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13.お風呂タイムはついポロッと言いやすい

少しの時間がたち、お風呂が沸いた。

ここまでの時間で、刹那が予想していた展開があり、やはり押し切られて三人で入ることになったのだ。

脱衣所で三人だと手狭なので、順番だ。

まずは刹那と響、これは響がまだ着替えに不慣れだとわかっているので、手伝うつもりだ。ちなみにずるいずるいと言われたのだが、ここは何とか死守した。


「それじゃ、脱がして行くよ」

「ええ、よろしくお願いします」


こういうときは、響の口調が少し丁寧になる。緊張でもしてるのだろうか。

刹那は、平常心平常心と頭の中で呟きながら、脱がしていく。

スレンダーな身体付きではあるが、痩せ過ぎというわけでもないし、思っていたより、細かな傷もなくスベスベしている。服を脱がしおえて下着だけの状態になった今もはや手伝う必要はない。


「まじまじと見てどうかしました?」

「戦いに参加して接近戦してる割に、肌がきれいだなって思って」

「……作戦参謀なので、実戦にはほとんど出ていない……です」

「なるほど」


刹那は、なんとなく本当になんとなく無意識で、響の脇腹に触れた。無駄な肉のない瑞々しい肌が刹那の指を押し返す。


「んっ……」

「ごめんごめん。つい」

「ついとは」

「なんとなーく、ね?」


刹那は、気まずくなったので、勢いでごまかすことにした。

女性の身体になって10年とは言え、望んでなったものではない。本能的に無意識な行動で困るときは、未だにあるのだ。

ある上で、会い手に説明出来ないから勢いでなんとかするにたどり着いた。


「さ! あとは自分で出来るでしょ? 」

「えっ、あ、ええ」


勢いは大事だ。相手に隙を見せはするが、時間的には最小になる。下手に守りに入るより安全な場合も多い。

刹那は、服と下着を脱ぎ捨てるように急いで脱いで、さっさと浴室に入る。

刹那が入って少ししたところで、天歌も脱衣所に来たのだろう。何やら声がぼんやりと聞こえる。

刹那は思考をリフレッシュする為に、風呂桶に冷水を溜めて、頭からかぶる。

これで冷静になれるだろう。

そのまま、一旦お湯を浴びて頭を洗い始める。背中を隠す程に長い髪を丁寧に洗う。いい加減短くしたいが、今の髪の長さでの商品展開がまだまだ続くので維持せざるおえない。


そうしていると天歌と響が浴室に入ってきた。


「刹那お姉ちゃん、お髪洗うのお手伝いしますね」

「よくわからないし、私も」

「あー……うん、お願いしようかな?」


刹那は断ることも考えたが、ボリューム的に手伝ってもらった方が早い。余りに待たせて風邪をひかれても困る。なので、基本的に全部肯定で行くのがいいだろう。


「それじゃ、やりますねっ」


刹那は、前頭部あたりに恐る恐る触れる指の感覚を感じ取った。これは響の指だろう。見様見真似で恐る恐るやっているのだろう。

対して、後頭部あたりは、慣れた手付きでわしゃわしゃとやられている、こちらは天歌のものだ。


「どこかおかゆいところはありませんかー?」

「てっぺんと横もお願いできるかな?」

「はいっ」



そんな感じで互いの髪を洗いあった。響は、環境の為か少しいたみがあったが、その辺りのケアも行った。天歌は、髪量が多いくらいで割とあっさり洗い終えた。



「さっ! 次はからだですっ! 刹那お姉ちゃんの柔肌には、やっぱり素手でやったほうがいいですねっ」

「いや、素手じゃなくて普通に洗って?」


天歌がそう言ってしまうのも無理のない話だ。

規則正しい生活に食事、常日頃からの運動、そして魔法少女として見られている事を意識した結果、

程よく出るところは出て、引っ込むところは程よく引っ込み、無駄のない色気と整った健康美を両立させている。

程よくなのがポイントなのだ、細すぎても健康的な印象はなくなるし、胸が大きすぎても行動に支障が出る。

天歌は天歌で、将来性のあるボディといえる。お腹の辺りの少女感と、成長し始めた胸。まだまだ小ぶりなおしり。

それぞれが成長途中であり、女性と少女の間といった印象だ。


「えー、わかりました」

「えー、じゃないの。全く」



そんな感じでもめたり、きゃっきゃしたりして三人洗い終わり、浴槽に浸かる頃には結構な時間が経っていた。

予想通り三人同時に入る事は出来た。とはいえ、適当に膝とかがぶつかるので、それほど広々とした印象はない。


「ほら、天歌ちゃんも響もちゃんと肩まで浸かって。入るまで濡れたまま適当に時間経ったから風邪ひいちゃうかも」

「はーい」


天歌は、先程までのはしゃぎっぷりが嘘のように大人しくなっていた。おそらく疲れてしまったのだろう。

響は神妙な面持ちで、じっと刹那と天歌を観察している。刹那がその視線に気づかない筈も無く。


「どうかした?」

「いえ……その、地上はみんなそんなにふくよかなのですか?」


刹那は、その質問に思わず吹き出してしまった。真面目な顔して聞くことかと。

だが、吹き出した後も響の表情が変わらないので、答えて上げることにした。


「みんなってことはないよ。個人差あるし、魔法少女やってる子は、常に視線意識してるから整っている子は多いけど、どちらかといえばスレンダーな方が多いかな」

「なるほど、私の国では、大体が……そうスレンダーなので。ずっと気圧が理由だと教えられて来たから、地上は、と 」

「なるほど、多少は影響あってもおかしくないかも。上空だろうしね」


こうして、三人のお風呂タイムは、ゆっくり進んでいった。

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