表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
四つの扇  作者: オリンポス
4章:臥薪嘗胆の藤原家、推参!!!!
29/101

29.アンコントローラブル

 ご飯、味噌汁、ひじき煮、玉子焼き、納豆。

 これらの朝食を卓袱台に並べて。

 槐は正座をしたまま、灯火の帰りを待っていた。


「おかえりー、じいちゃん」

「ただいまじゃろっ! 帰って来たときは」


 私服に着替えて居間に行く灯火。

 ご飯や味噌汁から立ち上る湯気が、ごく微量になっていた。


「じいちゃん、今日の修業はなんだ?」

「今日は、風呂を沸かしてもらおうかの」

「風呂? 追い炊きで良いのか?」

「そうじゃよ。ただし……」チッチッと指を振ってから、槐は。「内的エネルギーを用いることとする。そうじゃの設定温度は60度にしてもらおうか。機械ではそこまで熱することは出来まい」

「なんだ、そんなもんか。なんか楽勝っぽいな」

「ほお、強気じゃの」

「当たり前だろ。さっさと沸かして来てやるよ」


 ――1時間後――


「ああ、地味だー。手がふやけてきたー」

 現在の水温、約40度前後。「体温まで熱するのが、限界だー」


 今回の修業は――。

 コップの麦茶を沸騰させるのと。

 風呂を沸かすのとではまるでわけが違った。


 まずそもそも容積が違うのだから。

 用いるエネルギーも倍増しようというものだ。


「どんだけイメージしても無理だーっ!」


 じわりじわりと体力が吸い取られていくような気がする。

 このままだと一生かかっても終わらない。


 思い出せ。

 あのときのことを。


 北家の❝過冷却スーパークーリング❞を。

 あれを、破る、イメージ。

 大陸を火の海に沈める感じ――。


 じゅわっ! と。

 風呂の水は一瞬で気化し。

 その水蒸気を浴びて、灯火は我に返った。


「なるほどなるほど」

 熱探知ヒートサーチャーで修行の行方をうかがっていた槐は。

「今はまだLOWかHIGH。MAXかMIN。極大か極小。

 まったく熱のコントロールは出来ていないようじゃ」

 洗剤を継ぎ足して、食器を洗いながら言った。

「しかしこれほどまでの内的エネルギーを所有しておるとは驚きじゃ。ワシや炎暑をも凌ぐ潜在能力が、灯火には秘められているのかもしれんな」


 一方の灯火は。

 内的エネルギーの使い過ぎで。

 激しい虚脱感に襲われ、しばらく立ち上がれずにいた。


 タイルの壁にもたれながら、ただぼんやりと座ることしか出来なかった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ