただ、今はとても清々しい気分だ。

 例えるならゲームでボスキャラと長時間戦い続けてようやく勝てたみたいな。あんな感じの清々しさと、ほど良い脱力感だ。やってやったと言う気持ちが満ちている。

 

 俺は自分のステータスプレートの”権能”の欄にある《スライムボディー》の文字を見て、笑みを浮かべた。

 これは俺がスライムキングを倒したという証明なのだ。素直に嬉しい。


 そう感じながら俺が感傷に浸っているとアイルがこっちに歩いてきた。その後ろから星野達も近づいてきている。

 

「お疲れ様でございます、扇様」

「そうだな、めちゃくちゃ疲れたよ」

「相手が()()スライムキングでは仕方がありません」

「? 『あの』って、どのだ?」


 そう聞き返すと、後ろの星野がビクッとした感じで身体を揺らした。

 俺はそんな星野の反応を不審に思いながらアイルの言葉を待つ。


「スライムキングと言えばダンジョンで有名な災害級の魔物です。過去に討伐されたという記録は残されておりません」

「は?」


 災害級とは人には討伐不可能とされる最強クラスの魔物の総称だ。その力は一体で大国が亡びるほどといわれている。

 その代表とも呼ばれるのが龍種だ。”龍”とは”竜”の上位種と言われている。

 でっ? このスライムキングが災害級? マジで?

 というか有名なのか?


「……スライムキングが災害級っていうのは有名なのか?」

「はい。スライムキングは災害級ですが迷宮内ならどこにでもいますから。手を出さないかぎり攻撃をしてこないという事もあり、逆に有名となっております」


 その言葉を聞いて俺は星野に視線を向ける。

 すると星野はサッと顔を逸らした。藤原と一ノ瀬に向けてみても同じ反応だ。

 

 こいつら知ってやがったな?


「おい、星野? なにか俺に言いたいことはないか?」

「へ、へぇ~、知らなかったな~。さ、災害級に勝つなんてすごいわね~」

「知らなかったのか?」

「そ、そうよ? なによ、疑ってるの?」

「別に? 疑ってるわけじゃないよ。ただ、スライムキングについてあんなにすらすらと説明した星野がそんな重要なことを知らないなんてことがあるのかなぁ、と思ってさ」

「ま、まあ、人間だれしも知らないことの一つや二つあるわけだし……」

「ふーん? 本当に?」

「ほ、本当よ……」


 目を逸らしながらそう言った。

 俺は思わずため息を吐く。


「はぁ、まあ俺が確認しなかったって言うのもあるし、今回は別にいいけど、次からはちゃんと教えてくれよ? 約束だからな?」

「わ、分かってるわよ」


 星野はそう言って頷いた。

 念のため、他の奴にも言っておくか。


「お前たちもだからな?」

「かしこまりました」

「わかったよ!」

「気を付けるよ」


 そう言って頷いた。

 本当に約束を守ってくれるかどうかは甚だ疑問ではあるが、まあいい。


「それにしても惜しかったわね」


 唐突に星野がそう言ってきた。


「何がだ?」

「スライムキングの魔石が残ってさえいれば、初討伐の賞金と災害級討伐を討伐したことによる国からの勲章、報奨金まで手に入ってたのに。それに魔石本体の価値も合わさればきっと一生遊んで暮らせるだけの額になってたわよ?」

「あーこれって、そんなに価値があったのか。拾っておいて良かったな」

「え?」


 俺は【アイテムボックス】を開き、中からソフトボールほどの大きさの魔石を取り出した。


「そ、それってもしかして――」

「スライムキングの魔石だな。実はギリギリのところで回収してたんだよ」


 俺のその言葉に全員が固まる。


「ほ、本物なの?」

「触ってみてもいいかな?」

「凄いね、扇君! あの一瞬で回収するなんて!」


 三人は興奮した面持ちで言った。アイルは俺の斜め後方で誇らしげに立っている。

 

 災害級の魔石ってそんなに珍しいのか。まあ、倒せないんなら魔石を見ることもないだろうしな。

 まあ、いいや。とりあえずこの話は終わりだ。これからの話をしよう。

 

 みんな普通にしゃべっていて忘れているかもしれないが、ここはダンジョンの中だ。

 これからの方針を早く決めないと魔物が寄ってきてしまう。長居はできないだろう。


「これからどうするか、だが。先に進むか?」

「それはアンタが決めていいわよ。今この場で一番疲れてるのはアンタなんだから」

「えっ、いいのか?」


 俺がそう聞くと全員頷いた。


「そうか。それじゃあお言葉に甘えるよ。悪いが、今日はここで切り上げさせてくれ。さすがにこのまま進むのはきつすぎる」


 そう言って俺たちは今日のダンジョン攻略を切り上げた。

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