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2.コーヒーは適当な位が目覚ましになる

夜が明けて、刹那は自分の部屋で微睡んでいた。大きめのワイシャツをパジャマとして着ている。


一人暮らしの1K。布団と乱れたタオルケット。床に置かれたテレビに、小洒落た一人用のテーブル、

洗濯機、服や下着をしまっている収納ボックス、小さめの冷蔵庫。

目覚し時計に、いくつかのぬいぐるみと、作りかけのプラモデルなどが転がっているそんな部屋だ。

静寂を壊すように目覚し時計の音がなり、刹那は目覚める。

もぞもぞと起き上がってキッチンに立ち、昨日の夜に水を入れておいた電気ケトルでお湯を沸かし、

お気に入りのコップに、適当な分量のコーヒー粉を入れながらお湯が沸くのを待つ。砂糖とかもこのタイミングで適当に入れている。

お湯が沸くちょっと前位に、コップにお湯を入れ始めた。

混ぜかたはコップを持つ手首のスナップ依存なので、寝ぼけていれば寝ぼけてるほど混ざらない。

そんなコーヒーを飲むのが日課だ。はじめは眠気覚ましであったが、今では飲まないと落ち着かないまである。


「……うん、今日も適度に不味い」


そんな不味いコーヒーを飲みながら、刹那は今日の予定を確認する。バイトはなし、他にもこれといったものはない。昨日の今日なので街の様子は気になる。


「出かけるか………っと忘れない内に、オートレポート」


オートレポート。

昨日の魔法少女としての活動をレポートとして残す為だけの魔法だ。

書類と筆記用具を用意すれば事実通りに書き上げてくれる便利な魔法と言える。

しかし一昨日や、今日の活動はレポートしてくれない。あくまで一日前のことだけだ。


現代に生きる上で、おおよその魔法少女は、魔法少女協会あるいはそれに準ずる何らかの組織を窓口として活動している。

これは秘匿はされてないが特別感を演出する為でもあり、そもそもの魔法少女としての収入源を安定性を出す為のものでもある。

例えば、魔法少女活動の映像使用料回収であったり、実体験をもとにしたアニメや特撮、

ゲームなどを作る際の権利周りの取り扱いであったり、それらを協会に任せて運営してもらい、稼いだ資金を活動状況に合わせて魔法少女に還元してくれるのだ。

レポートを提出する事で組織に詳細な活動報告を行っているのである。

刹那クラスの魔法少女になれば、その資金だけでも良い生活は出来るのだが、敢えて表の顔として喫茶店のバイトをしている。

本来戦い自体はそれほど興味がないので、一般的で平凡な生活をしたい。というのが理由だ。


コーヒーを飲み終えた刹那は、収納ボックスから悩みもせず無造作に服を取り出し、着替え始める。

表の顔も大事にしている刹那は、昨晩のようなクソダサTシャツではなく、落ち着きと遊び心のある年齢相応な服を選ぶ。

大人過ぎず子供過ぎず露出も程々に、これが刹那の通常時のセンスではある。




新都心第三練馬タワー。

近年の状況を踏まえて、関東圏での異常事態における情報収集及び対応の為に建造された一つである。

一階と地下にはショッピングモールがあり、他の練馬タワーと地下通路で繋がっている。

そのショッピングモールよりも更に地下、ここに魔法少女協会の施設が存在する。


無論、協会の面々は昨日の出来事により協会員は慌ただしく仕事をしている。アラート音も常に鳴りっぱなしだ。

事後処理の指示や、新たな敵の追加出現の度に魔法少女への連絡、上がってくるレポートからの情報収集……どれをとっても山積みだ。

気づいて対応してくれる魔法少女もいるにはいるが、昨夜刹那でも感知できなかったように個人では目視が限度なので、気付くというより偶然巻き込まれて、が正しい。

それなら、ここでも見つけられないのではないかと思うだろうが、ここでは魔力以外の側面からも異常を探ることで対応している。


そんな中、一人の協会員が違和感に気付く。


「こっ! これは!? ちょ、ちょちょちょ! センパイセンパイ! 見てください!!」

「なに?! こっちも忙しいんだけど!?」


協会員の見ている画面には、地図と今までの発生位置が表示されていた。事務作業を任せていたはずなのにな、と先輩協会員は思うが、

何か気づいたと言うならそれでチャラになる範囲ではある。


「これを発生順に一定の法則を用いて線で結んで、残った点を最初の線にぶつからない範囲で繋ぎます。すると……!」

「えっこれ……」

「そう、大昔に構築された儀式魔法解除の魔法陣です!! とすると恐らくこの魔法陣の中央に何か封印されているものがあるはず!!」


二人の会話に近くの協会員もざわつく。

今の仮定が正しいとするならば、並の魔法少女では対処できない。並以上は大体戦闘中あるいは負傷、はたまた距離の都合でほとんどいないと言っていい。


「検索しました……この規模で戦えて、なおかつ間に合うのは刹那さんくらいですね」

「急いで連絡を!!」

「はい!!」

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