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四つの扇  作者: オリンポス
6章:竜驤虎視の南家と北家!!!!!!
97/101

97.羽柴家vs北家(承)

 舳艫は水栓をひねってシャワーヘッドから水を垂らした。

 怜悧で蒼白な顔立ちが、その残虐性に拍車を掛けているようだった。

凍結フリーズ

 そうしたたる液体を、一瞬で凝固させる。

 シャワーの先端を槍状にとがらせ、それを正二に向けた。

「単純だが水棒槍アイススピアと名付けよう」


 正二はヘビににらまれたカエルのように萎縮し。

 その場から動けないでいた。

 視界の端には、育ての祖父の姿があった。


 串刺しにされた、百舌のはやにえの姿が。


 ちり、と。

 心臓のあたりに、焦げるような熱さを感じた。


「さて」

 そう舳艫はシャワーのノズルを切断した。

 配管部分から、放水砲がぶっ放される。

凍結フリーズ

 水の矢は、太い氷のかたまりになって。

 正二の胸元を強襲した。


熱暴走オーバーヒート


「おい!」

 突っ立ったままの正二を見て、灯火は加勢に入ろうとした。

 そして、やめた。

 彼から感じる熱量が、ケタ違いだったのだ。

 虚空も空気を読んだのか、邪魔はしなかった。


 じゅわっ。

 瞬間、正二に触れた氷柱が気化した。

 彼はこれほどの熱量を発していたのだ。

 膨大な内的エネルギーである。


「殺す殺す、ぶっ殺す!」

 殺意の炎が心臓をあぶり。

 煮えたぎった血液が、正二の全身を燃やしていた。


 その異常な熱気にやられ。

 先程まで凍結していたガラス戸やアルミのサッシが、変形していた。


「なにをそんなに熱くなっている」

 ひたひたと傍若無人に迫ってくる怪物に向かって。

 舳艫は整った眉根を中央に寄せた。

「すこしは頭を冷やせ」

 そう水浸しのタイルに手をつく。

氷筍アイスニードル

 地面から円錐状の氷柱が生成される。

 それが、正二に飛びかかった。


「邪魔」

 だが、怒り狂う正二には届かない。

 彼が手をかざしただけで、それは消滅した。

 次いで、富士宮正一を屠った円錐状の氷柱も溶けた。

 よりどころを失った遺体は、胴体に風穴を開けたまま、ぐったりと倒れ込んだ。


「殺す殺す、ぶっ殺す!」

 血走った眼球を輝かせ、正二は歩く。

「雨後の氷筍タケノコ

 さすがの舳艫も焦ったか。

 おびただしい量の氷筍を生成し、またもや攻撃した。

 だが、本懐を遂げる前にすべての氷筍は気化してしまう。


「無駄無駄無駄ァ!!!!」

 そう調子づいた正二は吠える。

 霧が、彼を包んだ。

過冷却スーパークーリング

 舳艫は浴槽に向かって、手のひらをかざした。

 そして備品のシャンプーやボディソープの中身を、床にまき散らす。

 カランの蛇口もひねって、それをよく撹拌させていった。


 またもやタイルがびしょ濡れになる。


 六角形に設置されたシャワー台をぐるりと1周し。

 ぬるぬる滑る液体が、床に十分浸透した段階で。

 舳艫は奇襲を仕掛けた。


 水棒槍アイススピアを構え。

 助走をつけて、相手の背後から一気に突き刺しにいったのだ。


「無駄ァ!!!!」

 正二は血眼で叫んだ。

 じゅわっと蒸発する水棒槍。

 それを読んでいたように舳艫はゴムホースをつかみ。

 シャワーヘッドをムチのように打ちつけた。

 そして。

 相手のバランスが崩れたところを、一気に突き飛ばした。


 正二はタイルがぬるぬるしているのも手伝って、浴槽へと転がり落ちた。

 水風呂は落下地点を中心に、音を鳴らして凍っていった。

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