神の魔法
ブックマーク&評価ありがとうございます!
今回は少し短めです。
急いで書いたのでもしかしたら書き直すかも?
試合が終わり、観客席に移動する。
「お疲れ様です、扇様」
観客席に到着するとアイルがそう言いながら出迎えてくれた。
俺は軽く返事をしならがアイルの隣に腰掛けた。
視線が集まる。
ただ、今回の視線は試合前のような私怨や嫉妬の入り混じった視線ではなく、未知の者に対する好奇心のような視線が多い気がする。
それでも一部男子はすごい目で睨んでくるのだが、それは完全スルーだ。
どうやらすでに試合が始まっているらしく、闘技場の舞台では二人の生徒が戦っていた。
俺はそれを見ながら感心する。
感心した理由はその戦いが高レベルなものだったからではなく、戦っている生徒の片方が魔法使いだったからだ。
この世界に来て一度も魔法使いには出会ったことがなかった。
”魔法”も立派なファンタジーの代名詞だ。
それが目の前で使われているのを見るとやっぱりテンションが上がる。
俺も一度でいいから魔法を使ってみたい。
あ、『生活魔法』は別ね。
俺が言ってるのはもっとこう、一気に敵を薙ぎ払っていく! みたいな、大規模な魔法が見たいわけよ。詠唱も聞いてみたい。
「なあ、アイル。あんな感じの”魔法”って俺も使えるようになったりするのか?」
「可能です。使用したい魔法の詠唱、そしてその魔法がどのようなモノなのかをイメージできてさえいれば誰にでも使用することができます。当然大規模な魔法になればなるほど、詠唱は長く、イメージも大変になります。――これが、この世界の人間が考えた魔法の基本理論です」
アイルの言っていることは大体理解できる。
今まで見てきた漫画でもそんな感じだった。
でも、『この世界の人間が考えた』の部分が少し気になるな。
「その言い方だと、神界の考えは違うのか?」
「違う、と言いますか。”魔法”の起源とは神界の神々がつまらない日常に刺激を求めて作り上げたものですから。その”神の魔法”を人間でも使えるようにしたのがこの世界の”魔法”です。ですから本来、その詠唱の意味をしっかりと理解できていれば詠唱をする必要はなく、どのようなことが起きるのかをイメージできてさえいれば”魔法”に不可能はありません」
「へ~、ってことは、今魔法を使ってるアイツも詠唱を破棄して使えるようになるのか?」
俺がそんなことを言うとアイルは否定するように首を横に振った。
「残念ながらそれは不可能です」
「説明をプリーズ」
「かしこまりました。詠唱を破棄するということは”神の魔法”に近づくということです。”神の魔法”とは基本的に神々にしか使用を許されません。こちらも”神の権能”と同様に人間には使用不可となっております。”神の魔法”を使用できるのは神界の神々、それに次ぐ力を持つ最高位天使、特別に使用を許可された人間だけです」
「……それってさ、俺は使えるってこと?」
「肯定します。扇様にはアリス様から授かった”神の加護”が備わっております。これにより扇様は”神の権能”である《創造主》を思う存分使用できるのです。”権能”とはいうなれば”魔法”の上位互換です。”神の権能”を使用できる扇様に”権能”以下の力しか持たない”魔法”を使用できない道理はありません」
「なるほど」
ってことは、全部アリスのおかげってことか。
ありがたいな。実のところ詠唱は少し恥ずかしいかなぁと思ってたからな。
それが必要ないというのは正直助かった。
アリス様バンザイ。
……なんだか宗教みたいだな。
アリス教か、ちょっと入信してこようかな。
それはさておき、
「なあ、アイル」
「どうなさいましたか?」
「今度さ、俺に魔法を教えてくれないか? アイルの都合のいい時でいいからさ」
「! かしこまりました。お任せください」
アイルはそう言いながら胸に手を当て、恭しく頭を垂れた。
教えてもらうのはこっちなんだから、頭を下げる必要はないのに。
というか上げてください! さすがに周りの視線が痛いです!
と、俺が内心で叫んでいると高城先生の声が聞こえてきた。
どうやら今までやっていた試合が終了したらしい。
勝者は魔法使いの方だった。
そして次の試合の生徒が決まる前に、アイルが立ち上がった。
「それでは行ってまいります」
「行くってどこに?」
「試合です」
アイルがそう言うと、高城先生からアイルの名前が挙がった。
「どうして?」
俺の言葉はそのあと、どうしてわかったんだ、と続く。
「天使の力で因果律を少し」
「そんなことまでできるのか。……まあ、ほどほどにな」
「はい。それでは扇様のご希望の通りに”神の魔法”をご覧に入れます」
アイルはそう言うと、闘技場の舞台へと降りて行った。
まあ、なんとなくそうかなぁとは思ってたけど、やっぱり使えるのか、”神の魔法”。ってことは、アイルは最高位天使ってことになるのか。
「ったくアリスの奴。お世話係としてつけていい天使のレベルを越えてるだろ。まあ、そのおかげでアイルに出会えたわけだから、文句も言えないけどさ」




