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四つの扇  作者: オリンポス
4章:臥薪嘗胆の藤原家、推参!!!!
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37.藤原典嗣、猛攻!

「あー、そうだそうだ。忘れるとこだったー」

 少女の手元で、なにかがキラリと光った。

「羽柴ハルキくんだっけ……。言っておくけど、君もただじゃ済まさないよ」


「ああっ!?」

「言ったでしょっ! これは羽柴家と藤原家の全面戦争なんだって。うちの家族を氷漬けにされたんだよ。そりゃあ黙ってられないでしょ?」

「なに言ってっか、全然わかんねーけど、妄想も大概にしろよ」


 藤原美沙は、腰に手を当てて立ち上がる。

 ナイフだと思っていた例の物体は、ただの手鏡だった。


「水鏡の威力、たっぷり見せつけてやるんだからっ!」

「なんだ、その水鏡ってのは?」

 嘲笑う、ハルキだったが。

 先程とは比にならない殺気を感じて、振り返る。

 そこには目を真っ赤にさせて、肩で息をしている藤原典嗣の姿があった。


「すまねぇな、放置して」

 橋場ハルキは謝罪し。

「そこのねーちゃん片付けたら病院に連れてってやるから、今はおとなしく……」


「うがあっ!!!!」

 ハルキの言葉など聞こえていないのか。

 典嗣は有無も言わせずに、飛び掛かる。


「しゃーねえ。ちぃーっと我慢しろよ。一発で終わらせる」

 左拳を前に出し、右拳を引き。

 腰を若干ひねって、半身の姿勢をつくり。

 ふーっと半分息を吐き出して、止める。

「殺しちまったら、少年院ネンショー飛び越えて少年刑務所ショーケーだからな」


 ハルキが拳を放った瞬間。大気が、揺れた。

 少なくともその周囲にいたものは、それを肌で感じたはずだ。


「ぐはぁっあああ!!!!」


 絶叫する、ハルキ。


「バカな、バカなッ!」


 典嗣は瞬時に、相手の攻撃を察知して。

 敵の拳を手刀で払った。

 そして前傾に崩れたところに、猿臂えんぴ

 金属バットのように固い肘で、アゴを突き上げたのだ。

 ハルキは舌こそ噛まなかったものの、足取りが泥酔者のそれのようになっていた。


 典嗣は追うように、間合いを詰め。

 連撃を繰り出した。


「ぐわぁっ……」

 あえぐ、ハルキ。

 平衡感覚がほとんどなくなり。

 だれと戦っているのかさえ、よくわからなくなってきた。


「なかなか、やるじゃねーか」

 ハルキはとりあえず強がってみせる。

 気持ちで負けたら、確実に陥落してしまうと思ったからだ。


 ここは単発単発で攻めるには、勢いが相手に傾きすぎている。言うなれば、敵は下り坂を自転車でくだって、自分は上り坂をのぼるようなもの。圧倒的に不利な形勢。


 その流れを絶ち切るには。

 この“手”しかない!


 ハルキは腹を膨らませて、息を吸い溜めて。

 少しずつ吐き出しながら。

 間断ない拳打の集中豪雨を降らせた。


「ウオオオリィイイイヤアアアッッッッ!!!!」


 しかし。

 典嗣は怯むことなく、その雨の射程圏内に侵入する。


「イイイヤアアアッッッ!!!!」

 パンチの手数を増やして応戦するハルキ。

 そのため息切れがいつもより早くなってきた。

 早くも手が止まりそうだ。


 ランダムに放ったハルキの拳が、いくつか典嗣に命中する。

 命中はするが、典嗣の足を止めることは出来ない。


「くっそ!」

 思い切り息を吸い込んで、体重を乗せて打った一撃は。

 典嗣によって簡単に弾きとばされてしまった。


 そしてすぐに。

 反撃が来る。


 掌低(しょうてい)だ。

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