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四つの扇  作者: オリンポス
3章:捲土重来を期する、東家と西家!!!
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19.台頭する東家・胎動する北家

 羽柴灯火。

 羽柴家の東端に位置する一族――通称、東家の中のひとり。


 東家の人数は2名。

 羽柴灯火とその祖父、羽柴(えんじゅ)である。


 羽柴灯火の父親、羽柴炎暑(えんしょ)と。

 同じく母親である羽柴下火(したび)は。

 羽柴家の北端に位置する一族によって抹殺されたため、すでに他界している。


 そんな風に数奇な人生を歩んでいる羽柴灯火こそ、東家の中で最も瞠目に値する人物だと、北家で長男の羽柴舳艫(じくろ)は見抜いていた。


 じつのところ。

小規模氾濫ア・スモール・フラッド❞も。

過冷却スーパークーリング❞も。

 仕掛けたのは羽柴舳艫であるが、それはなにも敵対するために仕組んだ罠ではなかった。


 そもそも例の河川に羽柴灯火が来たのは、純然たる偶然なので、そこはただの気まぐれという要素が強い。


 だが驚くべくは。

過冷却スーパークーリング❞を破られたことにあった。

 敵意はなくても殺意を併せ持っていた羽柴舳艫は、当然のように彼らを皆殺しにするつもりだった。


 ただなんとなく河川を氾濫させ。

 ただなんとなくそこにいる人を溺死させるつもりだったが、その目論見はあえなく崩壊してしまったのだ。


 目論見というか。

 それはただの思いつきだったのだから、べつに失敗しようが、痛手ではない。


 強いていうならお手つき程度の悪手だろう。


 だがお手つきとは――自己の能力を無意味にさらす行為である。たとえ本気ではなかったとしても、それは本意ではない、悪手といえた。


「まあその代わり相手の手の内もそれなりに読めたがな……」


 ひとりごとのように。読点もつけずに。

 羽柴舳艫は、そう呟いた。




「学校がしばらく休校となったおかげで、一時的な転校の案内通知が来ておるが、修行もせずにむざむざ学校へ行かせる気はないぞ」


「学校なんか行かなくていいよ。まず当面の課題は、羽柴土竜だ」


「それでいい。西家も精密検査を受けたら、すぐに退院して修行を開始するそうじゃ」


「ははっ……。おもしろくなってきたな」


 老人あらため――羽柴槐は。

 無邪気にはしゃぐ灯火とは対照的に、浮かない顔になっていた。


 それは南家および、北家の動向を案じてのことである。

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