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ゴブリンへの評価は難しい

全身筋肉痛で痛いです。

 目の前には整えられた大きな入り口が口を開いていた。

 外から見た感じ中は洞窟のようになっているようだ。全体的にごつごつとしている。

 目の前にあるこの入り口こそ、ダンジョン――アスロル大迷宮の入り口だ。 


 俺はダンジョン内部へと一歩踏み込む。

 薄暗いが、ダンジョン内部のいたるところに埋まっているシュライト鉱石と言う特殊な石が薄く光を発しているため、見えないというほどではない。

 このシュライト鉱石は魔力を流すことでその光力を調節できるという性質を持つ。それに付け加えて採掘しても数日後には復活しているという不思議な石だ。

 そのため、この鉱石を使用した魔道具は冒険者だけでなく家庭用の光源としても広く普及している。

 まあ、地球で言うところの電球みたいなものだ。


 そんな事を考えていると、不意に何かが自分の中に流れ込んでくるような不思議な感覚に襲われた。

 なんだ?と思いながらきょろきょろと辺りを見渡していると、肩にポジショニングしているラプラスがその原因を教えてくれた。


《……おーぎ、いままりょくりょうがすごくふえたよ。あとのうりょくもー》

「魔力が? どうして急に……って、そう言えば《死霊吸収》ってパッシブスキルだったな」


 先に入っていった生徒か一般冒険者が倒した魔物(魂)を吸収したのか。

 少しステータスを確認してみると、筋力、魔力、”能力”がものすごく増えていた。この増え方は一匹って言う量じゃないな。

 ダンジョン内に居るだけで自動的に強くなれるとか、相変わらずチートかよ。

 

 まあ、それは置いといて。とりあえず”能力”の確認だけはしておくか。

 吸収した”能力”からある程度の対策はできるからな。


 俺がそんなことを考えつつラプラスに能力名とその詳細を表示してもらっていると、星野が聞いてきた。


「ねえ、八重樫。ずっと気になってたんだけど、荷物はどうしたの? アイルの【収納】に入れてるとか?」

「ああ、それか」


 そう言えば説明してなかったな。

 確かに、それなりの量があったあの荷物を今は一つも持ってないんだから、そりゃあ疑問に思うよな。


「あの荷物を全部背負うのって結構キツそうだったからな。新しく【アイテムボックス】っていう”能力”を創ったんだ」


 そう言いながら俺は何もない空間に手を入れてお茶の入った容器を取り出して見せた。


「驚きを通り越して呆れるわね……。まぁそれはいいとして、それってアイルの【収納】と何か違うの?」

「モノを出し入れできるっていう点で言えば同じだな。ただ俺の【アイテムボックス】は一応、戦闘面も考慮に入れてるから、そこは違うかな」

「収納能力で戦闘? どうやって?」

「それはほら――」


 俺はそこら辺に落ちている石を前方に勢い良く投げ、手から離れると同時に収納した。

 星野達はそろって首を傾げていた。


 ちょうどその時、岩の影から何かが飛び出してきた。


「ギャギャギャ」

 

 それはゴブリンだった。正確には違うかもしれないが、あの醜い顔と貧相な格好は元の世界の記憶にあるゴブリンそのものだった。

 数は1体。手には棍棒のようなものを持っている。

 

 ラノベなどではゴブリンは雑魚と呼ばれがちだが、その評価は所々ことなる。集団で襲い掛かる危険な魔物だったりな。

 そんなわけでゴブリンへの評価は意外と難しい。


 まあ、この世界のゴブリンが強いのかどうかは知らないが、ちょうどいいな。


 俺はゴブリンの後方に【アイテムボックス】を開いた。

 すると、解放された石は勢いよく飛び出していき、ゴブリンの後頭部に激突。そのまま絶命させた。弱いなゴブリン。


「――とまあ、こんな感じだな」


 他にもいくつかの使い方を考えている。だが、創るさいに真っ先に思い付いた使い方はこれだ。


 それを見ていた星野ふくめた3人は唖然としている。

 何か言いたげな様子だが、面倒くさそうなのでスルーする。

 俺はゴブリンの中から魔石を取り出す。死体はそのままだ。

 死体は一定時間が経過するとダンジョンが自動的に飲み込んでくれるそうなので放っておいてもいいとのこと。便利だなダンジョン。


「そうだな。とりあえず一ノ瀬、【アイテムボックス】の使用は許可しておくから、自分の荷物と星野の荷物も一緒に入れてやってくれ」

「おお、それはありがたいね。了解したよ」

「扇君! 僕は!?」

「お前のは俺のやつに入れてやる」

「ホント!? ありがとう扇君!」


 全員の荷物を収納し終えると、俺たちはそのまま探索を続けた。

 その間に出会った魔物はゴブリンや大鼠、蝙蝠などだった。

 ただ、一階層という事もあり、出てくる魔物はどれも弱かった。

 少なくとも、俺が転生した森の魔物に比べれば雑魚同然だ。それは他のメンバーも同じらしい。


 そんなことを思っていると、都合よく二階層に続く階段を見つけた。


「どうする? さっさと下の階層に行くか?」

「そうね、ここら辺の魔物は弱すぎるし。できるならもう少し強い魔物と戦いたいわね」

「僕ももっと強い敵と戦いたいな!」

「それは同感だね。さすがに一階層は弱すぎる」

「そうですね。それがよろしいかと」

「決まりだな」


 満場一致で次の階層に降りることに決定した。

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