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「それは、確かか?」




受話器の向こうの宰相はいぶかしげに尋ねた




「はい、まちがいありません、金属を切断するなど、普通の剣ではありえません」




強行偵察分隊の隊長より受け取った




ピオの剣を抜き放ちながら




憲兵隊司令は、さきほどの一件の一部始終を伝えた




「まあ、何かの間違いということもある、我々が何世紀にもわたって捜索してきたにも




 かかわらず、見つからない物が今出てきたなど




 にわかには信じられないが・・・」




宰相はあきらかに、自分の代になってそのような物が出てきたことに




いらだっていた




「例年の武器検査では、そのものは帯剣しておったのだろう?  検査機械に異常な反応は




 一件も報告されていないはずだが・・・もしかすると」




憲兵隊長は言葉をさえぎった




「この剣を構成している金属単体では、反応しないのでは?」




「うむ、わしもそれを考えておった、古い伝承ではそのような記述もあったような気がする」




「そのピオとかいう老人は、イレズミをしておったのだろう?」




「はい、バーコードのデータによれば、元鍛冶屋ですが、今は弟子に交代して隠居の身です」




「一見して、拘束歴もなく、おとなしいハルト族のように見えますが・・・」




「とにかく、そのものを徹底的に調べるのだ、死んでも口を割らせるのだ」




「そのことについて、私に考えがあるのですが・・・」




憲兵隊長は意味ありげに言った




「どのような、考えじゃ?」





「おそらく、誇り高いハルト族のこと、どのように激しい拷問も意味のないことかと思われます




 むしろ釈放して泳がせたほうが得策かと思われますが・・」




「そうか、お前が言うことだ間違いはあるまい、何世紀にもわたって捜索しつくされたハルト高原




 のどこかに、我々が想像もしない場所がまだあるということか、そこに禁断の 隕鉄剣が隠されて




 いるということか・・隕鉄剣・・・おおなんと忌まわしい響きであろう」





「国王への報告はいかがいたします?」





「うむ、そのことじゃが、陛下は王子の世継ぎの件で、心労がかさなっておられる




 はっきりとした確信が持てる情報がない今、早すぎるじゃろう




 このことは、ワシとお前の内密ということで・・・」





「分かりました、お任せください」





「頼むぞ」





憲兵隊長は赤い受話器を置くと




ピオの重厚な剣をさやに収めようとした




一瞬剣のふちが光ったように思えたが、たいして気にもせず




さやに収めると




天幕を出て、ピオの拘留されている場所へと向かった


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