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先生がとても優しく見える

ヤバいです。

片付けがきつすぎます。

水を吸った家具が重すぎて、想像以上の重労働に身体が悲鳴を上げています。


自分の運動不足を実感しました。

18日目  攻略1日目



 朝早くから闘技場へと集まった俺を含めたクラス連中は、皆意気揚々とした様子で談笑していた。

 それもそのはず。

 何と言っても今日は、待ちに待ったダンジョン攻略へと向かう日なのだから!

 俺も朝からワクワクしっぱなしだ。この感じは転生初日以来かもしれない。楽しみだ。


 俺がそんなことを考えながら顔がにやけるのを我慢していると、担任の高城先生が俺たちに声をかけた。


「よし、全員集まっているようだな。それではまず、全員にこの冊子を配布する。前から順に後ろへまわしてくれ」


 そう言うと高城先生は冊子を前列の生徒に配布し始めた。

 俺は回ってきた冊子を後ろの生徒へと送りつつ、冊子を見る。厚さは5ミリ程だ。

 表紙には『アスロル大迷宮攻略のすゝめ』と大きな黒文字で書かれていた。


 俺は《超高度AI》を発動させた状態で、パラパラとめくりながら軽く目を通す。

 その内容のほとんどはアスロル大迷宮の情報だった。

 ほかには先生が言っていたことを詳しくしたような諸注意などが書かれていた。

 詳しくは後で読むとしよう。《超高度AI》の記憶機能を使えば完全記憶なんてお手の物だからな。


 全員が冊子を受け取ったことを確認した高城先生は再び口を開いた。


「それでは、早速で悪いがお前たちにはすぐにここの転移陣を利用してダンジョン近くの町へと転移してもらう。それからお前たちがこれから一ヶ月間お世話になる宿へと向かう。その後は自由だ。ダンジョンに潜るなり宿で寛ぐなり好きにするといい」


 高城先生がそう言い終わると共に、足元に巨大な魔法陣が出現した。恐らく先生の言っていた転移陣と言うやつだろう。


 そうして、俺たちは魔法陣の光に包まれた。


  ◆◆◆


 気が付くとそこは見慣れない町だった。

 王都とは違い全体的に木造の建物が多い。

 それでも寂れているという事はなく、多くの人々が行き交っていた。

 気持ち冒険者風の装いの人が多いのは近くにダンジョンがあるからだろうか。


 そう考えているうちに宿へと到着した。

 かなり大きい宿……というか旅館?だが、他の宿泊客が全く見当たらない。どうも貸し切りらしい。


「それでは解散だ。これからは各々好きにしていいが、私から一つ言わせてもらおう」


 ん? 先生が必要事項以外のことを言うなんて珍しいな。


 そうして先生は改まった様子で口を開いた。


「冒険することも大切だが、危ないと思ったらなるべく深追いせず撤退しろ。ダンジョンには何度でも挑戦できるが命には限りがあるからな。できれば全員死ぬなよ」


 先生は最後に「以上だ。解散!」といい残して宿の中へと入っていった。

 あの先生、なかなかいい人だな。

 いつも厳しくて生徒に興味がないような感じなのに、ちゃんと心配してくれている。普段とのギャップが凄いな。

 しかもものすごく優しい先生に見える。

 なるほど。これがいわゆる『映画版ジャ〇アンの法則』と言うやつか。なかなか興味深いな。


 俺は宿の自分の部屋へと向かいながらそんなことを思った。


 部屋に入ると、俺は壁際に荷物を置いた。

 この後すぐにダンジョンに潜る予定だが、


「この荷物をもってダンジョンに入るのってきついな」


 俺は壁際に置いた自分の荷物を眺めながらそんなことを呟く。

 アイルに頼めば【収納】にしまってくれるだろうが――……いや、この際だ。俺もそれっぽいのを覚えるとしよう。


 俺はゲームでお馴染みのアイテムボックスをイメージしながら、《創造主》を発動させた。


「《能力創造:アイテムボックス》」


 イメージを明確にするために口に出す。

 なんとなく”能力”が増えたような気がした。


 俺は自分の荷物に向かって新しく増えた”能力”を発動する。


「【アイテムボックス】」


 すると、目の前にあった荷物が一瞬にして消え去った。成功だな。

 あとは収納しているモノを一覧で表示できればいいんだが……


「ラプラス、ちょっといいか? たった今【アイテムボックス】に収納したモノを一覧で見たいんだが、できるか?」

《ん、任せて》


 そう言うとラプラスは俺の視界に収納した俺の荷物の詳細がのっている一覧表を表示した。


「凄いな、上出来だ。ありがとう、ラプラス」

《……それほどでもあるよー》


 俺はえっへんと胸を張るラプラスの頭を撫でながら、部屋を出た。





「さて、みんな準備はいいか?」


 俺は目の前にあるダンジョン、アスロル大迷宮の入り口を眺めながら、そう言った。


「はい。もちろんでございます」

「もちろんよ」

「大丈夫だよ!」

「問題ないよ」

《……だいじょぶー》


 どうやら全員オーケーらしい。


「そうか。それじゃあ、行くか!」

『おー!』


 そうして俺はドキドキと胸を高鳴らせながら、ダンジョンへと第一歩を踏み出した。







  ユリス Side



 アスロル大迷宮の最深部。ボス部屋の中、一人の少女が闇に溶け込むように大きな塊に腰掛けていた。

 

「お? 今の感じ……よーやく来たみてーだな」


 

 ユリスははるか上から気配を感じ、そんなことを呟いた。


「ったくよー、どうしてあたしがこんなことしなくちゃなんねーんだろーな。てか、おせーよ。こいつもちっとは骨があるかと思ったのにさ。結局雑魚だったし」


 そう言いながら自分の座っている塊に踵で蹴りを入れた。

 

 その塊は()迷宮王。今はただの残骸となり果てた、七つの頭を持つ龍の成れの果てだ。

 未だ誰も踏み込んだことのない大迷宮の迷宮王を倒した挙句、雑魚呼ばわり。

 彼女の自分の力への自負がそれを可能としていた。


「ま、今回の奴はそれなりに楽しめそーだな。なんてったって一人は()()()のお気に入りだからな。ホントーならあいつの頼みを聞くのなんざ真っ平ごめんだが――まあ、楽しめりゃそれでいーか」


 そう言いながらユリスはニヤリと笑う。


「さっさと来いよなー。待ってる方も暇なんだからよー」


 ユリスは楽しそうに笑いながら、その背中に漆黒の翼を生やした。


「来たら全力で皆殺しにしてやんよ」

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