よろしくね
「で、ここが体育館」
廉は結局、本当にルーテリア・ユニアに一つ一つ学校を案内して回っていた。
体育館では、バスケ部とバレー部がコートをネットで二分して、各々練習に励んでいる。
「面白そう。みんな何をしているの?」
「部活だよ。まあバスケとバレーなら、お前もそのうち授業でやると思う……」
「これが部活なのね!私たちもそのうちこうして集まって、漫画の研究をしていくってわけね」
ルーテリア・ユニアは実に楽しそうだった。宝石のような青い瞳をキラキラと輝かせている。
「そう簡単じゃない。まず部員を5人集めないと、部活は作れない。俺とお前の他に、あと3人必要なんだ」
「3人と言わず、もっとたくさんの人に協力してもらいたいわ」
「でも、この学校は運動部が強いからなあ」
入学してくる生徒の多くは運動部目当てだろうし、そもそも漫画好きが多ければすでに漫画研究部が存在していても不思議じゃない。今更ながら作戦を間違えたか?と後悔する。
「そういえば、あなたは部活はやっていないの?」
「……やってたよ。でも、やめたんだ」
一年生のうちは、廉は野球部に所属していた。坊主頭にキャップをかぶり、熱い太陽に照らされていたものだ。
「やめちゃったの……?」
頷き、廉は身を翻して体育館を後にする。ルーテリア・ユニアが、子犬のようについてくる。
「ちょっと、怪我をして。続けられなくなったんだ」
「ええ?大丈夫なの?」
「今は平気だよ。ただ、肩を壊したから。野球はもうやめたんだ」
「やきゅう?」
渡り廊下から、グラウンドで練習をしている野球部が見える。
「あれ。ボールを投げる部活だから、肩が使えないとどうしようもないんだ」
「そうなの……」
ルーテリア・ユニアが気まずそうに顔を歪めたので、廉は明るく、
「いや、俺よりお前の方がよっぽど危ない目に遭ってきただろう?」
「ルーって呼んで」
「え?」
「親しい人はみんな私をルーって呼ぶわ。あなたは大切な協力者だもの。ね、よろしくね」
ルーテリア・ユニア改めルーは、にっこり笑う。
「そうね。私たち組織のことについても、詳しく話をしないとね」
そう言うと、ルーは廉の手を掴んで、
「私の住まいへ来てちょうだい。なるべくあなたの疑問へは答えるから」