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今日も私は死んでいる  作者: 柿の種
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総じて土から生えている!

次の日男は会話をしようと蛇を探したが、そこに蛇はいなかった。まあまた帰ってくるだろうと待ち続けて4か月が経った。もしかしたら帰ってこないかもしれないなと思い始めたとき、ふと蛇が言っていたことを思い出した。


「俺と同じ蛇じゃねーか」


 そうだ私は蛇なんだ。だったら水面に蛇の私が映るはずだ。見に行ってみよう。

 そう男が思って洞窟を出た。男が洞窟に入って以来、洞窟から出るのは初めてのことだった。


 そういえば私は洞窟から出たことがなかったか。辺り一帯の景色が初めてのように思えた。辺りを見渡してみるとそこには木がたくさんあるように感じられた。


「人間はこれを木と呼んでいた。そして下に生えている緑のやつを草と呼んでいた。総じてこれを植物と呼んでいた。」


 男は考え始めた。こんな大きな植物をなぜ木と呼ぶのか。


「味気ない、こんなにも大きく威厳のある風格を持った植物が(木)であるはずがない。もっと良い呼び名があったのではなかろうか。…まあ百歩譲って(草)はわかる。なんとなくわかる。…いや、もしかすると人間界では文字数が少なければ少ない分だけ威厳というものが…」


 男のぶつぶつが始まった。

「はっ、この前の花も植物ではないか!植物はどのラインで植物なんだ…」

そう言いながら男は頭を抱え洞窟の中へ入っていった。

            

「総じて土から生えている!」


 この答えに至るまで男は二週間考え続けた。


「気持ちが楽になった。良い気分だ良い気分だ」


 その時男がふと思った

「これがうれしいというやつか」


そうして男は(実感)というものを初めて感じた。


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