少し顔から飛び出てるではないか!
そうして男が水面に近づき自分の姿を見ようとした次の瞬間、男はあるものを見て飛びのいた。
「な、なんだきみは!」
それは足らしきものが六本あり、手が二本、しかもその手が何か奇妙な形をしている。
「…なんだその手は…そんな手では何かを挟むことしかできないではないか…そしてきみはなんてところに目があるんだ!少し顔から飛び出てるではないか!」
そうしてまじまじと見ていると、そいつの口らしきところから泡が出た。
「な、なんと!」
すると声が聞こえてきた。
「おいお前、何を見てやがる!」
「な、なな、なんと!」
男は驚き飛び跳ねた。
「な、なな、なんと!って言われてもわかんねーよ。お前ってアホなのか」
「な、なんだこれは!なんてやつだきみは!」
そういうと手が変な、目が顔からちょっと出てる、アホのような奴が泡を吐きながら岩から落ち川に流れていった。
「…ざ、ざまあみたまえ」
すると
「んで、さっきから何を見てたんだよ」
「!」
振り向くとそこにはキツネがいた。
「な、なな、なんだきみは!」
男が驚いて言う
「なんだもなにもねえだろ、さっきから話してたろ」
キツネが続けて言う。
「いやあ、でも面白かったぜ。何かを一心に見つめてよ、話しかけたら飛び跳ねて、声裏返ってんの」
そう言ってキツネは腹を抱えて笑い始めた。
「……」
続くのである