表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
四つの扇  作者: オリンポス
1章:傲慢な西家との対決!
7/101

7.東西不可侵条約

 東家と西家が対戦してから、1週間の月日が流れていた。老人の心配とは裏腹に、南家からはなんの音沙汰もなかった。


 その間、東家と西家ではある条約の取り決めを行っていた。その条約とは、『東西不可侵条約』である。


 西家は東家と2度と戦争をしない(羽柴家は東西南北それぞれの一派を、国単位として認識している)ことを誓った条約である。


 もしもその条約を破棄すれば、独裁主義の北家に戦争をする口実を与えてしまうので、西家としてもこの条約は守らざるを得なかった。


 それにより東家、西家の2国間は均衡が取れた状態にあると言えた。むろん、南家と北家は例外である。彼らが西家に攻め込まれる可能性は皆無ではない。


 そんな戦々恐々とした状況で、敵が減りひとり安穏としている東家を、戦闘狂の南家が放っておくはずもなかった。

 ただし南家の感情(それ)は嫉妬ではない。平和を標榜する東家への怒りの感情だった。

 戦闘なくして繁栄はあり得ない。これが南家のスローガンだからだ。


 そして南家の怒りの矛先は。

 羽柴灯火に向けられていた。




 季節はすでに秋の時分だが。

 いまだに厳しい残暑が続いていた。

 肌を焦がすほどの日照りが、容赦なく降り注ぐ。


 正午をすこしまわった頃、グラウンドではサッカーが行われていた。


 体育の授業だ。


 センターラインよりも相手ゴール寄りで、灯火は仲間からパスをもらった。

 すると相手チームは灯火を総出で取り囲みにいった。

 灯火はドリブルは得意だが、パスを出すのは嫌いだった。

 そのためマンツーマンディフェンスには強いが、今回のような極端すぎるゾーンディフェンスには弱かった。


 灯火はチームメイトがフォローに来てくれても、チャンスメークをしてくれても、そのほとんどを無視していた。


 そんな折り。

 南家の刺客が音もなく参入してきた。


 まず灯火が最初に気づいたのは、小さな異変だった。


 ドリブルをしていると、地面のくぼみにサッカーボールが吸い込まれていくのだ。グラウンドは運動部がいつも整備しているので、穴があいていることは不自然だった。


 しかし、大きな穴ではなかった。

 サッカーボールが半分埋まるくらいの深さである。


 それからも違和感は続いた。


 低弾道のシュートを放てば、地面がところどころ隆起して、その勢いを相殺してくるし。

 走り回ればなんの脈絡もなく地面が陥没して、行く手をはばんだりするのだ。


 自然現象にしてはあまりにも不可解である。


 新たな扇の所有者がいると考えなければならなかった。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ