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43.黒めの未来

『終わりましたね』

だな。ダンジョンゴーレム!


俺は戦闘が終了したことを確認し、ダンジョンゴーレムに隔壁と結界の解除を命じた。


「あなた!」


隔壁等が解除された途端、テレサやその孫達がニクス達のもとに向かって走りだした。

そしてニクス達に抱き着き、彼らの無事を涙を流しながら喜んだ。


よっぽど心配だったんだな。

『ですね。それで、この後は彼女達に自己紹介に向かうんですか?』

いや、今の戦いで俺は疲れた。向こうも心労や疲労があるだろう。今日はもう休んで、明日自己紹介で良いだろう。

『それもそうですね。では、休息がてら進化を行いましょう』

そうだな。経験値はさっきので貯まったし、護衛を任せられるエレメンタル達もいる。進化で無防備になっても、今ならなんの問題も無いだろうしな。

『はい。デーモンジェネラルは貴方の新たな手駒となりましたし、転生神獣達もいます。問題はありません』

なら決まりだ。おっと!進化に入る前にいろいろと後始末をしておかないとな。


そう思い立った俺は、早速行動を開始した。

思考をそれぞれの頭に振り分け、その頭ごとに後始末を行った。

まずはテレサ達に、話し合いを後日にしてほしいと交渉にいった。

これは予想通り、テレサ達も疲弊していた為二つ返事で了承をもらえた。

別の頭は、【沼】漬けにしていたテレサの恩師の回収作業を行った。

こちらは引き上げるのに少し手間取ったが、恩師からは無事に瘴気がぬけていた。

現在は気を失って眠っているが、目を覚ませば正気に戻っているはずだ。

また別の頭は、地上で留守番をさせているアリアンロッドを迎えに行かせた。

さすがにこれから一泊するのに、放置しておくわけにはいかないからな。

あのヒヨコは大事な預かりものだしな。


さらに別の頭には、ラケシスの宝玉を回収に向かわせた。

これは進化する時に、ラケシスの宝玉も取り込んでおきたいからだ。

これはダンジョンゴーレムが近くまで運んできてくれていたので、なんの問題も無く回収出来た。

今宝玉は、俺の手元にある。

そして残りの頭を使って、このダンジョンにある取り込む価値のあるものを収集した。

この施設はいろいろと貴重なものを溜め込んでいそうだから、有用なものはこの機会に取り込んでしまいたい。


収穫としては、いろいろといわくありげなものが山と手に入った。

彼女に確認してみたところ、それらと融合すること自体には問題は無いそうだ。

だから、安心して全部取り込むことにした。


とりあえず後始末やらは、その分割作業で片付いていった。

残る作業は、先程得た耐性の能力Levelを上げておくこと。そして、進化先を決めておくことだ。


進化先の表示を頼めるか?

『わかりました。進化先を表示します』



【デーモンヒュドラ】

悪魔の名前を冠する多頭幻獣類。

自分の住家一帯を【障気】で覆い隠し、その領域に入ったものを【障気】で蝕む。

蝕まれたものが死の間際に放つ、絶望や後悔といった高純度のマイナス思念がなによりの好物。

別名、【地獄よりの使者】


【カースヒュドラ】

数多の呪いを操る多頭幻獣類。

頭の一つ一つが固有の呪詛を持っており、同じ種族のモンスターであったとしても、その内容には差異が存在する。

未練や怨みを持った者の声を聞き、その感情を媒介に呪いを発動させることが出来る。ただし、この場合に呪い返しをされると、感情の持ち主の方に呪いが返される。


【マリオネットヒュドラ】

傀儡使いの異名を持つ多頭幻獣類。

口から無数の糸を伸ばし、その糸に搦め捕った相手を人形のように操れる。(生物の場合は脳内神経系を乗っ取り、無生物の場合は擬似神経系を構築して身体を操作出来るようにする)

かつて小国の首脳陣を操り、その国や周辺諸国を滅ぼした個体も存在している危険種。


【デコイヒュドラ】

人形師の異名を持つ多頭幻獣類。

自分の身体部位を変形させる能力を持ち、それを他の物体に見せることで獲物をおびき寄せる。ある時は狩るべき獲物の姿。ある時は同族。ある時は共生関係にある相手。ある時は因縁のある敵。ある時は退けない強敵。

数多の役を演じ、獲物を捕食する。

別名一人劇団。

ちなみに、捕食したことがある。全体像を把握している。全ステータス値の合計が自分よりも低い。

いじょうの条件を満たしている場合、遠隔操作が可能なデコイ人形を生み出すことも可能。


【タブーヒュドラ】

禁忌の忌名を持つ多頭幻獣類。

別名アンタッチャブル(接触禁止)。

生物を殺し、その生命を媒介に【禁呪】を操る。牲贄(犠牲)となった生物が多い程、より高威力・高性能・広範囲に影響を及ぼす【禁呪】を発動出来る。

その為、多人数でタブーヒュドラを討伐しようとすると、一人犠牲が出るだけで全滅することもある。

一人が戦闘で犠牲になる。すると、その犠牲者を媒介に【禁呪】が発動。さらなる犠牲者が生まれ、その犠牲者がさらに犠牲者を生み出す。倍々ゲームで十万近い軍勢が一夜にして全滅したという実例も存在している。


【ファクトリーヒュドラ】

量産工場の異名を持つ多頭幻獣類。

体内でゴーレムの核を無数に製造し、多様なゴーレムを一度に生み出すことが可能。さらにはゴーレムの復元・改造・バージョンアップ等など、ゴーレムに関して右に出る者はいない。

ゴーレムの臨機応変な運用が可能で、ゴーレム軍団を操って大国を滅ぼした個体も存在している。


【ファントムヒュドラ】

神出鬼没の幽霊の異名で呼ばれる多頭幻獣類。

あらゆるものを擦り抜け、何処へでも現れる。

暗闇で振り返ってその姿を見た者は、魂を奪い去られると言われている。

実際、魂を抜き出す能力を持っており、それを材料に下級の幽霊型モンスターを生み出すことも可能。


【トレーナーヒュドラ】

育てるものの二つ名を持つ多頭幻獣類。

その二つ名のとおり育成能力に特化しており、あらゆるものを成長させる力を持つ。

その育成能力は異常の一言で、一粒の種から森を育て上げる。飛べないニワトリを空を飛べるようにする。最初ただの蜥蜴だったのが、ドラゴンを単機で打倒する。幽霊が浄化魔法を跳ね退け、逆に相手を浄化した。魔法を使えない獣人が魔法を操り、ハイエルフを魔法で圧倒した。etc。

この世界の固定概念を粉砕し、常識を破り捨て、偽りの正道を駆逐する理不尽。

特級危険指定モンスターである。

【このモンスターと敵対してはならない。このモンスターと敵対する時、全ての生徒が汝の敵となる】特級危険指定モンスター図鑑より抜粋。


【ダンジョンヒュドラ】

別名で災厄と豊饒をもたらす者と呼ばれる多頭幻獣類。

このモンスターは自分のテリトリーをダンジョン化する能力を持っており、周囲の環境を異界化することが可能。

この異界内では全ての法則がダンジョンヒュドラの属性・能力に依存する。

またダンジョン内では常に魔素が高純度・高密度で循環しており、それは一定の周期で実体化する。通常はモンスターという形で実体化するが、アイテムやトラップ、通常スキルという形で実体化することもある。また魔素の濃度が濃い為、経験値等の見入りが良い等のメリットが多数ある。

ただし、メリットだけなのはダンジョンヒュドラだけである。

ダンジョン外の生物にとっては、危険なモンスターの生産・育成施設である。ダンジョンヒュドラが許容すれば恩恵が多数だが、逆に怒らせるとスタンピード(大暴走・大氾濫)と呼ばれる現象を引き起こされる。

スタンピードは、ダンジョン内のモンスターを外に開放することを言い、ダンジョン内で強化されたモンスター達が津波のごとく周囲を押し流していく。

かつてこれで大陸の三分の一が蹂躙されたこともある。


【エレメンタルの成木】

エレメンタルの苗木の第三形態。

確定進化先。

エレメンタルの能力を一部開放。


【ノルニルの宝玉(三)】

ノルニルの宝玉の封印が一部解除された状態。

確定進化先。

ノルニルの管理システム中、ウルド(過去)、ベルザンディー(現在)、スクルド(未来)のサブシステムを開放。


【時間樹】

時間樹第二形態。

確定進化先。

時間樹の能力を一部開放。


【■■■■■】

特殊追加進化先。

上記進化時に進化先に干渉する。

複数選択の対象外。進化拒否、選択見送り不可。



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