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転生特典の権能《創造主》をもって異世界へ  作者: 葉ノ月サトゥー
第三章 三大委員会対抗戦編
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【超吸収】

「と、いう訳で、あまり時間も無いことだし、さっさと終わらせるとしようか」


 俺がそう言うと、二人は改めて構えをとった。

 星野も藤原も少なからず疲弊しているが、その目と周囲に張り直されている【結界術】を見る限り、まだまだ諦めてはいないらしい。

 ハハッと、自然と笑みがこぼれる。


 あぁ、楽しいなぁ。

 ダンジョンに潜って魔物を狩るよりも断然楽しい。

 別に魔物と戦うのが楽しくないとか、そういうわけではないのだが、俺は対人戦の方が好きだ。

 だって、先が読めないだろ?

 何が起こるか分からない。

 予想外が起きたときの緊張感やワクワク感がたまらない。

 ……うむ、俺も大分この世界に毒されてきたな。

 まあ、そういうのも悪くない気がする。

 と言うか、楽しければ何でもいい。

 この世界を思う存分楽しむ、それが俺の数少ない目的の一つなんだから。

 だから、


「できるだけ、楽しませてくれよ?」


 そう告げると、俺はすぐに”能力”を発動した。


「【空間転移】【超吸収】」


 一瞬で藤原の後ろに転移し、【超吸収】を発動した状態で【結界術】に触れる。

 すると、


 ――数十枚張られていた【結界術】が一瞬にして俺の手に吸い込まれて消え去った。

 

「えっ!?」

「自分の【結界術】を過信しすぎだな」


 驚愕の表情を浮かべる藤原にそう告げる。

 このまま一気に――――と思ったが、高速で飛来するナイフを防ぐため【超硬化】を発動した。


「? 【付与】は無しか?」


 ナイフを弾いた後、そう呟く。

 さすがに魔力が切れたのだろうか?

 と思ったが、そう言えば今は闇の霧が張られていないことを思い出した。

 どうしてそこまで【付与】を隠そうとするのかは分からないが……なんにせよ、【超硬化】を突破できない以上、ナイフでの攻撃は取るに足らないということだ。


「――『闇魔法:ハイディング・エリア』! 水よ、我が敵を貫け! 『水魔法:アクア・レーザー』【重複】っ!」


 後方に飛びながら素早く詠唱を終えた藤原は闇の霧を発生させた。

 その後、俺と藤原とを隔てるように魔法陣が並べられ、その全てから水のレーザーが放たれる。

 

 星野が注意を引き、その隙に藤原が詠唱を終える。

 この二人、案外良いコンビなんじゃないか?

 でも、悲しいかな。

 藤原と【超吸収】は頗る相性が悪いのだ。

 それこそ、()()()()()()()()()()()くらいに。


「【超吸収】!」


 俺は改めて”能力”を発動する。

 すると、闇の霧も水のレーザーも何もかもが、俺に触れると同時に吸い込まれて消え去った。


 【超吸収】は、俺が触れた対象の魔力を吸収し、自分の魔力に変換するという”能力”だ。

 ここで大切なのは魔力を吸収するという点。

 つまり、ほぼ全てが魔力で構成されている”魔法”に対してこの”能力”を使えば、十中八九完封できる。

 メインの攻撃手段が”魔法”である藤原にはきつ過ぎる”能力”だろう。


「悪いな。今の俺には”魔法”は効かないんだ」

「そんな!?」

「ちょっと眠ってな。【睡眠弾】」

「――ぁ……」


 睡眠の力を凝縮した弾丸を受けた藤原は、一瞬にして意識を刈り取られその場に倒れた。

 残りは一人だけだ。


「さて、どうする星野。まだ続けるか?」


 とは言ったものの、闇の霧も藤原の【結界術】もないこの状況で星野に出来ることなんてないに等しいだろう。

 

 そんな俺の考えを肯定するかのように、星野は手を上げ首を横に振った。


「な訳ないでしょ。降参よ降参。あたしの負けでいいわ」


 星野がそう言うと、


「そこまで! 勝者、八重樫扇、アイルΔチーム!」


 高城先生がそう宣言した。

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