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メギドの王宮は、中央都市メギドの中心にある小高い丘の上にある
平原しかないメギドにはめずらしいその岩山は
遙か昔の太古、カルデラの溶岩ドームであったとも
じつは古代の宇宙船の残骸ともいわれ
その上にそびえたつ、王宮ともあいまって荘厳な雰囲気をかもしだしていた
王宮には1000人の女官が勤めていたが
その大奥にあたる
聖域 と呼ばれるエリアには
代々ハルトの女たちが国王にかしづいていた
彼女たちの役割は国王の身の回りの世話であったが
もっと重要な役割として
世継ぎを産むという仕事があった
正式な皇后は他にいたのだが
この国のしきたりには、おかしな部分があって
世継ぎだけは、ハルトの女たちが担っていた
そう、この国の秘密として王族にハルトの血を混ぜるというのが
はるか古代からの伝統であった
その理由については
王族の秘密らしい
一般にはただの代理母よりも下級にみられているらしい
細菌を培養する培養シャーレのような存在だという人もある
ハルトの母はその適齢をはるかに過ぎていたが
ある理由から
王宮入りをすることになった
ハルトの母はハルト直系の血筋であったが為である
そうまでして
ハルトの血筋を欲するには
相当な秘密があるらしい
そのころレネは鏡に映った自分のすがたをみて涙をながしていた
王宮より届けられた女官の衣装合わせをしていた
「私、いきたくない」
涙はとめどなくながれ
新調された紺色の女官服のうえに一筋流れた
本来なら、レネも女性であるから
晴れ着を着てうれしいはずであったが
これから彼女を待っている運命を思うと
こみ上げてくる思いを
押さえることができなかった
そう
国王の世継ぎをうまなくてはならない
あるいは王子の子を・・・




