プロローグ
昔々、神様がいました。
神様は美しいものが好きでした。
しかし神様の周りには宇宙という名の無が広がるばかり。
そこを漂う無数の星々はたしかに綺麗でしたが、神様はもうずっとずっと長い時間そこにいるので、美しくみえなくなってしまったのです。
退屈している神様のもとに、一つの小さな星が流れてきました。
その星の土地は荒れており、美しくはありませんでした。
しかしそこで神様は思いつきました。
美しいものがないのなら、自分で創ればいいと...
そして神様はその星を自分の理想どおりに創り変えました。
それにより星は見違える程美しくなりました。
キラキラと光る美しい水。
さらさらと流れるその水の中を自由に駆け抜ける美しい魚達。
風とともに揺れる美しい木々。
緑の中に咲く美しい花々や木の実。
そしてそれらを糧に生きていく美しい動物たち。
生き延びるために闘う美しい精神。
その星にはまさに美しさだけが詰まっていました。
神様は自分が創り上げたその星を眺め、癒されました。
しかし、大きな力を使い続けた神様は疲れてしまいました。
神様は、美しいものに囲まれ、幸せな気持ちで眠りにつきました。
その間際、自分がいない間の星をある生き物に託して...