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四つの扇  作者: オリンポス
6章:竜驤虎視の南家と北家!!!!!!
98/101

98.羽柴家vs北家(転)

 足場の悪いタイルを走る音が聞こえた。

 しかし舳艫は振り向くことが出来ない。

 それもそのはずである。

 あの強敵はまだ、完全には凍っていなかったのだから。


 獣のように疾駆する人影は。

 その不健康そうな顔面をぶん殴った。

「次の相手は俺だ。あのときはよくも……」

「やかましい!」

 そう北家の末裔は、口元を押さえた。

 赤い血が一筋、アゴを伝っている。


「お前など眼中にない、とっとと失せろ」

「そうかい。だったら」

 "悪戯薄霧ミストヘイジ"と、灯火は薄い霧を出現させた。

 これによってお互いに視界が悪くなった。


「やはりお前では物足りない」

 北家の刺客は、おのれの指の皮を食い破り、出血させた。

水棒爪シャープクロー

 と、指からしたたる鮮血を凍らせる。

「針小棒大」

 そう針のように小さい水棒爪を、棒のように大きくする。

「まずは退路を断つか。"雨後の氷筍"」

 舳艫はそう何本もの剣山を出現させた。

 素っ頓狂な声を上げて、攻撃を避ける灯火。

 とりあえず、入り口をふさぐことには成功した。


「なすすべもないか。東家のクズめ」

 そう鋭利な爪を振りかざす舳艫。

「やっぱりお前って強いんだな」

 そう燃える鉄拳を繰り出す灯火。


水棒爪シャープクロー

燃焼型猛打掌バーニングストライク


 冷気と熱気が、交錯する。


「がっ。はあ!」

 そう胸を押さえたのは、灯火だった。

 彼はざっくりと、一太刀浴びてしまったのだ。


焼暴弾フレイムマグナム

 振り向きざまに発射した火炎の球体は。

水棒爪シャープクロー

 相手の攻撃によって相殺された。


「ぬるいぬるい。実にぬるま湯だな、羽柴灯火」

 北家の末裔は両手を天に掲げた。

「やはりお前はあの河川敷で死ぬべきだった」

 彼は、あおる。

「ここはちょうど白河夜船の航路になっている。お前も船旅に出てみたらどうだ」

 灯火の潜在能力を知っているから。

 だからそれすらも捻じ伏せて勝ちたいのだ。


「そういえば」

 そう前置きをして。

「お前には河川敷以外でも借りがあったよな」

 ゆらり。

 少年は陽炎のように揺れた。

「俺の親父、羽柴炎暑を殺したのはお前か!?」


「いいや違う俺は何もしていない」舳艫はそう言い放つ。「むしろお前の両親が俺の親父を殺したものだと思っていたがな」


 灼熱地獄の熱気と、絶対零度の冷気が、衝突した。


「ふざけるのも大概にしろよ!」

「それはこちらのセリフだ」

「ぶっ殺すぞ!」

「俺も同意見だ」


 その2人を中心にして、乱気流が生じる。


瞋恚しんいほむら

永久凍土フローズンフォーエバー

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