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9.眷属モンスター

『それで、私達の頼み事を受けて頂けますか?』

もう貴女の端末を融合されているんだ。始めから断る選択肢はこちらにないよ。

まあ、例えそのことを除いたとしても、貴女が提示したメリットはかなり買いだ。

どちらにしろ断らなかっただろうがな。


『そうですか。では、今日からよろしくお願いします』

ああ、よろしく頼む。


それで、俺はまずは何から始めれば良い?


自分に目標や指標が無い以上、俺は世界の導きに従うつもりだ。

少なくとも、ある程度の情報が手元に無いと、判断のしようがない。


『まずは戦力の充実が急務です』

戦力の充実か。

今の俺って、他人から見たらどの程度の強さなんだ?


『人類種の分類方法を参照しますと、Dランクの上だと思われます』

Dランク?

それってどれくらいの強さなんだ?


『この世界の人類種達は、モンスターの強さを上からSSS、SS、S、A~Fの9ランクに分類しています』

となると、下から三段階目か。

進化回数からすると、順当なところか?


『もっとも、それはステータス値だけを評価するならです。特殊能力や称号まで込みだと、もうなんランクか上に分類されると思います。ですがその辺りについては、いっそ人類種を襲撃して向こう側に決めてもらった方が良いかもしれません。私と彼らでは価値観が違いすぎますから』

そういうものなのか?

『そういうものです』


とりあえず、まだまだ俺には強くなれる余地はあるんだな?

『はい。最低でも、まだ後五回は進化が可能ですから』

後五回以上か。

なら、戦力の充実をはかる為には進化が有効か?


『そちらでも良いですが、眷属を生み出すなどして貴方の陣容を充実させることをオススメします』

眷属。それはさっき言っていた、眷属モンスターというやつか?

『それも含めてで構いませんが、広義でいえば味方を増やすということです』

味方を増やす。

数は力ということか?


『そうです。個人でやれることにはやはり限界があります。それは時間的、距離的、能力的。理由はいくらでも挙げられますが、個人では出来ないことは往々にしてあります』

それはそうだろうな。人間には、全てを一人でこなすなんて不可能だ。

出来るとすれば、それは神か?


『いえ、少なくともこの世界。私の管理補助をしていてくれた神々には、そんなことは無理でしたね。というか、そんなことが出来るのなら封印される前に対処が出来ています』

それもそうだな。


俺に味方。いや、仲間が必要なことは理解した。

しかし、どうやって仲間を増やせば良いんだ?

小説などを参考にするなら、他のモンスター達を助けて恩を売れば良いのか?


『私が情報を提供出来ますから、その手法でも構わないといえば構いませんが、今回は別の方法をオススメします』

別の方法?

人間の奴隷でもさらって来て、調教や洗脳でもして利用するとかか?

俺の新しいスキルの魅了なら、多分出来るだろうが・・・。


『・・・それでも私は構いませんが、もっとお手軽で、確実に仲間を増やせる方法があります』

どんなだ?


『方法としては、貴方の能力で直接眷属を生み出します。さらに具体的に言うなら、ゴーレム作成でゴーレムを。ゲームプレイヤーのLv3で開放されたユニット作成で、オリジナルユニットが作成出来ます』

ユニット作成?

そんなのが追加されたのか?

『されていますよ。ですので、その二つの能力で貴方に忠実な眷属を生み出すのです』

たしかに、自分の能力で生み出すなら、確実だろうな。

さらにいえば、裏切るようなこともないだろうし。


『そうですね。この方法の場合、ゴーレムは完全に貴方の傀儡人形。ユニットにしても、貴方の子供や家族ですから、例え特殊能力を行使されても、貴方を裏切ったりはしません。というか、そんな特殊能力を私が発動なんてさせません。徹底的にジャミングしてやります』

おおっ!頼もしいな!


『任せてください。さて、それではどちらからいきますか?ゴーレム作成?ユニット作成?』

そうだなぁ、アビスのことを考えるなら、現状だとゴーレム作成にした方が良いだろうな。


『そうですね。では、ゴーレム作成でいきましょう』

ああ。




『まずは材料を決めましょう。何にしますか?』

たしか、自然物から作成出来るんだよな?

『はい。ゴーレムの基本材料である土や金属、鉱物類はもちろん、火や水、樹木などでも作成が可能です。また、生きている生物では無理ですが、その遺体や遺骨の類いならゴーレムに出来ます』

遺体や遺骨って、それはゴーレムじゃなくて、アンデッドの間違いじゃないのか?


歩く死体や骨。

一般的には間違いなくアンデッド扱いされるはずだ。


『端から見るとそう見えるでしょうが、私達の分類ではゴーレムです。なぜなら、そのゴーレムは歪みや瘴気を撒き散らしたりはしませんから』

歪みに瘴気?


どちらも悪いイメージが沸いて来る言葉だな。


『歪みは、この世界の法則を狂わせるものです。これが発生していると、発生した場所の管理が難しくなり、正常な法則と秩序が維持出来なくなります。瘴気は、私達に害となる毒素です。これが広がると、私・動植物・モンスター達は、弱ります。そして、人類種達は短慮で凶暴になります。また、濃度が濃いとアンデッド化し、瘴気を拡散させ始めます。異世界の存在に関しては、それぞれでまちまちです』

予想通りろくでもないな。だが、たしかにそれならゴーレムとアンデッドは別物だな。少なくとも、ゴーレムは世界にも生物にも優しい。


『はい。ですので、私達にとってゴーレムとアンデッドは完全な別物なのです』

理解した。

さて、ゴーレムの材料の話しだったな?

『はい』

じゃあまずは、基本の土で作ってみるか。

『わかりました、これで材料は決まりです。なら次は、作るゴーレムのサイズや形状を決めましょう。どれくらいのサイズで、どんな見た目にしますか?』

サイズや形状を決めずに作成した場合は、どの程度の大きさになるんだ?


まずは標準を知らないと、どれくらいにして良いかがわからない。


『そうですねぇ、スキルの完全フルオートで、だいたい2mのゴーレムが生み出されるます。もっとも、作成者で多少標準はばらつきますから、これは最低値で発動した場合の大きさになりますけど』

標準の最低値が2mか。

今の俺よりも小さいな。

だが、それくらいがちょうど良いか。下手に大き過ぎても、鈍重になりそうな上、邪魔になりそうだし。


最初は標準でいこうと思う。

『わかりました。外見はどうします?』

そちらも標準でいこうと思う。アレンジなんかは、慣れてからやれば良いしな。

『そうですね。では、始めましょう』

ああ。


俺は近くの地面に目を向け、ゴーレム作成を発動させた。

すると地面が隆起し、どんどん土が盛り上がっていく。

それは2mくらいに達するまで続いた。

そして、上昇が止まった後は土が上から順に次々と剥がれ落ちていき、後には人型の人形の姿が残された。


『完成ですね』

みたいだな。

さて、こいつのステータスはっと。


俺はゴーレムの簡易ステータスを確認した。


【クレイゴーレム】

Level:1/16

HP:50/50

MP:10/10


[補強][頑丈][貢献]

[眷属モンスター]


【土を材料に生み出された標準の土製ゴーレム。硬さは鉱物系ゴーレムに比べれば低いが、代わりに柔軟性には優れている】



転生直後の俺よりも、Levelの最大値とかが高いな。

『そうですね。作成されたゴーレムの性能は、ある程度作成者に依存します。つまりは、これが今貴方が作成出来るゴーレムの標準ということです』

なるほどな。なら、これから俺がLevelを上げてもう一度同じ土でゴーレム作った場合、このゴーレムよりも性能は向上するんだな?


『そうなります。しかし、それは微々たる差ですよ』

ふむ。それでも向上するならなにより。


性能向上の話を聞いた俺は、これからゴーレムをどうするか考えた。



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