表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

1/1

第2話「スライムの美少女、風呂を要求す」

「……というわけで、私は人型にもなれるスライムだったわけだ」

銀髪の美少女が、焚き火の明かりの中で胸を張る。柔らかな笑顔と、鋭い眼光。そのギャップに、レインは思わず見惚れてしまっていた。


「いやいやいや、いくらなんでも展開が急すぎるだろ!」

レインは焚き火越しに叫んだ。


「朝まで一緒にいたの、スライムだよ? 透明なぷるぷるだよ!? それがいきなり人間の女の子って、どういうバグ?」

「ふふっ、いいリアクションするじゃん。実は、これが“第二形態”ってやつ。ある意味、今の方が本来の私」


スルルは、ふわっと髪をかき上げる。銀の髪が月光に反射して、美しく輝いた。


「……なぁ、その格好、もうちょっとどうにかならないのか?」

レインは視線を泳がせながら尋ねた。


「なに? 気になるの? えっちなの? この変態」


「いやいや! 変態じゃない! でも! その格好はほぼタオル一枚なんだよ!?」


進化直後のスルルは、魔力で簡易的に布のようなものをまとっているだけだった。ほぼ透けてる。ダメ。これは男子高校生にはダメなやつ。


「ふふん、じゃあ服作ってよ。あんた、“無属性魔法”でいろいろできるでしょ?」


「えぇ……初日でチートフラグ立ちすぎじゃない!?」



翌朝──


森の奥、小川の近くに簡易テントを張り、二人は一夜を過ごした。

レインはほぼ一睡もできなかった。隣でスルル(女体)が寝ていたせいで。


(あれがスライムだったとは思えん……いや、でも中身はスライム……ってことで、理性保てオレ……!)


「レ〜イ〜ン〜」

「はいぃ!?」

「お風呂。作って」

「え、いや、ここ川だし……って、魔法風呂かよ!?」


「だって女の子だもん♡」


完全に遊ばれてる気がする……でも、仕方ない。



レイン、初の無属性魔法実戦!


「おれの“無属性魔法”は、いろんな属性を混ぜられるんだよな……よし、火+水で“湯”を発生させて……」

レインは両手を組んで、集中する。


「《融合:火+水》──“温泉生成”!」


ゴゴゴゴゴッ……


小川の脇に、ホカホカと湯気の立ちのぼる天然風呂が現れた。


「……できた! すごい! まるで温泉地の露天風呂じゃん!」


「やるじゃん、レイン。イケメン度アップだわ」

スルルはそのまま湯に飛び込もうとする。


「ちょ、お前っ、服脱いで入るのか⁉︎ 目のやり場が――!」


「レインも入れば? 一緒に♡」

「無理無理無理‼︎」



その後、スルルからの真剣な告白


「……レイン」

スルルが、湯の中から真面目な顔で語りかけた。


「私はね、ずっと一人だった。最弱スライムとして、モンスターにも人間にも見下されて、逃げて、生き延びてきた」


「でも、レイン。あんたは最初から、私をちゃんと見てくれた。喋れるってだけで驚かず、契約を拒まず、一緒にいてくれた。……だから、私、あんたの“相棒”になりたいって思った」


「スルル……」


「これからの旅、危険だと思う。あんたの力は、世界の連中にとって“脅威”になる。……でも、私がそばにいるから。絶対、守るから」


湯気越しに見えるその瞳は、確かに“仲間”のものだった。


レインは、まっすぐスルルを見返すと、手を差し出した。


「これからもよろしくな。オレの相棒、スルル」


スルルは静かに微笑んで、その手を取った。


「うん。……一緒に、最強になろう」



次回予告


勇者パーティー「レインを追い出したのは正解だった。アイツ、雑魚だし」

→街中で“温泉を一晩で作った”という噂を聞き、ザワつく勇者たち!


次回、「元仲間、ざまぁのフラグを立てる」お楽しみに!



よかったらファンになってください

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ