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転生特典の権能《創造主》をもって異世界へ  作者: 葉ノ月サトゥー
第一章 王立魔法学院編  
36/177

トランプってそんなに楽しい?

  7日目



「扇様、学校側から序列戦の通知が届きました」


 1対8の戦闘(一方的)を繰り広げた次の日、朝起こしに来てくれたアイルからそんなことを告げられた。


「……マジで?」

「マジで、です」

「お~遂にか」

「遂に、です」


 どうやら昨日の夜に届いたらしい。


「で? 対戦日時は?」

「? 普通は初めに相手を聞くものではないのですか?」

「えっ、だってアイルならだれが相手でも勝てるだろ? むしろ相手がかわいそうだよ」

「! もちろんでございます。必ずや扇様に勝利を捧げます」


 そう言いながらアイルは恭しく膝をつき、手を胸に当て頭を垂れた。

 

 未だにこういう態度には慣れない。

 別に俺が偉いわけじゃないし、どう考えてもアイルの方が優秀だ。

 そんなアイルが俺の前に跪いている。

 ……いや、それ自体は良いんだけどね。

 それはそれで興奮するし。全然問題ない。


 ただまあ、いまだに信じられないって言うかなんて言うか。

 さすがに異世界転生したっていう事実は受け入れたけどさ。

 俺が望んだわけだし。

 でも、俺がこんな美少女と一緒にいるっていう事実は未だに信じられない。

 まあ、そんなところ。


「ま、頑張れよ。くれぐれもやり過ぎないようにな?」

「かしこまりました」


 アイルはそう言いながら頷いた。


「って、肝心の対戦日時は?」

「明日です」

「は? 何、もっかい言って?」

「明日です」

「それはまた……急だな。俺の時は一週間後だったのに」

「確かにそうですね。ですが何も問題はございません」

「そっか、アイルが良いなら別にいいけどさ」


 俺はそう言いながら寮の部屋を出た。




 教室の俺の机を見て俺は溜息をつく。


「増えてるな、封筒。またこんなバカみたいな人数を相手にしなくちゃいけないのか? 本当に面倒くさいんだが」


 そう、増えていた。

 序列戦の申し込みの封筒が昨日よりも数枚多かった。

 ぱっと見11~13枚ってところじゃないか?

 全部に目を通したわけじゃないし、完全には断言できないけど昨日よりは確実に増えてると思う。


 はぁ~やだやだ。なんでこんな人数を一人で相手にしないといけないのか。

 と言うか学校側はこれを認めてるのか? さすがに多すぎるだろ。注意くらいしろよ。


 伊藤って奴も何を考えてるのかさっぱり分からない。

 いくら俺に人数をぶつけたところで変わらないだろうに。

 というか、無駄な戦力の消費につながるだけじゃないのか? それとも戦力と消費するだけの価値があるのか? 例えば戦力を消費すればするほど強くなる”能力”とか。


 う~ん、今は考えても一緒か。

 いずれは分かるんだから焦る必要もないし。

 むしろここまで戦ってあげてるんだから何もなかったら怒るよ、マジで。

 できればその伊藤とやらには頑張ってほしいものだ。




 昼休み。いつも通り4人で昼食をとっていた。


「で? 今回は何人に申し込まれたの?」


 その途中、星野がそんなことを聞いてきた。


「聞いて驚け。まさかの13人だ」

「多いね。大丈夫なの?」

「問題ないよ。何人集まっても一緒だし」

「ふ~ん、それならいいけど」

「頑張ってね扇君! 僕応援してるから!」

「おう、頑張るよ」


 俺がそう言うと、藤原はニコニコ顔で頷いた。

 こいつの元気の源はなんなんだろうな。

 毎日毎日そのテンションで疲れないのか?

  まあ、口には出さないけどさ。

 そこが藤原の美点でもあるし、何よりこっちが救われることも少なくないからな。

 こっちとしてはとてもありがたかったりする。


 そして、昼食を全員が食べ終わった頃。

 …………特に何もすることが無くなった。

 昼休み終了まで残り20分強もある。その間に何をしようか、と言う話である。

 前も言った気がするが、この世界には暇つぶしに使えるようなものが少なすぎる。

 他の生徒はどうやって時間をつぶしているのだろうか? 謎だ。


「で、この後どうするんだ? 解散? それとも何かするの?」

「このまま雑談でいいんじゃない? どうせ何もすることないんだし。意外と時間はつぶれると思うけど」

「あ~確かにな。意外と原点が一番効率的か」


 暇つぶしの原点とは雑談である(自論)。

 人数が増えればそれだけネタも増えるし、共通の話題が見つかるかもしれない。

 人間誰かに共感してもらえるというのは嬉しかったり、楽しかったりするものだ。

 そして、そう言った感情は時間の進みを早くする。

 学校あるあるの『あれっ、今日時間がたつの早くない?』を引き起こすのだ(自論)。

 

 なんだかんだ言っても雑談が手ごろなのだ。

 何か特別な道具が必要なわけでもないから手軽にできるし。

 ただ問題があるとすれば、会話を盛り上げてくれる人とか会話を先に進めてくれる人がいないと時々微妙な空気になる。

 会話がない空間ほど気まずいものもない。


 ただこの場に限って言えばその心配はないな。

 なんて言ったって藤原がいるし。

 これほど会話を盛り上げるのに適切な人間もいないだろう。

 これはもう雑談で決まりか? 


 そんなことを思っていると、藤原がリクエストを出してきた。


「僕トランプがしたいな!」

「………………正気か?」


 俺は藤原の正気を疑った。


 だってこいつお泊り会の時に全戦全敗を達成した男だぞ?

 さんざん罰ゲームまでやらされてたのにまだやりたいのか?


「お前ってドMなの?」

「違うよ!? どうしてそうなるの!? 僕はただトランプがしたかっただけだよ!?」


 全力で否定する藤原。


「いや、だってお前あれだけ盛大に負けたのにまだしたいとか、ドMのマゾとしか考えられないんだが……」

「何か増えてるよ!? 僕そんな変態じゃないからね!?」


 またしても全力で否定する藤原。

 ヤバいな、藤原いじるの超楽しい。

 って、こういう感情がイジメにつながるんだろうな気を付けよう。

 ただ、昔否定していたイジメられる側も悪いという言葉の意味が少しわかった気がする。

 まあ、結局はいじめる側が悪いことに変わりはないんだけどね。


 さて、そろそろ切り上げようか。


「悪いな藤原。正直に言うとトランプは飽きた。できれば別のものが良い」

「そんな~!」

「悪いな。で、星野とアイルは? 何かしたいことないのか?」

「別にこのまま駄弁ってていいんじゃない? 何気に時間潰れてるし」

「私も特にしたいことはありません」

「そっか。んじゃこのままでいいか」

「賛成ー」

「異存はございません」


まあ、俺も特にしたいことないし、それでいいか。


「えっ! トランプは!? しないの!?」


 こいつどんだけトランプしたかったんだよ。

 トランプって面白いけどやり過ぎると飽きるよな? 飽きないの?

  

「はぁ、わかった。また今度付きやってやるから。その時までは我慢な」

「いいの!? ありがとう扇君!」


 そんな感じで、時間は順調に過ぎていき、ついに昼休み終了のチャイムが鳴った。

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