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今日も私は死んでいる  作者: 柿の種
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蛇さん登場


 そして何日か経って少年は目を覚ました。

 

 あれ?なんでぼくは生きてるんだろう。たしかへびがはいってきてぼくを食べたんじゃ…


「お?起きたか?」


 その声に振り向くとそこにはあの時の蛇がいた。少年は驚いた。そこに蛇がいることに、そして声がわかることに。


「ぼくを…食べたんじゃ…ないの?」


 少年が覇気のない声で言った。すると蛇が


「俺はリスは食うけどよ、肉がねえ、まずそうなリスは食わねえんだ。だから肉をつけてやろうと、木の実の汁とかをお前の喉にねじ込んでやってたんだぜ」


 蛇が器用に木の実の皮を剝きながら言う。


「…え?…どうして?」


 少年は端的に聞いた。


「どうしてってお前、お前を太らせて食うために決まってんだろう」


 少年は安心した顔をした。


「そうか、ぼくを食べるんだね…これで…ママとおとうさんに会える」


 すると蛇が残念な顔をした後に笑いながら


「なんだ、お前死にたいのか?残念な奴だな、お前。俺はお前ほど残念な奴をこの長い人生でまだ一匹しか見たことがないぜ」


 と言った。それを聞いた少年の口角がほんの少し上がった。


「…なにそれ…」


 すると蛇は少年の寝ている隣までしゅるしゅると来て


「一番残念な奴はなこの前洞窟であった俺と同じ蛇だ!そいつは会話を知らねえ奴だった」


 すると少年はふふっと笑って


「どうして?」


 と言った。そんな少年の顔を見て蛇も口角を上げた。


「わからねえ、でもそいつは、会話とはどうやってするんだ?って聞いてきたんだ。俺はそいつに会話ってやつを丁寧に教えてやったよ」


「…それから?」


 少年の声に覇気が戻ってきたのを蛇は感じた。


「それからってえと…」


 蛇は言えなかった。次の日に少年を見て以来会っていないということを。


「どうなったの?」


 少年の目に光が戻りだした。蛇は器用に頭をかき


「ええとだな…そのおだな…そいつは…そのあと…俺を師匠と呼んでだな…尊敬するようになったんだ!」


 蛇の目はグルグル回っていた。


「それで?」


 と言った少年に、蛇は綺麗に剥いた木の実を差し出した。


「その話はいいから、お前はさっさとこれでも食べてな」


 その木の実は今まで見たどんな木の実よりもきれいで、輝いて見えた。


「…いいの?」


 少年が蛇の目を見る。蛇は優しい口調で


「当たり前だろ。お前のために剥いたんだ。感謝して食べろ!」


 と言った。


「うん!」


 と言ってむしゃむしゃと食べ始めた。それは今まで食べた木の実の中で一番おいしく感じた。すると少年は、口の周りや腹のほうが果物の汁でべたべたしているのに気が付いた。それを見てあらゆる感情があふれ出し涙が出そうになる。少年はそれをぐっと堪え


「へびさん、どうもありがとう。いままででいちばんおいしかった」


 涙をこらえながら言った。すると蛇も照れくさそうに


「そうか、ならよかった」


 とニヤニヤしながら言った。そして少年が疑問に思っていたことを聞いた。


「なんでぼくと話せるの?」


 蛇は急におどおどしながら


「…俺はなぜだか知らんが、声がわかるんだ、ほかの動物の。といっても全員じゃない、その生物が俺よりも大きすぎたり小さすぎたりすると、何考えてるのかわからない」


 と言った。すると少年が目を丸くして


「それってすごいね」


 と言った。すると蛇が首を横に振る。


「それがあんまりすごくないんだよ。俺も最初はすごいと思ったんだけどな…最初はいろんな動物に声をかけてみたんだ。でも誰も反応しなかった。誰も耳を傾けてはくれなかったんだ」


「どうして?」


 と少年は聞いた。蛇は優しく笑い


「だって種類が違うんだ。誰も蛇が自分に話しかけてるとは思わない」


 と言った。そして続けて


「お前だって最初に俺を見たとき震えて言葉を失っただろ?」


 と言った。すると少年が何かを思い出したように


「でもね、あのとき!しんぱいしてくれたように思ったんだ!」


 と慌てながら言った。すると蛇は嬉しそうに


「そうなんだ!そこで俺も感じたんだ、この子今わかったんじゃないのかって!それからお前のことが気になって…まあ、あの時のお前のあのやばそうな状態もだいぶ気になってはいたんだが…それでお前を探したんだ。何回も危ない目にあいながら…そうしてやっと見つけたお前は…」


 蛇は急に涙を浮かべて


「死にそうになってやがった…それでも…お前となんとか話したくてよ…木の実をつぶして飲ませたりしたんだ。でもお前は飲まなかった!お前は生きることを拒否していた…理由はなんとなくわかる、両親を食われたんだろう…それでも俺はお前と話がしたかった!」


 と言った。その時少年の目にも大粒の涙が流れた。


「こんなにかわいいお前を死なせたくなかった。まだまだ楽しんでないのに死なせたくなかった!この世には絶望しかないと思いながら死なせたくなかった!この世には嫌な事がいっぱいある!でも、いいことも少なからずある!だからあ!あきらめるな!生きることをあきらめるな!」


 その時少年は蛇と父がかぶって見えた。少年の顔が涙でぐちゃぐちゃになっている。


「お前にこれを言うために…俺はお前を生かした」


 すると少年は蛇に抱き着き


「ごめんなさい、ごめんなさい」


 と泣きながら何度も言った。それを聞いてる蛇の顔も涙でぐちゃぐちゃになっていた。


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