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リビングに戻って 空気となったケイトを見た時は
一瞬だけど 忘れて居た自分を殴りたくなった。
DVDが流れている画面を見ると もうストーリーは終盤。
こんなところで電源を落とすほど鬼畜じゃない
私はキッチンへ向かい冷蔵庫の中身を確認することにした。
冷蔵室を開けると
キムチ 缶ビール 調味料類 消臭剤 以上!!
あまりに心もとない冷蔵室の中身
だ、だって仕方ないよね。今日買いだしに行く予定だったしさ・・・
気をとり直して冷凍庫
うん。ここはたんまり貯めこんである。
焼きおにぎり からあげ ホウレンソウ etc・・・
職場にお弁当持参派の私は冷凍食品は必需品
3日前 近所のスーパーが冷凍食品5割引きデーだったことが大きい。
野菜室・・・ は カラです。
でもね。そこのはじっこにある段ボール
その中に10kg じゃがいも入ってるのよ。
北海道から届いたの。
1人暮らしに10kgのじゃがいも・・・って・・・
新手の嫌がらせか?と思ったけど
友人の北海道土産です。
一人暮らしに不似合いな 大型冷蔵庫
冷凍食品を貯めこむだけに買い込んだ代物
めっちゃ役に立ってます。
しかし・・だ さっき聞かされた電気が止まるかも?と言う仮説
これ食べちゃった方がいいの?
食べなきゃダメなの?
電気止まったら 冷蔵庫も電子レンジも アウト?
ふぬ。食べるか。
冷凍庫から焼きおにぎりや唐揚げを電子レンジで温める。
キムチはそのまま食べたい。
段ボールからジャガイモを数個取り出し丸ごと洗いそのまま塩を淹れたお湯でさっと茹でる
それを取り出し 簡単に切って揚げる。
ま、よーするにフライドポテトだ。
冷凍のホウレンソウを解凍しバターで炒める。
・・・・・・・なんだろうこの安居酒屋的簡易目メニュー
キッチンでちょこまかと動いて居たら
DVDが終わった事を ケイトが伝えに来た。
「おい。終わったぞ。」
「あー おっけー で、帰る?」 つうか 帰れ。出てけ。二度と来るな。
「あ奴らは・・どうしたんだ?」
「んー なんかキリー?をどうのこうのする・・って出てったよ」
「どうのこうの・・? ふん。俺様には関係なさそうだな」
「関係ないか・・あるか 知らないけどさ・・・ 用がないなら出てってくれないかな?」
「なぜお前に命令されなきゃならねえんだ?」
「・・何故・・ってここ私の家だし これは命令じゃなくってお願い」
「それらは お前の世界の食べ物か?」
「え?ああ うん 私の夕食兼昼食兼朝食兼おつまみです。」
「よし。わかった 俺様も食ってやる。」 と言い残し ケイトはリビングへ戻って行く
え?は?え・・・? 何この脈略のない話の流れ方
出て行って欲しい・・とのお願いは 完全無視したよね?
あ?あいつ 食べるの? 決定事項なわけですか?
あれ?私いつ承諾した?
あのデカイ体格って・・・どんだけ食べるんだろう・・・・・
別に納得したわけではないけれど
料理を少し増やす まあ、料理って言っても冷凍食品ですけどね!
それでも足らない!とか言われたら 今度こそカップ麺だな。
でもやっぱり なんか納得できないので
舌、火傷すればいい!!!と思いながら
奴用の焼きおにぎりだけ少し時間を多く温めた
「ねえ これそっちのテーブルに運んで」 (ちょっとは動け)
「お前がやればいいだろう」
「私一人じゃ冷めちゃうでしょ。美味しくなくなる」(いいから動けよ)
「ふぬ・・お前はトロそうだしな。しかし人に物を頼む態度ではないな」
「手伝って下さい お願いします」(くっそお。このやろう・・・・)
「これらを運べばいいのか?」
「うん。お願い。そこのテーブルに適当に乗せて下さい」(なんでもいいからとっとと動けよ!)
そんなこんなでテーブルに食事の用意が終わった時
ベランダから見える景色は 夕暮れだった。
昼食にしては遅すぎるけど
晩酌には早すぎる わけのわからない食事
料理を見つめる瞳が妙にきらきらしていやがるケイトを横目に
私は手酌で缶ビールをコップに注ぐ
「おい。とうもころしはないのか?」
そんな言葉を軽くスルーしつつ
一応、ケイトの分も缶ビールを注いだ。
アルコールくらい飲めるよね?