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四つの扇  作者: オリンポス
4章:臥薪嘗胆の藤原家、推参!!!!
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39.藤原美沙、謎の復讐!?

「くっそー。だいぶ遅れた」

 追い炊き修行を終えた、羽柴灯火は。

 骸骨少年こと、藤原典嗣が決闘すると宣言した、あの河川敷へと急いでいた。


 内的エネルギーの消耗は予想以上に激しく。

 いざ鍛錬が終わってみると、身体だけでなく、心もずしんと重くなった。

 まるで寝不足のときのように、頭がぼーっとして。

 なにをするにもやる気が起きない。


 今現在、こうやって走っていられるのは。

 ほとんど奇跡に近かった。


「やべぇ……走りながら眠っちまいそうだ」

 夕日を背に受け、住宅街を横断しながら、灯火はつぶやいた。




「私と直接戦いたい?

 アリがタイになるような発言だけど、それは困るわ」

 意味の分からない比喩を使って。

 藤原美沙はやんわりと断った。

「だって私が憎悪を燃やしている対象は、羽柴灯火なんだから。

 彼さえどうにか始末出来れば、あなたで憂さを晴らす必要はなくなるわけだし、べつにあなたと戦う理由なんてないわ。

 しいて言うなら、見せしめよ。この藤原家の逆鱗を逆なでしやがった、東家への復讐。それを果たすために、まず前段階としてあなたの鎖骨をぶっ壊すのよ。外堀から徐々に埋めていってあげるわ」

 と、サディスティックに口角を上げる美沙。 


「本当にまあ、意味のわからねーことを、ペラペラペラペラ、うっせーんだよ!」

 橋場ハルキは。

 地面に手をついて、よろよろと立ち上がると。

 典嗣の背後に身を隠している美沙を、睥睨へいげいした。

「どうせ、テメーで突っ込んでくる度胸のねー弱虫ってことだろ? 御託は良いんだよ、御託は」


 ハルキの膝が、震える。

 掌底をもろに喰らってしまったせいだろう。

 その衝撃が足にも伝わってきたのだ。


 しかし、それだけではない。


 ハルキの感情を代弁するなれば。

 きっと、恐怖とか、緊張とか、そういうのも混ざっていたはずだ。


 沈まれ、沈まれ、と。

 膝を叩くハルキだが。

 足に余計な衝撃が加わったせいで。

 なおさら振動は加速した。


「それなら心置きなく、ファイナルラウンドへと行かせてもらうわよ」

 美沙は視線を、ハルキから典嗣に移し。

「鎖骨を叩き割りなさい、典嗣。あなたの得意な技、拳槌けんついで」


 虚ろな瞳で、典嗣は。

 こくり、とうなずく。


 そのチャンス。大チャンスを。

 橋場ハルキは見逃さなかった。


「らあっ!」

 ハルキは、典嗣の長袖。

 袖口を引っ張って。

 手前に引き寄せた。


 バランスを崩して、前傾になった典嗣の顔面に。

 固く握りしめた拳を放つ。


 クリーンヒット。手応えあり。

 膝に重心が乗り切らなかったせいで。

 相手の鼻骨は折れていないだろうが。

 それでもかなり効いたはずだ。


 赤くなった拳骨が、じんとしびれる。

 どちらかというと、痛い。

 ハルキは軽く手を振って、痛みを逃がした。


 が。

 やや遅れて、べつの部位にも痛みが走った。

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