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四つの扇  作者: オリンポス
4章:臥薪嘗胆の藤原家、推参!!!!
45/101

45.羽柴家vs藤原家③

 人間はふだん全力を出しているつもりでも、100%の力が出せるわけではない。

 100%の力を出すことによって、筋肉が切れたり、骨が折れたりしないよう、無意識のうちに脳がリミッターをかけているからだ。


 ただし――脳に直接干渉できる水鏡は。

 そのリミッターを。

 無理矢理に解除することが出来る。


「なるほど。それがパワーアップの全貌か」

「ええ、そうよ。恐れ入ったかしら」


 羽柴灯火は――藤原典嗣の苛烈な猛攻を凌ぎつつ。

 必死で言葉をつむいだ。


 打撃に対する反応が、徐々に鈍くなる。

 腕がしびれてきた。

 ガードが遅れる。

 距離を取らないと、まずいことになる。


 まずは、退けッ!


 後方に大きく跳ぶ、灯火。

 急いで鳩の少女を探す。


 ――いた。


 藤原美沙は涼しげな顔をしていた。

 まるで、対岸の火事を眺めているかのように。 


「悪いことは言わねえ。早く典嗣を元に戻せ!」

 灯火は吠える。

 冷たい川風が、うなじをなぜた。


「今さら命乞いかしら?」

「バカなことを言うな。このままじゃ典嗣の身体が壊れる!」

「そっちこそ牽強付会けんきょうふかいじゃないかしら。あんたに心配される道理はないわ」


「言う通りにし……ろ……」

 弾幕のように迫る、骸骨少年の攻撃が。

 ついに羽柴灯火を捉えた。


 痛烈なボディーブローが。

 防御の隙間を縫って、突き刺さる。

 一瞬間――目の前が真っ赤に染まった。

 脚に力が伝わらない。


「ぐうっ……」

 ガクガクと膝が笑う。

 両足では体重が支えきれない。


 灯火はその場にひざまずいた。


 視界の端に、典継の蹴り足が見えた。

 避ける間もなく肩に直撃する。

「ぐわっ」

 激痛が脳内を駆けた。

 目を固く閉じて、奥歯をかみしめる。


「うぐっ」

 今度は顔面に、ひりつくような熱さを感じた。

 蹴られたのだ。

 重心が後ろにずれて、尻もちをつく。


 直後――かかと落としの雨が。

 降りかかる。


「…………ッ!!!!」

 肺を踏みつぶすために。

 典嗣は足を振り下ろした。

 何度も、何度も。

 相手に起き上がる暇さえ与えず。


「コノヤロッ!」

 やっとのことで、灯火は典嗣の片足をつかんだ。

 束の間、攻撃が停止する。

 しかし――

 だれの目から見ても、羽柴灯火の敗北は決定的だった。

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