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転生特典の権能《創造主》をもって異世界へ  作者: 葉ノ月サトゥー
第一章 王立魔法学院編  
14/177

新人歓迎イベント(?)

  3日目



 昨日はものすごく歓迎された。

 メイの命の恩人ということもあってかVIP待遇だった。

 広い部屋に豪勢な料理、そして貸し切りの大浴場! まさに天国だった。

 これで混浴なら文句なしだったんだが…………ま、それはまた今度考えよう。

 まだ転生3日目だからな。焦る必要はないか。


 そして朗報だ。なんと、メイのお父さんの計らいで学院に編入できることになりました! はい拍手~、パチパチパチ……。


 さて、どうしてそんな事になったのかと言うと昨日俺とアイル、メイとメイのお父さんとお母さんで夕食を食べていた時のこと。


『オーギ殿はこれからの予定はあるのかね?』

『そうですね。実は俺、学校に通ってみたいと思っていまして』

『ほう学校か。もしやそれは、王立魔法学院のことかね?』

『あっはい、そうです』

『おお! そうか! それならば私から学院のほうに編入生が来ると連絡しておくとしよう!』

『えっ、いいんですか?』

『なぁに、かまわんさ! 娘のためでもあるしな!』

『? ありがとうございます』


 という会話があったのだ。

 編入するのは明日。

 急すぎる気もするが観光以外特にやることもないし文句はない。

 俺としても早く学校には通ってみたかったしちょうどいい。

 それよりも驚いたのはアイルが一緒に編入するということだ。

 正直付いて来るといわれたときは嬉しかったけど、少し申し訳ない気もする。

 もっとアイルと話し合って決めるべきだったかな。


「扇様? どうかなさいましたか?」

「あ~何でもないよ」


 考えるのはあとだな。

 今は観光に集中しよう。

 そう、俺たちは今、観光のため町に来ていた。

 案内役にメイを連れて。


 アイルがいれば大丈夫かなとも思ったんだが、やっぱり現地住民の案内があった方がわかりやすいと思い、今日の朝頼んでみたら即答でOKだった。

 頼んでおいてなんだが、貴族のご令嬢がこんなにフットワークが軽くていいのか? と聞いてみたところ、


「お父様に相談したら『おお、行って来い!』と二つ返事でOKをくれました!」

 

 とのこと。

 此の親にして此の子あり、とはまさにこのことである。


「オーギ様! もうすぐ冒険者ギルドに到着しますよ!」

 

 っと、目的地に到着するらしい。

 なぜ冒険者ギルドかと言うと理由は単純、すなわち”お金がない”からだ。

 学校に通うためにもお金はいるし観光するにもお金がいるのだ。

 幸いにも魔石は腐るほどあるからな。

 どのくらいの値段になるのかはわからないが、まあまあの金額にはなるだろう。

 そうでないと困る。


 多少の金銭的な不安を抱えつつ俺たち三人は冒険者ギルドに到着した。

 石造りなのはほかの建物と変わらないが、全体的にごつごつしていて装飾品は一切なし。

 そして何より他とは違いいかにもな雰囲気が漂っていた。

 まさに俺の思い描く冒険者ギルド像そのものだった。

 いいね、テンション上がるよ。

 テンプレ通りに行くならここで人相の悪い冒険者に絡まれたりして。


 俺は先ほどの不安とは別に胸が高鳴っているのを感じていた。


「よし、じゃあ開けるぞ」


 俺は軽く深呼吸をした。スーハ―スーハ―、よし! いくか! いざ――


 ギィイイ……


「え?」


 俺がいざ扉を開けるために手をかけようとしたとき――突然に扉が鈍い音を立てながら開いた。

 俺の知っている人物の手によって……


 俺はその人物を見て何とも言えない気持ちになった。


「メイ……」

「はい? えっ、もしかして開けちゃダメでしたか!?」

「いや……いいんだ。大丈夫、気にするな」

「あ~その、なんだかすみません」


 俺の様子を見たメイが謝ってきた。

 あまり気を使わせる訳にもいかないので「気にするな」とだけ言って中に入る。

 するとまぁものの見事に注目を集めていた。

 そりゃあ入り口でしゃべってたら注目も集めるわな。


「なんだか見られてませんか?」

「見られてるな」


 メイも気が付いたらしい。

 だがまあ想定内だな。で、どこで買い取ってもらうんだ?


「確かそっちのカウンターで買い取ってもらえると思いますよ」


 とのことなのでカウンターに近づいていく。すると、


「おう、にぃちゃん。ここは女連れで来るところじゃないぜぇ?」

「まったくだな。それにしてもこんな美女を二人も侍らせてやってくるとはな。これはもう襲ってくださいって言ってるようなもんだよな?」

「お、いいなぁそれ! 殺っちまうか! まあ、そこの美少女二人を置いて行くって言うんならあんただけは助けてやってもいいけどな!」

「なぁに安心しろよ。用が済んだらちゃんと返してやるからよ。その時はもう壊れてるかもしれないがな」

「ぎゃはははははッ」


 人相の悪い男たち三人が急に近づいてきたかと思えばいきなりそんなことを言い出した。俺は思わず心の中で感心する。


「本当に来るとはな。それにしてもまさかここまで想像通りとは。これって俺の《創造主》が働いてるとかじゃないよな?」

「あぁ? テメェいったい何言ってやがる」

「おっと口に出てたか? これは失礼」

「……テメェなめてんのか?」


 どうやら怒らせてしまったようだ。

 俺はそれを見て少しだけニヤけた。

 なんともまぁ俺の理想通りに動いてくれる奴らだ。

 嫌いじゃない、むしろこういうシチュエーションって一度味わってみたかったんだよな。

 そして相手をボコボコにしたい。

 だってこの状況なら正当防衛で済ませられるし。


 そんなことを考えていると、アイルが物騒なことを言い出した。


「殺りますか?」

「殺らんでいい。いきなり物騒なこと言うなよ。出禁になったらどうするんだ。せめて半殺しくらいにしとけ」

「半殺しならいいんですか!?」

「まぁいいんじゃないか? 正当防衛ってことで。あっ! でもその役目は俺がするからな? さっきみたいに横取りするなよ」

「かしこまりました」

「根に持ってるじゃないですか……」

「持ってないって……少ししか」

「持ってるじゃないですかぁ!」

「はははっ」


 って、悪漢を前にしてする会話じゃないな。

 そのおかげでだいぶ和んだが、相手方は和んでないらしい。

 顔が引きつり青筋が浮かんでいる。

 というかメイのやつ思ったよりも逞しいな。

 もっと脅えるかと思ったんだが、その心配はないようだ。


 さて、やるかな。


「悪いな待たせて」

「……にぃちゃん、まさかあんたがやるのか?」

「何か問題が?」

「いぃや? 今のうちに救護班呼んどいたほうが良いんじゃないかと思ってな」


 俺がやるといったとたん、悪漢たちはニタァとゲスい笑顔を浮かべた。

 俺ってそんなに弱そうに見えるかな?

 別にいいけどさ。こんな明らかなモブキャラに言われると少しへこむ。


 というかこいつら意外と優しいな。

 救護班っていうのがなんなのかはわからないけど、字面的に地球でいう救急車みたいなもんだろ?

 それを呼ばせてくれるとか、悪漢としてそれでいいのか? 


「まぁいいや。それよりも俺を襲うんだろ? さっさと来いよ。それとも怖気づいたのか?」

「テメェ、マジで殺すぞ」

「ははっ、やってみろよ」


 その言葉が合図となった。

 悪漢たちは「おらぁあああッ!」だの「死ねぇえええッ!」だのと頭の悪そうなことを叫びながら迫ってくる。


 まったく、こいつらはどこまで俺の理想通りに動いてくれるんだ! 最っ高だな!

 悪漢たちはナイフ、斧、大剣をそれぞれ装備していた。連携もせずに突っ込んでくるが、それでいい。いや、それでこそだろう。


 俺は速攻を仕掛けてきたナイフ使いの攻撃を《創造主》で素早く”創造”した鉄剣で防ぐ。

 手は一切使っていない。

 そもそも空中で自由に動かせるのにわざわざ手に持つ必要はない。


 そうやってナイフ使いを抑えていると、斧と大剣がほぼ同時に振り下ろされる。

 食らったら普通に死ぬかもしれないが、それはつまり食らわなければ問題ないということだ。

 俺は素早く鉄の盾を二つ同時に創造した。

 鉄盾と二人の武器がそれぞれぶつかり合い、甲高い金属音とともに火花を散らす。

 攻撃を防がれた大剣使いと斧使いが叫びをあげる。


「ンだぁっこの盾は!? いったいどこから湧いて出やがった!」

「ちっ、邪魔くせぇっ!」


 鉄剣をもう二本ほど創造する。

 そしてナイフ使いにしたように鉄剣を飛ばして戦う。

 この時点で戦況は一気に変わった。

 もともと動きの遅かった大剣使いと斧使いはナイフ使いと違って宙を縦横無尽に駆け回る剣に全くと言っていいほど対応できていない。

 必死に剣を打ち落とそうとしているが一向に当たらない。

 そのくせこっちの攻撃はどんどん傷を作っていくので悪漢たちはすでに涙目だ。


「クソッ、クソッ! なんなんだよこの剣はよぉ!?」


 思ったよりも弱かったな。

 念のためと思って一応盾も創造しておいたが最初の一撃以来まったく必要としていない。

 こうやって遊んでるのもいいがどうしようか。

 このまま永遠と一方的にちゃんばらしててもいいんだが、そろそろ飽きたな。

 さっさと終わらせるとしよう。この後用事もあるしな。


「お前らの敗因は、喧嘩を売った相手が俺だったことだな」


 俺はそう言い残し、今まで軽く振るうだけだった剣を今度は思いっきり振り抜いた。

 その衝撃で三人は吹き飛びギルドの壁に激突した。

 そして、その身体が落ちる前に今度は二十七本の鉄剣を創造し、三人の身体をそれぞれ十本ずつの鉄剣を使い、壁に突き刺し縫い付けていく。

 身体には一切の傷をつけずに、あたるか当たらないかのギリギリのラインを狙った。

 髪の毛や服は切れてるけどそこだけは勘弁してほしい。

 まあ、自業自得ってことで。


「で、俺の勝ちだな。ってもう聞いてないか」


 悪漢たちは今の攻撃で気絶してしまっていた。

 周りを見渡すと、ギルド内にいたほぼすべての人がポカンと口を開けて固まっていた。

 まあ、確かにやり過ぎたかもしれないな。

 反省、後悔はしないし、するつもりもないが。


 そんなこんなで新人歓迎イベントは幕を閉じた。

ブックマークありがとうございます!


1章タイトルで「魔法学院編」とのたまっておきながらいまだに学校に通ってないというね。もしかしたらタイトル変更するかもしれません。

あと1,2話で学校に行くと思います。気長におまちください。

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