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21.地下深くに眠るもの

さて、ゴーレム達はここよりも下か?

『下でしょうね。ここは地底湖であって、水脈ではありませんから』

なるほど。そうなると、この地底湖の底にも穴があるはずだな。

『そうなりますね』


うん?


俺がそう思い湖底を見ると、何かと目が合った。


ううん?


俺が湖底に視線を集中させると、そこには一つ前の自分と同じくらいのサイズの何かがいた。


こちらが相手の正体を探ろうとじっと見ると、相手も同じように見返してきた。


少しの間睨み合い、俺はその隙に相手の簡易ステータスを確認した。



【シーサーペント】

Level:121

HP:50500/50500

MP:23000/23000

[水中適応][水属性耐性][潜水][ブレス(水)][津波][渦潮][激流]


【海に生息している海竜。海上を行く人間達を海中に引きずり込み、溺死させてから喰らう】



うわ~、明らかに格上。


なんでこんな所(地底湖)に海竜がいるんだとか言いたいことはいろいろあるが、まずはどうするべきだろう、この状況。

『どうもしなくて良いですよ』

はっ?


俺がその言葉に疑問を持った直後、シーサーペントは俺から目を離して泳ぎ去って行った。


なんで襲い掛かってこなかったんだ?

『襲い掛かってほしかったんですか?』

そんなわけないだろう。

『なら良いじゃないですか』

まあ、戦闘にならなかったのは良かった。

だが、なんで襲い掛かってこなかったのかは、やっぱり気になる。


『そうですか。けど、理由は簡単ですよ。シーサーペントは、ヒュドラなどの蛇型モンスターを仲間と識別するだけの話です』

ああ、なんだ、そういうことか。


俺はその理由に、すんなり納得がいった。


とりあえずそれで納得した俺は、ゴーレム達の捜索を再開した。


地底湖の中を泳ぎ回り、水脈のポイントを探す。

そうして泳ぎ回ること少し。

外から流れ込んでくる水の流れを見つけた。

俺はその流れにそって、さらに深い場所に潜る。



潜った先には、深い深い闇が広がっていた。

さすがにここまで潜ると、完全に光が届かなくなったようだ。

普通ならもう引き返すところだが、俺は[闇適応]を持っている為、闇の中でも不自由はない。俺はそのままゴーレム達の捜索を続けた。


見つけた。


そうして潜水していると、かなり深い所にゴーレム達の姿を見つけた。


土製のクレイゴーレムのくせに、水中でも形崩れもせず形を保って穴を掘っていた。


自分で作成しておいてなんだが、どんな性能をしているんだ?

『おそらく、掘った土を片っ端から[補強]で吸収しているのでしょう。そして身体の密度を増やすことで、浸水や水圧に耐性を得ているのだと思います』

なるほど。クレイゴーレム、おそるべし。

命令に忠実なのは良いが、忠実過ぎて少し退くな。

『そうですか?生物ならばそうでしょうが、相手はゴーレムですよ』

そう言われると、そうなのか?って気にならなくもないが・・・。


『クレイゴーレムは土人形なんですから、人間的な感性で捉えない方がオススメですよ』

あらためてそう言われてみると、俺は普通にゴーレム達を生物扱いしていたな。

同じモンスターという括りのせいか?

『たぶんそうでしょうね。あるいは・・・』

あるいは?


『いえ、気にしないでください。それよりも、そろそろゴーレム達を回収して帰りましょう。それなりに時間が経ちましたから、ひょっとすると上でアリアンロッドが、貴方を恋しがって泣いているかもしれませんよ?』

たしかにそうだな。


俺ははぐらかされた気がしないでもなかったが、ありそうなことだったので、すぐに帰ることにした。


お前達、そこまでで良いぞ。


ガキィン!


ガキィン?


俺がゴーレム達に命令の終了を告げた直後、ゴーレムの最後のひとあてが何かに弾かれたような音をさせた。


疑問に思ってゴーレム達に近づいてみると、ゴーレム達の足元に周囲の土とは違う何かがあった。


なんだこれ?


少し気になったので、[斥力]で周囲の土を退けてみた。

すると、その何かが石壁であることがわかった。

ただの石ではなく石壁。

明らかな人工物だ。


なんでこんな地下にこんなものが?


地底湖のさらに下に存在する謎の人工物。

普通にその存在を疑問に思った。


『これはダンジョンの外壁ですね』

ダンジョン?それってあれか、モンスターとかダンジョンマスターとか、魔王なんかが居るようなファンタジー系の拠点施設?

『そのダンジョンです。もっとも、この世界のダンジョンには魔王はいませんけど』

そういえばこの世界、魔王とかは居ないんだったか?


『まあ、居ないことはないんですけど、この世界原産の魔王はいませんね』

ああ?それはつまり、異世界原産の魔王がこの世界にいるってことか?


『そういうことです。もっとも現在は、この世界の人類種達に騙し討ちされて封印されてますけど』

魔王が騙し討ちされて封印中?

それは魔王が間抜けだったのか?

それとも、善良でまともだったのか?

どっちだ?

『後者です。封印された魔王は善良で立派な王様でしたよ。奥さんの魔王妃も良い方でした。お二人が私(この世界)の住人だったら良かったのに。はあっ、なんで私(この世界)の住人達は、ろくでもないのしかいないのでしょう』


世界に惜しまれる魔王夫妻。

ぜひ会ってみたいな。

逆に、この世界の人類種はどれだけ酷いんだ?

世界に拒絶される程嫌われているなんて、そうとうにあれな予感がするぞ。


・・・話を戻すか。

それで、このダンジョンはなんでこんなところにあるんだ?

『調べますから少々お待ちください』

わかった。


それから少しの間、沈黙の時が流れた。


『・・・わかりました』

それで、なんでこんなところにダンジョンがあったんだ?

『前に話した、管理神達が封印された時の天変地異で、地上から地下深くに埋もれたようです』

なるほど。ちなみに、これはどういうダンジョンなんだ?

『・・・どういうダンジョンとは?』

いや、どんなモンスターが生息しているかとか、内部がどんな環境をしているかとか。

あとはそうだな、どんな目的や用途で使われていたかとか、か?


『・・・知らない方が良いですよ』

えっ?


興味本位で聞いたら、やたら重苦しい思念が返ってきた。


そんなアレな用途や目的で使われていたのだろうか?

『残念ながらそうです。・・・というか、使われていたではなく、今も使われ続けているが正解です』

はっ?


使われ続けている?

このダンジョンが?

どれだけの期間使用されているんだよ?

・・・原因の天変地異は、発生したのいつ頃だったけか?

『二千年程前です』

二千年。どんだけだよ!。というか、地下に埋まってからはどうやって使われているんだよこの施設!


ここは最低でも地下数百mよりも下だぞ!


『このダンジョンは、完全密閉独立型です。中と外の行き来は、専用の魔法陣からしか出来ません』

なんでそんな造りになっているんだ?

不便だろう?


『安全対策と逃亡防止。さらに言えば、使用目的がかなり非合法ですから、隠蔽と機密保持の観点からそういう造りにしたようですよ』

・・・逃亡防止に非合法。隠蔽に機密保持。

なんだよその不吉な単語のラインナップ。


まさかとは思うが、奴隷や無差別に捕まえた民間人を使って、非合法な人体実験を行っている施設とかじゃないだろうな?


さっきのラインナップから予想を立てると、どうしてもこういう想像になってしまう。

『残念ながら正解です』

なんだと!

『このダンジョンは、二千年前の人類種達が管理神達を倒す為の生体兵器を生み出す為に使用していた施設です』


嫌な予想の答えは正解。・・・先程知らない方が良いと言われた理由が、よくわかる答えだった。



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