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転生特典の権能《創造主》をもって異世界へ  作者: 葉ノ月サトゥー
第一章 王立魔法学院編  
42/177

《創造主》

「さあ、第二ラウンドといこうかッ!」


 そう言いながら俺は再び鉄の剣を一本創造した。


「なんだ……その”能力”はッ? そんな奥の手を今まで隠していたのか」

「いやいや、奥の手っていうのはいざという時のために隠しておくものだろ?」

「ふん、たかが剣一本を創り出す”能力”で何を粋がっている。それよりも、まさか能力無効化の”能力”まで使えるとはな。もはや何でもありだな」


 こいつ盛大に勘違いしているな。

 剣を一本創る”能力”じゃないし、能力無効化の”能力”でもないよ。そもそも”能力”じゃないし。

 ……教えるか? そうしないと一瞬で終わりそうだし。一か所だけ訂正してやろう。

 

「? お前何か勘違いしてないか?」

「勘違い、だと?」

「《創造主(コレ)》は剣一本を創造するようなちゃちな”能力”じゃない。コレは――――万物を創造する力だッ!」


 そう言って俺は周囲に無数の武器を創造した。

 剣、槍、斧、ランス、ナイフ、などの多種多様な武器が空中で静止している。

 その総数は約500本以上。ちょうどアイルの『弾光剣』と同じぐらいの本数だ。

 種類は圧倒的にこっちの方が多いけどな。


「なッ!? な、なんだその”能力”はッ!? 大量の武器を創り出す”能力”など聞いたことがないぞッ!」

「あっそう。というか根本的なところが間違ってるんだからわかるわけないじゃん。――それよりも、防がないと死ぬよ?」


 俺は親指と中指を擦り合わせパチンッという音を鳴らす。

 それを合図に周囲に浮遊していた武器が次々と打ち出され、伊藤のもとへと飛来する。


「あまり俺を甘く見るなよッッ!!」


 そう叫びながら伊藤は”能力”を発動する。


「【未来視】ッ! 【超演算】ッ! 【反射板】ッ!」


 ……一体何をする気だ? たかが”能力”でどうこうできる程《創造主》は甘くないぞ?


「……おいおい、マジかよ……ッ?」


 伊藤は複数の【反射板】を10枚程まとめた分厚い赤い板を複数創り出し、それを飛来するすべての武器に添わせるような形で高速配置し、その角度を少しだけ調節することで武器の軌道をすべて逸らしていた。


「はあぁあああああああッッ!!」


 伊藤の咆哮が闘技場内にこだまする。

 

 もはや人間業じゃないな。どうなってるんだ?

 俺は【完全回答(パーフェクトアンサー)】を発動し問いかける。


「なあ、伊藤のアレってどうやってるんだ?」


【回答します。アレは【未来視】による数秒後の未来の完全予測と、全ての物事を演算処理で導き出すことのできる【超演算】を複合して、高速で飛来する武器をどのタイミングどの角度で対処することが正解なのかを演算で求め、対処しているのです】


「は? そんなことが可能なのか? 頭でわかってても身体が付いてこないだろ」


【回答します。それを可能としているのは伊藤洋祐の強靭な精神力と胆力、忍耐力の賜物です。総合して結論を出すとすれば『天才』と言うやつです】


「今目の前で起きてるあれを『天才』で済ませていいのか?」


 目の前では息切れを起こし片膝をつきながらも、その身体には傷一つない伊藤の姿があった。

 周囲にはとてつもない量の破壊跡と武器が散乱していた。

 そう、あの武器の嵐をしのぎ切ったのだ。

 ただの”能力”で、”神の権能”を耐え抜いた。


「はぁ……ッ、はぁ……ッ、……どうだ? 死んでない、ぞ?」

「……アンタホントに人間か? 化け物かよ……」

「その言葉、そっくりそのまま返してやる。この化け物がッ」

「失礼な、俺は人間だ」

「はッ、どうだかな」

「…………」

「…………」


 数秒間の沈黙。それを破ったのは伊藤だった。


「今の攻撃、もう打ち止めか?」

「なんだ、もう一度してほしいのか? そうならそうと早く言えよ」


 だがどうする? もう一度するにしても結果は同じだろう。

 電磁加速するという手もあるが、相手に【未来視】と【超演算】がある以上、効果は薄いだろう。

 それこそ未来で見たところで対処できないほどの質量か速度を持つものじゃないと……。


「試合中に考え事とは余裕だな」


 そう言いながら伊藤は赤い板の1枚を足元に斜めに設置し、それを踏み台にして高速で駆け出した。

 

 【反射板】で力の向きを反射させて加速してるのか? でたらめだが、便利な”能力”だな。


「【武装】ッ! 【未来視】【超演算】ッ!」


 伊藤は続けて3つの”能力”を発動する。高速移動する伊藤の腕に光が纏わりつき、一瞬で槍を形成した。

 そして勢いそのままに突きを繰り出した。槍にはご丁寧に【反射板】の破片が纏われていた。


「《能力創造:空間転移》」


 俺はイメージしやすい様に口に出してアイルの持つ”能力”、【空間転移】を発動し伊藤の背後に転移する。

 そして一瞬で創造した鉄の剣10本を同時に打ち込む。


 伊藤は【反射板】の赤い板に手をつき、向きを反射してこちらに振り向くと、先程と同じように赤い板を添わせてすべての軌道をずらしまたも防ぎ切った。


「さっきよりも対処が早くなってないか?」

「ふん、一度演算し終えたものに手こずる訳がないだろう」

「それもそうか」


 面倒だな。どうするか。

 

「大地よッ、我が敵を拘束せよッ! 『土魔法:アース・バインド』ッ!」


 伊藤が”魔法”を発動する。俺の足元の地面が隆起し、俺の身体を拘束する。


「これは……」

「終わりだッ! 八重樫扇ッ!」


 槍を構えた伊藤が【反射板】を使って高速で迫る。

 一見するとピンチだが、《創造主》の前にはこんな拘束なんて無意味だ。むしろ俺の武器になる。


「《万物創造:形状改変》」


 俺は口に出しながらイメージする。

 俺の身体を拘束しているこの土の形はもっと違う形状だ。

 そうだな、俺の身を守る数本の円錐状の棘と言うことにしよう。


「――なッ!?……ぐッ!?」


 俺がそうイメージした瞬間、俺を拘束していた土の形状が変化し、高速で迫ってきていた伊藤の肩、脇腹、腕、ふくらはぎに深々と突き刺さった。

 痛みに顔を歪めた伊藤は槍で土の棘を破壊し、その場に膝をついた。


 どう見ても戦闘を続けられる傷じゃない。それどころか出血が多すぎる。急がないと出血多量で死ぬぞ。


「なあ伊藤。どう見ても勝負ありだ、降参しろよ。じゃないと死ぬぞ?」

「ふざ……けるなよッ。演算は、完璧だったはずだッ! それなのになぜ勝てないッ!? 俺の演算は、演算は……ッ、完璧だったはずだろォッ!?」


 伊藤は目の前の俺に向かって叫んだ。


「知るかよ。例えどんなに完璧な演算をしたところでお前が先に力尽きたんだから関係ないだろ。ていうか早くしないと本当に死ぬぞ?」

「関係、ない。この闘技場で死んだところで……結界さえ解かれれば、生き返る……からな…………」

「そうなのか」


 どうやら一頻り叫んだことで、落ち着いたらしい。


「だが……ただでは死なんぞッ!」

「……なッ!?」


 そう叫んだ瞬間、伊藤の身体からとてつもない量の魔力が溢れ出した。

 その魔力は繭のように伊藤の身体に纏わりついた。


「一体何をッ!?」


 今からくる攻撃はヤバい。俺の直感がそう告げていた。

 俺は瞬時に身を守るためのイメージを始める。


「我が死の怒りを開放せよッ『自爆魔法:クリムゾン・ノヴァ』ッ! ともに死ねッ、八重樫扇ッ!」

「自爆ッ!? ふざけるなよッ!?」


 次の瞬間、闘技場は一面真っ赤に染まった。

 それは触れたものをすべて破壊する死の光。

 文字通り人一人の命を開放して放たれる最大級の魔法。


「……………………マジで自爆とかすんなよな。殺す気かよ」


 だが俺の《創造主》を破れるほどの威力はなかったらしい。

 

 俺は自爆が完了する前に自分の周囲を分厚いオリハルコンの壁で覆った。

 そのおかげで俺自身に対するダメージはゼロだ。

 自爆までしてこの結果じゃ伊藤も報われないな。


 俺はオリハルコンの壁の一部を透明にして外の様子を確認した。


「お、おう……これは何というか……凄いな……」


 外の地面や壁、天井などの結界で覆われていない部分はほとんどすべて消し飛んだ。

 どうやら残っているのは俺のオリハルコンの後ろにあった極一部だけらしい。

 伊藤の姿もどこにもなかった。……えっと、大丈夫なんだよね? ちゃんと生き返るんだよね? 俺って人殺し扱いになったりしないよね?


 俺はかなりの不安に襲われた。ま、まあなるようになるさ。

 と言うか凄いなここの結界。あれを受けても破れないのか。

 

 俺はオリハルコンの壁を消し去り外にでる。まだ辺りには熱がこもっていた。


「え~……伊藤洋祐、自爆により戦闘不能ッ。よって勝者――――――八重樫扇ッ!」


 審判の宣言とともに観客席から歓声が沸き上がった。

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