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 ヤナイがベランダに出ると


 ケイトは「邪魔するな」というような目つきで睨んできた。


 


 「ねえ、ケイト」


 「……なんだ」


 「今日はさ 来ないと思うのよ」


 「何故だ?」


 「初日から会えるほど 簡単な動物じゃないのよ?」


 「ハンッ そんなんわかんねえだろ?俺様とお前じゃ幸運度がちげーんだよ」


 「トト〇なめんな!!!そんな運ごときに左右されるようなんじゃないのよ!!」


 「トト〇を・・なめてなんかねえよ。」


 「いいや、なめてるね!だからそんな初日から会えるなんて思ってんでしょ?」


 「・・・」


 「そんなんじゃ会えるもんも会えないわよ」


 「じゃあ どうしたら会えるんだよ」


 「謝れ」


 「誰に?」


 「トト〇に謝れ」


 







 「悪かった」





 「聞こえなーい」


 「は?お前に言ったんじゃねえぞ。お前に聞こえなくたって奴には届いてんだよ」


 「隣に居る私の届かない言葉が 遠くのトト〇に届いてると思ってんの?あーやっぱりなめてる」


 「・・・なめてんのはお前じゃねえのか? 奴には」


 「奴には・・?」


 「俺様の気持ちはちゃんと届くんだよ。奴はすげえんだよ」



 きらきらした目で夜空を見上げそんなに事言ってるケイトにそれ以上突っ込めなかった





 正確にいえば 飽きた


 もうこのネタはいいや




 「また そのうちまた待ってみればいいじゃない」


 「おぅ」


 「部屋に戻ろう?寒いでしょ」


 「腹減った。お前さっきのラーメンっていうやつまた作れ」


 「あんた・・・まだ食べるの?どんだけ燃費悪いのよ」


 「あのくらいじゃ食ったうちに入らねえぞ?」


 「・・・まじでか」


 「ジーグは小食だがサハリは甘い物ならやたら食う。キリーはなんでも俺様と同じくらい食うぞ」


 「…あんた達今度来るときは食事か食費持参してよ」


 「ああん?面倒臭え」


 「家にはあんた達に食べさせるほどの食材はないのよ」


 「お前の飯は悪くなかったしな 変わった食いモンだったがうまかった。食材を持参するからまた作れ」


 「……食材と」


 「と?」


 「お金」


 「金?」


 「うん。さっきの食事代も含めて お金」


 「お前・・・ケチくせえな」


 「なんとでも言って。私はリッカセイテンのお金持ってないし稼ぎ方もわからないからね。お金に換算できるのが 今はそれくらいしか思い浮かばなかったのよ」


 「金なんて・・外出られないのに 必要ねえだろ?」


 「今は出られないけど わかんないじゃん この先さ・・本当にリッカセイテンで暮らしてかなきゃいけなくなったらさ・・」


 「まあ、ある程度金は必要だろうな」


 「でしょ?私にできる仕事があるかわかんないしさ」


 「お前を呼び出したのは キリー達なんだろ?あいつらに面倒くらい見させてやるから金とか気にするな」


 「キリーって あきらかに少年じゃない・・子供にお世話になるわけいかないでしょ」


 「少年つったって あいつも王族の端くれだ。女一人くらいどうにでもなる」


 「・・・って言ってもねえ。私の世界じゃ子供に面倒みてもらうのは普通じゃないから」


 「子供に面倒みてもらうってのが抵抗あんなら」


 「うん?」


 「ジーグかサハリに囲ってもらえばいいんじゃねえのか?」


 「・・・・・・・・・・・」


 



 

 この国はあれか。


 妙齢の女はみんな囲って子供産ませる道具にする とかそういう考えか?


 それが普通か 普通なのか?



 「ねえ。こっちの世界の常識とかさ 全く知らないけど」


 「あぁ?」


 「女が簡単に囲われる・・とか思わないでよ」


 「?」


 「自分で稼げれば 別に囲われる必要なんてない。しかもだ・・結婚前提じゃなくただ囲われるとか・・・簡単に愛人になるとか思ってんじゃないわよ!!!!!!!」



 「お前は・・」


 「なによ?」


 「働く気なのか?」


 「・・・悪い?」


 「いや この国では女性はほぼ働かない。老婆達は働くがな」


 「働かない・・って」


 「だいたいが赤子のうちに婚約して成人と同時に嫁にいくのが普通だ」


 「赤子・・・って・・・・」


 「嫁とかいう事よりも 家系を継ぐ者を産む事が1番重要だからな」


 「なによそれ・・」


 「王族だけは別だがな」


 「別?」


 「許嫁など持たない。自力で嫁を探す」


 「王族の方が家系が途絶えたら大変なんじゃないの?女性がみんな赤子時代に婚約してたら相手なんかいないじゃない」


 「他国との絡みもあるし縁談がないわけではない。ただこの国の呪いを作ったのは過去とは言え 我が王族だ。呪いを作った血縁者が民より先に楽に血を残すことなどできない」


 「でもそれで・・王族の血が途絶えたら?」


 「どうなんだろうな」


 「どうなんだろうな・・って ずいぶん他人事ね」


 「ああ、自国では女性が足りていないってだけだしな 他国に行けば沢山いるからな」


 「王族は他国で女口説いて・・この国の呪いに取り込め・・ってことかしら?」


 「呪いごときが難になるような男は王族の者として認められない。女の一人くらい自力で口説けってことだ」


  「ふぅ~ん」


 「お前は・・・」


 「ん?」


 「極力外に出るな。」


 「・・今は出ないけど 私の部屋がリッカセイテンに取り込まれたら出ないわけにいかないでしょ?」


 「それでも・・だ。もし出るのならば」


 「出るんなら?」


 「婚約してから外に出るんだな」


 「・・・・・はぁ?」


 「そうじゃないとどっかの後妻に行かされてもおかしくねえぞ」


 「後妻って」


 「お前見た目は貧相だし 女らしくもねえし 魅力もねえ」


 


 ・・・・怒っていいとこよね?これ


 

 「それでも 《女》 ってだけで価値はあんだよ。欲しがる連中はいっぱいいる」




 


 あー 私 この国 嫌いだわぁ



 女ってだけで 自分自身なんかどうでもいいって言われてる気分になる


 

 「ねえ、ケイト」



 「なんだ?」



 「さっき食べた食事代として ケイトのお古で良いから男性の服ちょうだい」


 

 「なんでそんなもん欲しがる?」



 「《女》って器が重要だっていうのなら 私はその器を隠して外に出るしかないでしょ。今はまだ出ないけど いつか出なきゃいけない時の為に 男装服欲しい」



 「・・・わかった。そのうち持ってきてやるよ」



 「ありがと。 じゃあ もう帰って 疲れたし眠い」



 「おぅ わかった。帰る 明日また来る」



 

 「明日!?」



 「ああ、トト〇日よりかもしれねえだろ?」



  そんな日はない。



 「あー明日は会えない日じゃないかなあ?」


 「そうなのか?」


 「うん」


 「まあ いい 明日 食材と金持ってきてやるよ」


 !!! それはありがたい



 「お待ちしております」



 「じゃあ、また明日な」



 そう言いながらケイトは玄関で靴を履き 扉に手を掛ける




 「おい! この扉あかねえぞ!どうなってんだ!!」



 焦るなよ・・・


 今チェーン外してやるから ちょっと待て 落ち着け 


 って思った事は言わないでおく。


 


 


 




 








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