ネガティブ
すると人間は私の住処(洞窟の中)の中央部分にちょこんと座り、隅にいる私に向かって何やら話し始めた。
「私、昔から人に好かれないんです」
唐突になんだね!と私は思いながら目を泳がせている。
「まあ、私が人見知りで人の会話に入るのがすごくへたくそっていうのもあると思うんです。その人見知りっていうのを言い訳にして、話しかけられるのを待っちゃうっていうのも悪いことだと思ってはいるんです。でも…他の人の会話にいきなり入っていって盛り下がっちゃったりしたらどうしようとか、話しててうざがられたらどうしようとか、話しかけたら嫌な顔されたらどうしようとか、話しかけようとするといろんなネガティブに襲われて結局ためらっちゃうんです」
「…ぬう」
男はとりあえず、ぬうとだけ言った。
「で、話しかけられるの待つじゃないですか、そしたらぜんぜん誰も私に話しかけてこないんです!」
「ぬう…」
「だったら話しかけに行けばいいじゃない!ってなるのはわかるんですけど…私って今まで誰とも会話してこなかったじゃないですか?」
「?」
「私の会話スキルって最も下なんです…下っていうか何ていうか…あの、あれなんです、もうはっきり言ってゼロ、ゼロなんです!今まで誰とも話してこなかったから、会話スキルのレベルが上がることが何にもなくて…挨拶されても、本当に私にしてるのか疑っちゃって、あっ私だって思ったときにはもう相手がいなくて陰でなにアイツってなってて、また評判下がっちゃって…」
「う、うぬう」
「で、何の話してたんでしたっけ?」
「!」
「あ、そうそう、そうなんです!そんな私がいきなり話しかけに行けると思います?」
「?」
「そうなんです!無理なんですよ!」
「!」
なかなかに助けてほしいのである。




