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装甲偵察車はぐんぐん近づいて来ると


ハルトたちの前まで来て止まった


白い排気が風にあおられてあたりを白く包んだ


その重厚な鉄のかたまりは前後に大きく揺れて止まった


ひとりの兵士、おそらくは車長と思われる人物が勢いよく飛び降りてきた


それと同時に、機関銃の銃身がかすかにうごくのが見えた


明らかにハルトたちをねらっている


「おまえら!何をやっている。居住地域以外での集会は反逆行為だぞ!」


「これは、これは隊長さんめっそうもない、集会なんてものではありません」


「お前ら、剣術の稽古をしていただろう?隠してもむだだ、望遠モニタで見ていたんだ


 まさか、真剣の所持をしてはおるまいな!


 見たところそのガキは12歳くらいだろう・・剣を見せろ!」


 明らかにいやがらせだった、兵士たちは退屈しのぎにおどしに来たとしか思えなかった


 ハルトはしぶしぶ木製の剣を差し出した


 隊長は剣を受け取るとにやりと笑った


「お前達ハルトはこの惑星の、やっかいものなんだ、さっさと絶滅するがいいさ!」


 そう言うかと思うと、ハルトの大切な木製の剣をひざの上でへし折ってしまった


 「何をするんだ、それはとうさんが作ってくれたんだ!」


 そう言うと同時にハルトは兵士めがけて体当たりした


 隊長は反動で、その場にあおむけに倒れてしまった


 「ハルト、やめろ!」

 

 ピオじいさんは、杖を横に構えて、ハルトの前に立ちふさがった


 装甲車両からは、いつのまにか3人の兵士が銃を構えて飛び出てきた


 装甲車の前面にある機関銃の銃身は今にも火をふきそうである


 隊長は起きあがると、腰のホルスターから拳銃を抜いた


 モーゼル・ミリタリー似たその大型拳銃は、明らかに軍用で、威力がありそうであった


 拳銃の銃口がハルトたちを向くと同時に、ピオじいさんは杖をその場に落とすと


 長いローブのようなその衣服のうしろがわに手をまわした


 その動きは老人のものとは思えないすばやさであった


 見ると、銀色に輝く剣がそこにあった


 つかの部分には色とりどりの石が埋め込まれ、見るからに重厚な剣である


 「おじいさん、やめて!」


 ハルトはピオじいさんの腰に手をまわして叫んだ


 「じいさん!死にたいようだな」

 

 隊長はみるからに意地悪そうな顔をして言った


 装甲車を降りてきた3人の兵士もじりじりと間合いを詰めて来ていた


 ピオじいさんは眉間にしわを寄せて、恐ろしい形相で叫んだ


 「撃つがいい! だが次の瞬間、お前の体は二つになるだろう!」


 間合いは明らかに互角だった、銃にとっても剣にとっても・・・


 息がつまるような時間が流れた・・・


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