総じて植物!
ある日男がふと蛇が言っていたことを思い出した。
「俺と同じ蛇じゃねーか」
そうだ私は蛇なんだ。だったら水面に蛇の私が映るはずだ。見に行ってみよう。
そうして男が洞窟を出た。辺りを見渡すとたくさんの木があるように感じられた。
「総じて植物!」
男がふんぞり返って言う。そして続ける。
「なぜ植物かってえ?それは土から生えているから」
男がさらにふんぞり返って言う。そしてまた続ける。
「…なんでここにいるんだ…」
男は頭を抱え洞窟に戻ろうとする。すると
「ん?蛇?ああ」
男は黙って水面を探し始めた。
こうして歩いてみると、ここがどこなのかわからなくなる。歩くところすべてが新鮮に感じられた。歩いていると一羽の鳥が飛び立った。男は驚き飛び上がる。
「な、なんだあれは」
男が目を細める。
「飛んでいる…ああ、あれが鳥というもんか!初めて見たような、幾度となく見てるような…いや洞窟の中からよく見ていた気が…」
男がうつむきだした。そして顔をあげ
「初めてではないな。ここで見たから初めてと感じたのだ。まったくややこしい」
そうして歩いていると泥水がたまっているのに気づいた。
「おや」
男が近づく、だが渋い顔をしている。
「せっかくなら綺麗な水面が良いな」
そう言って男はその泥水をよけて歩き始めた。男は知らぬ間に(欲)を身に着けていた。
そうして歩いていると水の流れる音が聞こえてきた。
「おや、川がありそうだ」
男は笑みを浮かべて歩き出した。
そして川にたどり着いた。
「よーし見つけたぞ!これが川か」
男がにんまりいう。
「たぶん初めてではないが、初めてのように感じるな。…あの時は何も考えていなかったからかな?まあいい、川に来れたんだ、満足満足!」
そうして男が水面に近づき自分の姿を見ようとした次の瞬間、男はあるものを見て飛びのいた。
「な、なんだきみは!」
続く