闇の中
注:この作品は、とても読みにくいかもしれません。
小さな劇場で一件の殺人事件が起こった。
すぐに警察へ通報され、捜査が始まった。
「被疑者はこの3人か」
「はい。間違いありません。現場の状況から考えて、絶対にこの3人の中にしか犯人はいません。
なんて言っても劇場にはその3人しかいなかったのですから」
「それは少ないな」
「えぇ、今では珍しい小規模劇場ですよ。しかも、映画もメジャーなものでは
ないものでしたから」
「そうか」
警察署の一室で、初老の刑事とその部下らしき若い刑事が話をしている。
彼らのいる警察署には、別々の部屋にその事件の3人の容疑者が留置されていた。
「まずは……赤い服の方を連れてきて」
初老の刑事はそう言った。
すると、一人の警官がそれを聞いてうなずいてから、席を立ち
赤い服を着た男を連れてきた。
初老の刑事は、赤い服の男に、
「では、あなたは犯行の起こったとき、何をしていましたか?」
と尋ねた。赤い服の男は、
「あぁ、あの時?俺は、ただ単に座って映画を見ていただけだよ。
たく、映画が終わって帰ろうとしているときにすぐ後ろで急に悲鳴が上がったから
後ろをを振り向いてみたら人が死んでるんだから驚いたよ」
と証言した。
すると、若い刑事が、初老の刑事に耳打ちをする。
「口ではどうとでも言えます。劇場は暗かったから、席を立ったのが誰かなんて分かりません」
初老の刑事は、黙ってうなずいた。
「他にはおかしなところは有りましたか?」
「いやぁ、途中で席を立って何処かに行った奴がいたが……それくらいだな」
「分かりましたありがとうございます」
赤い服の男は部下の警官に連れられて部屋に戻っていった
「次は、青い服の方を連れてきて」
と言った。
次に連れてこられた青い服の女に初老の刑事は、
「では、あなたは事件の起こった時、何をしていましたか?」
と尋ねると、青い服の女は
「私は、急に電話が鳴ったんで劇場の外に出て、廊下で話をしてから
戻ってきたらこの騒ぎよ。本当に参っちゃうわ」
と証言した。
「他に何かありましたか?」
「席を立ったってどこかに行った人がいたけど、ほかには特に何もないわ」
「分かりました。ところで貴女は、マナーモードにしてなかったんですね?」
「それくらいあるでしょう? 問題ある?」
「いや特に問題はないですけどね。これからは気を付けてください」
「わかったわ」
青の服の女も部屋に戻っていった。
「次は、緑の服の方」
次に連れてこられた緑の服の若者に、初老の刑事は
「あなたは、事件の起こった時に何をしていましたか?」
と尋ねた。緑の服の男は、
「はい。僕は、ロビーへポップコーンを買いに行きました」
と証言した。
「映画の途中に?ふつうは映画の前に買うでしょう?」
「良いでしょう。急に買いたくなったんですよ」
「なるほど……他には何か」
「途中で、誰かが席を立ってどこかに行った人がいましたがそれぐらいですね」
「そうですか……ありがとうございます」
緑の服の若者も部屋に戻っていった。
こうして、3人の被疑者から話を聞き終わった後、
初老の刑事と若い刑事は、休憩室でベンチに座りながら話し合いをしていた。
……といっても現在の分かっている情報だけでは、推測の多い簡単なものしかできなかったが。
「被疑者たちはどうなった?」
「はい、証拠隠滅の恐れがないということで一端、全員家に帰されて
後日又、出頭するとのことです」
「そうか……他に何か分かったことは?」
「調べてみると、被害者には多人数に恨みを買うようなことも無かったとか。
共犯の線は無しですかね」
「そうなるな」
「緑の若者はどうでしょう?」
「確かに、証言はどこか変なところがあった気がするが……」
「こうしてみると全員怪しく見えますね」
「うーむどこか引っかかるところがあるようなんだが……」
初老の刑事は、小首を傾げながら疲れたようにそう言った。
「疲れてるんですよ。家で休まれてはどうですか?良い考えが出るかもしれませんよ」
「そうだな。そうしよう」
「朝川さん、そういえばあの青服の女のときの証言中!
何故マナーモードについて聞いたんですか?」
「あぁマナーは大事なことだからな。最近のマナーは堕落しているというし」
「まぁ、確かに大切ですが。でも殺人事件の捜査中にそんなこと聞くなんて……」
「まぁ良いじゃないか」
そう答えてから、一回伸びをしてから初老の刑事はゆっくり立ち上がった。
「全く、そういうの正義感っていうんですかね? とにかく、ゆっくり休んでくださいね」
「あぁ、じゃあな」
初老の刑事は、苦笑しながらそう言って休憩室から出ていった。
~翌日の新聞紙面の一部~
昨日午後7時頃東京都○○区の路上で、付近の警察署の刑事、朝川博史警部補が
何者かによって刺殺されていたのが見つかった。
警察の発表によると、朝川警部補は鋭利な刃物で一突きされ、ほぼ即死。
指紋などの証拠も残っておらず、捜査は難航している。
人体構造の専門家である樫本・武蔵野医科大学教授は――
こうして、劇場での殺人事件の真相は闇の中へと消えた。
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いかがでしょうか。
犯人の推理はできたでしょうか?
読みにくい文章をここまで読んでいただいてありがとうございました。